被写体としての雲と空
雲とか空といったものは、どちらかというと背景として映るもので、主役として扱われることはあまりないわけですが、こういったものを敢えて主役として撮ってみることで色々気づくこともあるものです。
普通は主役にならないけども。
風景写真などを撮る場合、背景として空が写りこむ事は避けられません。
ただし、その扱いはあくまで「背景」という立場で空を主役にして写真を撮るという事はあまりないのではないでしょうか。かくいう自分があまり空をメインで写真を撮るという事がないのでそう思っているだけなのかも知れませんが。
しかし、空の青色と補色関係が成立するオレンジや赤色系の花の背景として雲一つない真っ青な青空が背景になってくれたおかげて奇跡的な一枚が撮れたり、大自然の偉業を感じさせる雄大な雲を見つけたりすることも珍しくなく、空の撮り方、雲の撮り方を知っていくと背景として空や雲を使う場合にも役立つのではないでしょうか。
サニー16ルール
空や、雲を背景として使う場合と、建物の壁などを背景に使う場合でそれほど大きな違いがある訳ではないと思います。先ほど述べたように補色関係が成り立つオレンジ、赤色系の被写体を撮るときに背景として使うというのが基本ではないでしょうか。
ただし、建物の壁などなら、その壁についているラインなどで視線を誘導するという使い方が出来たりする訳ですが、大自然の産物たる空はそんな人間の都合に合わせてくれるような相手ではありません。
そこで雲の出番となったりするわけで、飛行機雲などは誘導線として非常にありがたい存在だったりします。とは言え、雲も自然現象の一部なのでなかなか人間の都合に合わせて現れてくれません。そこを何とか工夫して写真に取り入れてよい写真に仕上げていく一助とするのがその写真家のウデなのかなと思っています。
直接的に使える技ではないのですが、知っていると何かの応用として使えるかも知れないという知識がサニー16ルールでしょう。
雲がほとんどない晴天時、空に対して適正露出を得るにはISOとSS(シャッタースピード)を同じ値に、F値(絞り)を16にすると適正露出。すなわち空の青さが適切に出てくる。という知識です。
具体的にはカメラをMモード(フルマニュアル)にしてISO=100。SS=100。F=16.0に設定すればきれいな青空を撮ることが出来るという話で、基準となる太陽の明るさは日本どころか世界中どこでも同じはずなので世界のどの地域でも通用する知識として、自動で露出を合わせてくれるプログラムモード(Pモード)のような便利な機能の付いてない古いカメラを使う昔の写真家には基本中の基本と言える知識であったそうです。
サニー16ルールは、あくまで空に対して適正露出ということで、その他の被写体は暗く映ってしまうという事も珍しくないですが、キレイな青空を撮りたい場合の基準として覚えていると役立つかもしれません。
デジタル処理で露出が変わる現代では過去の知識だ?
もっとも最近はHDRのような領域ごとに露出を変えるデジカメならではの技術が出現してきたりしているのでこの知識もいつでもどこでも役に立つ。とは言えなくなってきているかも知れません。フィルムカメラだったら使える知識かも。
ただ、普段便利に使っているPモードや、AモードやTモードといった自動で露出を合わせてくれる便利機能が意外とこのルール通りの露出設定にしないことは写真撮影時の露出。つまり明るさについてどう考えるかのきっかけになると思います。
つまり、サニー16ルールに対して、いつも明るめの設定で写真を撮っていたら自分は標準より明るい写真が好きなのだと認識できて、友達などに自分の写真を見せる場合でもそういう認識で写真の説明が出来るようになる訳です。
写真は人に見てもらってこそ存在意義が出てくるものでしょうから、人に見てもらうときの基準は必ず必要になるでしょう。それが無かったら自分は明るい写真だと思っていたのに、それを見た別の人は暗い写真だと思うかもしれません。
もちろん、人それぞれで感性は違うので、同じ写真を自分は明るいと感じて別の人が暗いと感じることが悪いという話ではありません。それぞれの人が持つ感性はその人だけのモノで、人の感性は自分の感性と等しく尊重されなければなりません。
その為には自分に対しても、他者に対しても等しく絶対的な存在である太陽を基準として話すことが適切でしょう。
サニー16ルールは金科玉条のごとく崇め奉るものではなく、自分の感性も他者の感性も等しく相対化できる基準として覚えていてよい知識であろうと思います。
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