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同郷の男 13話 ムードのないピロートーク

13話 ムードのないピロートーク


さちこがドライヤーで髪を乾かして

ベッドに戻ると

彼はその音で目が覚めたのか

目をぱっちりさせてこっちを見ていた。


「あ、起きてる。」

「ごめん、俺寝てた?」

「うん、お疲れなのかなと思って。

寝てていいよ。」

「ごめん、つい眠くなって。」

「いつも何時に起きてるの?」

「6時半くらいかなあ。」

「寝るのは?」

「早いよ。23時くらいには寝てる。」

「ふーん。」


(じゃあ私が昨晩21時に送ったラインは

寝る前にチェックしろよな。)


と言いたいところをさちこは我慢した。


「前も寝てたよね。すぐ寝るよね。」


(私ピロートークできない男、

無理なんだけど。)


さちこはピロートークできない男には

急激に冷たく接してしまう。

意図しているわけではないが

ピロートークがなかったことで

頭の中のスイッチがおナニー後モードに

切り替わるかのように

超あっさりしてしまうのである。


さちこはガウンを着たまま

隣の手付かずのベッドに潜り込んだ。


「寝るの?」

「うん。だから龍くんも寝てていいよ。笑」


彼は少し眠ったことで目が覚めたのか

その後はテレビを観ながら

さちこに話しかけてきた。


さちこも本当にイったのなら

ウトウトしてしまうだろうが

シャワーでスッキリしたせいもあり

眠くなかったのでそのまま横になりながら

彼とコロナについて話していた。


意外なところで

価値観が共通していることがわかり、

お互いよき友達という雰囲気で

話は政治や社会情勢と多岐に渡り弾んだ。


「さっちゃんが似た価値観で

こういう話できる人で良かった。」

「そうだね〜。良かったわ。」

「そろそろお腹空いてきた。」

「ランチ食べに行こうか。」

「うん。

このホテルにレストラン何軒かあると思うから

そこでいい?」

「うん。」

「何階にあったかなあ。

さっき書いてある紙あった気がするけど。」

「あ、このクーポンに書いてあるよ。

レストラン、地下と最上階にあるみたい。」

「どっちがいい?」

「せっかくだから最上階にしない?

お天気いいし、景色良さそうださし。」

「うん。行ってみよう。」


身支度を整えてエレベーターで最上階に行った。


「予約してないんですけど。」


店員に窓際の席を案内された。

コロナ対策でアクリル板が仕切られていた。


「あ、横並びはあかんみたい。

さっちゃん、こっち座り。

こっちのが景色見えるから。」

「いいの?ありがとう。」

「コースにする?」

「そんなお腹空いてないし、

コースは時間ないんじゃない?」

「うん、俺ハンバーガーにする。」

「じゃあ私サンドウィッチにするね。」


彼はこれから仕事に行くのに

生ビールを呑んでいたので

さちこは白ワインを呑んだ。


最終話に続く。。。

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