あなたが恋をした理由(前篇)

よく、「恋に落ちた」なんて事ありますよね。

今回はこれを「脳科学的」に説明しようと思います。

「ズバリあなたは騙されている。ダーっ!!(喪黒福造風)」

はい、終わり。なんていうわけにはいきません。

学生時代に見知らぬ学校や違う学年やクラスの異性に興味がわき、知らぬ間に頭の中を占領されてしまうような感じ。皆さんには、恋をしたことがない人もいるかもしれません。また、これは「愛だ」と思っていたら、数か月後に「どうして彼(彼女)を好きになったのだろう」と首をかしげることもあったと思います。

しかし、「愛に落ちた」なんてことは聞かないですよね。そう考えると、愛は自覚的で、恋は無自覚的ということになる。無自覚ということは、コントロールできないということになりますね。なので「恋は落ちる」ものなのだと解ります。

でも、恋に落ちるって自分が好きじゃないと成立しないですよね。自分が好きな人を選んでいるのであれば自覚的なはずです。しかし、恋は先ほど無自覚的だといいました。

そうです。実はあなたは無意識に誰かに恋に落ちているのです。

「いいえ、そんなことはない」と思う人もいるでしょう。そこで、恋に落ちる状態は脳科学的にどのような状態なのでしょうか。まずは本題に入る前に次の例を想像してみて下さい。

ホテルや図書館なので、チェックインやアンケートの書類を記入することがありますね。このようなときに受付まで出向き、「こちらに必要事項をご記入ください」などと言われあなたは必要書類にボールペンで記入します。まんべんなく記入漏れなどないように確認したとします。そこで書き終えてから、提出する際に受付で記入を促した人が、記入後に別の人に入れ替わっていた場合、あなたは気づくと思いますか。

わたしなら間違いなく気づくという人もいれば、わたしは自信がないという人もいると思います。

実は、受付にやってきたときに、無意識には見ていたとしても意識的に見ていなかった場合、記入前後に人が入れ替わっても、気づく確率は10~20%以下という実験データがあります。

また、この時に変化前が痩せていて変化後に太った人にかえても気づかれないし、男性から女性にしても気がつかないそうです。それほど強力な現象で、このような脳の性質を「変化盲」と呼びます。

文字通り変化したことに気がつかないという意味です。

わたしたちはそのようなことを日常的に知っているはずです。ほら、交際相手の髪型が変化したり、普段つけている指輪をしていなかったり、新しく買ったバッグを気づくことができなかったりと・・・。

女性の人はそのようなことに意識的なので気づくことが多いと思いますが、男性は無意識的なので気づきにくい。また、クイズ番組で風景のなかで徐々に変化しているのはどこでしょうかなどと、風景の一部が今目の前で変化し続けているのに意外と気がつかなかったりしますよね。

このように、わたしたちの脳は意外と気がつかない。

さらに、変化盲の2005年の実験では、男性に左右二人の写真から好みの女性を選んでくださいというテストを行いました。

どんなテストかというと、まず男性に二人の写真を見せてどちらが好みの女性ですかと見せて、どちらかを選んでもらい写真を伏せます。そこで、男性が選んだ人の写真ではない方を渡す(左であれば右を、右であれば左を)というものです。

渡された写真をみて「あれ、僕が選んだ人と違う」と間違いを気づく人が極めて少ないのです。でも、どうやって目の前で写真をすり替えたのだろうと思いますよね。そうです、このテストをする人はマジシャンに頼んで相手の選んだ写真ではない方を渡す手助けをしてもらったのです。被験者は自分が選んだ写真ではないのに気がつかない。もし、これが見合い写真で意図的に選んでない方を渡されていたのならぞっとしますね。

このように自分が好みで選んだにもかかわらず変化に気づかない盲目性を「選択盲」と名づけられました。

この選択盲ではさらに面白いことが起きました。被験者に「あなたはどうして左側の女性を選んだのですか」と。

すると、手元に渡された写真を眺めながら「この人の笑顔がステキだから」とか、「金髪の女性が好きなんだ」とか特徴を挙げる人が少なからずいたそうです。先ほ自分で選んだ女性は、金髪でもなければ笑顔の写真ですらない。

つまり、選択した以上(自分が選択していないものであっても)「私は彼女が好きなのだ」と思い込んで事後的に好きな理由をでっちあげるのです。

このとき重要なのは、この事実に本人は全く気づいていないことです。つまり、本人からすれば嘘などついてはいなく本心であるということ。本気で無意識に好きなことをを捏造しているところです。

皆さんも考えてみてください。よく好きなアーティストがいますよね。ビートルズを好きだとしましょう。あなたは何かのきっかけでビートルズの曲に共感し好きになったのだと主張します。理由を聞くとメローだとか歌詞が良いとか言うと思います。しかし、本当にそれが好きになった理由ではない場合が多い。

例えば恋人や友人と楽しい時間を過ごしているときにBGMのように流れていたり、何か自身にとって好感的な人が好んで聞いていたりとか、そのアーティストや曲ではなく、場面や人間関係とリンクして無意識に好きになった。理由は事後的にとってつけた。

無意識に好きが決められているということです。Wbasic的に言えば思考しない個が思考する個を騙したことになります。でも、好きになるなんて本来、感覚的なことで意識的なことではないので、当たり前だともいえます。

そこで上級テクニックが有効だという実験例を紹介します。

図書室で男子生徒に本を返してもらうよう頼みます。男子生徒は受付まで行き本を返します。女性は、男子生徒が本をカウンターに返却する際に、本を受け取ろうと手を伸ばします。その瞬間、さりげなく男子生徒の手に触れます

その後、男子生徒にインタビューをします。さっきの女性はどれくらい魅力的でしたかと訊きます。すると、手に触れなかったときよりも、手に触れたトキの方が魅力的に感じるのです。

この場合も、男子生徒は触れられたことに気づている人は少ない。それでも、触れられた後は好感的になり、都合の良い理由をでっちあげるのです。

つまりボディコンタクトは好感を生むというわけです。ポイントは気づかれずに触れることです。これは、有能なホステスが行う手法であるので知っている人もいると思いますが、サッカーの中継で選手交代が行われた後、ベンチに戻る選手の肩を触れるのも似た効果を求めていると思われます。(厳密にはストレスを軽減させる効果があるといわれる)

わたしたちは、人間でありますが、人は霊長類で、霊長類は動物です。動物は様々な方法でスキンシップを取ります。人間は前頭葉が進化し言葉を多用に話し意思の疎通が可能になりましたが、所詮生き物なのです。そのため、原始的な仕組みは、わたしたちの中に残っていて今だにそこは変えられていない。そのため無意識にスキを押し付けられ「これが好きなんだ」と思い込んでいることもあるのかもしれません。

次回は、なぜ「恋」にハマるとそこから抜け出せなるかを、追求したいを思います。

                               つづく

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no.40 2020.11.13







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