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書評/読書メモ

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2020年10月の記事一覧

【読書メモ】「Nのために」(湊かなえさん)

【読書メモ】「Nのために」(湊かなえさん)

小説「Nのために」を読んでみた。

高層マンションにて夫婦が殺害されているところから物語が始まる。

その場に居合わせた4名のそれぞれの供述により、事件はあっさりと決着を迎えた、という印象を持つところからストーリーが展開する。

4名それぞれが過去も含め、事件当日のことを独白していく。

誰も、供述の時に嘘は行っていない。

起こった事実の一部分だけを切り取って話しているだけで、こうも都合よく事実

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【読書メモ】「ドイツとEU: 理想と現実のギャップ」(池上彰さん)

【読書メモ】「ドイツとEU: 理想と現実のギャップ」(池上彰さん)

池上彰さんの「ドイツとEU: 理想と現実のギャップ」を読んでみた。

断片的に見聞きしたことはあっても、おお!なるほど!と、点が線になるような形で学ぶことの多い一冊でした。歴史は学生時代からとっても苦手だけど、もっと知りたい!と最近思うことが増えてきた。池上さんの本は、私のように基礎知識があやふやな人が読んでもわかるように構成されていて、ほんとにありがたい。これからも読み続けよう。

特に覚えてお

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【読書メモ】「アッコちゃんの時代」(林真理子さん)

【読書メモ】「アッコちゃんの時代」(林真理子さん)

林真理子さんの小説「アッコちゃんの時代」を読んでみた。

バブル期に20代前半であった美しい女性、厚子。ニックネームはアッコちゃん。当時、日本で3番目にお金持ちであった地上げ屋である不動産屋社長の愛人となり、その次にはイタリアンレストラン「キャンティ」の御曹司と、妻子を捨てさせて結婚。

不動産屋社長の愛人である時には、500万円ほどする腕時計を買ってもらったり、用意してもらったマンションに住み、

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【読書メモ】「アウシュヴィッツのタトゥー係」(ヘザー・モリスさん)

【読書メモ】「アウシュヴィッツのタトゥー係」(ヘザー・モリスさん)

「アウシュビッツのタトゥー係」を読んでみた。

事実をもとに書かれたフィクション小説であるが、概ね事実そのままなのではないかな、という印象。ここまで理由もなく自由が奪われ、生命が脅かされ、そして奪われるという事実が、フィクションではなく史実であることに改めて深く考えさせられた。

第二次世界大戦下で、アウシュビッツに収容された主人公が、いち労働者としての肉体労働ではなく、新たに収容されてくる人々の

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