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中村憲剛FROにまつわる3つの発表〜2021川崎フロンターレ新体制発表会見〜

はじめに

 1/23(土)、川崎フロンターレの2021シーズン新体制発表会がオンラインで開催された。例年通りトピックは盛りだくさんで、三笘選手と中村憲剛元選手の寸劇にサポーターが沸いた一方、冒頭に藁科社長から伝えられた「5.8億円の営業損失」は、クラブ設立以来初の赤字ということもあって衝撃的だった。
 発表会はサッカー2試合分を超える長さだったので、ここでは中村元選手のトピックだけ触れたい。全体をざっと知りたい方は、江藤さんによるダイジェストが無料公開されているので、そちらをご覧ください。

中村憲剛のドキュメンタリー映画制作決定

 中村憲剛元選手に関しては3つあり、1つ目はまさかのドキュメンタリー映画化決定。川崎の映画館で今夏ロードショー予定とのことで、「全川崎が泣く」こと間違いなし。
 引退前後から密着は始まっていたようなので、引退発表直前から天皇杯優勝までを振り返る映画になるのではないだろうか。引退セレモニーで選手生涯VTRが流れたり、DAZNでもドキュメンタリーが制作されるなど「映像映え」する人物だ。
 映画への期待としては、本人が引退するにあたって何を選手たちに残そうとしてきたのかが知りたい。加えて監督や選手、さらにはスタッフなど周辺の人たちの想いから、「中村憲剛」の輪郭が分かるのを楽しみにしい。

FRO就任

 続いてのトピックは「FRO(Frontale Relations Organiser)就任」だ。引退後は何らかの形でクラブに関わることは疑いようはなかったが、まずはピッチ外で活動するようだ。

 この発表で興味深かったのは、まず新規性を意識して自らネーミングしたこと。役割的には「広報」や「宣伝」などでも問題なかったと思われるが、本人がよくある名称ではクラブが認めないと考えており、クラブカラー(天野さんかもしれないが)をよく理解した上でのアイディアと言える。そしてそこから一歩踏み込み、自らキャッチーなネーミングを考え提案できることが、あれほどまで彼が活躍できた理由ではないかと思わざるをえない。
 もう一つ、変わらずクラブ・サポーターのために体を張っていたこと。フロンターレといえば「バナナを被る」ことで有名なように、サポーターが喜ぶことを期待して体を張ることを選手に求める。このクラブ文化は地域密着を進める中で培われてきたのだが、「中村憲剛」が率先して体を張っていたことは大きかったと思う。他の選手のインタビューでも「憲剛さんがやっているのでやらないわけにはいかない」といった旨の発言が見られるように、チームの中心選手が進んで実践することで、この文化は醸成されてきた。
 彼の引退でこの文化が薄くなることを若干心配していたが(登里選手がいるから実際まだ安泰とも思っている)、引退後もレジェンドがああいった姿を見せていくことでこの文化がしっかりと受け継がれていけば、フロンターレは地域密着し続けられるだろう。

空席の14番

 最後に、今年の発表会でサポーターが注目していたのが「14番を誰が受け継ぐのか」。今シーズンは空席になることが明らかになり、サポーターの受け取り方は様々だろう。
 中村FROは「強い気持ちを持った選手がいれば渡したい」と考え、「あとの判断はクラブに任せている」とのことだった。クラブとしては「14番を無し」と発表しているため、永久欠番にはしない方針だろう
 誰であってもプレッシャーがかかることは間違いなく、クラブとして慎重に準備していくべき話だと思うので、個人的には今シーズンの空白は納得している。もちろん下手に間を空けることによってプレッシャーが強くなるとの考えも理解できるが、そこも織り込んでのクラブの判断だと信じたい。

おわりに

 オンラインではあったが新体制発表会も無事に終わり、気づけばシーズンの幕開けを告げる「FUJI XEROX SUPER CUP 2021」まで1ヶ月を切った

 今シーズンもJリーグは新型コロナと共にしなければならないが、藁科社長の言葉にもあったように、一サポーターとしても「スポーツが、サッカーが、そして川崎フロンターレが不要不急のものではないと示したい」と思う。


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