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【小説】フラッシュバックデイズ 15話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

15話 ケンとミキ

大阪 難波。
所謂オタク街と言われる日本橋の近くに俺は部屋を借りた。
仕事もツレもコネも持たない田舎者だが、新天地に胸が高まっていた。

さて、これからどうしたものかとマリファナを一服していると、携帯が鳴る。
携帯を見るとディスプレイに懐かしい名前が表示された。
ケンだった。
「大阪引っ越してきたってダイサクから聞いたんやけど」
ケンはダイサクと一緒に大学時代にバンドサークルに入ってきたが、その数か月後に大学を中退してから連絡はとっていなかった。
「今、カフェでバイトしよるんやけど、良かったら来ない?」
もちろん、断る理由はない。アメ村のカフェまでは自転車で数分だった。
アメ村はド平日にも関わらず若者で溢れていた。
「久しぶりやん~」
ケンは髪が伸び、少しヒッピーっぽい雰囲気になっていたが変わってない。
ケンは大学中退後、音楽の専門学校に入り卒業後、カフェでバイトをしながら制作活動をしているそうだ。
アジアンテイストのカフェは居心地が良く、ケンと近況報告を喋りながら閉店まで居座った。

その後、カフェのスタッフ達も交えて俺の歓迎会と称して飲みに行った。
羨ましい事にケンを除いたカフェのスタッフは全員女の子で、仕事終わりに良く飲みに行くそうだが、ケンは女に囲まれた飲みの席に辟易としており、男の俺が大阪に来てくれた事が嬉しかったらしく、俺を大歓迎してくれた。
歓迎会はお開きとなり、俺の家は駅も近く、ケンの帰り道の中間地点だったので、ケンは勿論、カフェのスタッフの同い年のミキとケンの彼女エリちゃんも終電まで俺の家に早速遊びに来ることになった。

「こんなとこに出しっ放しはあかんで~」
部屋に入るや否や、パケに入ったマリファナと出し放しだったモンキーパイプがミキに見つかってしまった。
ケンもエリちゃんも笑っていたので安心した。勿論、4人でマリファナを吸う事になった。
せっかくなのでジョイントを巻こうという事になったが、苦手だという事も伝えると、ケンはともかく、ミキが名乗りを上げた事に驚いた。
ミキは手慣れた手付きでタバコとマリファナをほぐしあっという間に綺麗なジョイントを作った。
ミキは姉と姉の彼氏の影響で、同年代ながら様々なサイケデリックトランスのレイブを数々と経験してきたレイバーらしく、俺よりも遥かにいろいろなドラッグ/パーティーの経験とコネクションがあった。
ミキは俺が仕事を探している事を聞くと、知り合いのお店がスタッフを募集していたからと、面接の手配をしてくれた。

ケンの不格好なジョイントを回し終えると、終電の時間が近づいていた。
ケンとエリちゃんが帰るのと同時に俺はミキを駅まで送った。
終電間近だが相変わらず、大阪は人で溢れていた。
皆楽しそうだ。
でも俺も一人じゃない。隣を歩いているミキが俺の彼女のように思えてなんだか嬉しかった。

つづく

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