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同種移植に少し近づいた話
骨髄バンクの進捗結果の連絡が時々届く。
進捗は芳しくない様で、結果的に親族からのハプロ移植(半合致移植)の可能性が強まっている。
現状とハプロ移植について、簡単にまとめていこうと思う。将来誰かの参考になれば、幸いである。
※抗がん剤投与後の肌の変化についてはほぼ変化なく、横ばい推移。
▼ 同種移植について
私の行う同種移植には
1 近親者からの移植
2 骨髄バンクからの移植
3 臍帯血からの移植
といった種類がある。
同種移植とは簡単に言うと『他人』の血液細胞(血液を造る細胞)を自分に移植することである。
▼ ハプロ移植とは?
移植するにはHLAという白血球の型が重要で、一致率が高ければ高いほど副作用(GVHD)の可能性が少ないことが証明されている。
※下記は分かりやすいサイトです。
すでにこのNoteでも書いているが、私の親族で唯一移植の出来る可能性のある弟が半合致とされているので、弟から移植を受けた場合はハプロ移植というカタチになる。
▼ ハプロ移植の効果とリスク
そもそも同種移植は強い治療なので、効果とリスクが存在する。ごくごく簡単に書くと、以下の様になる。
【同種移植】
血液細胞と自分の免疫を必要以上に破壊(抑制)させて、他人の血液細胞を移植すること
メリット
・抗がん剤で死滅させられなかったがん細胞が、他人の免疫(白血球)で攻撃できる
デメリット
・他人の免疫は自分の体を『異物』として捉えるので、臓器等を攻撃する恐れがある(GVHD)
・異物への攻撃抑制は免疫の抑制のため、感染症リスクが高い
抗がん剤の効果はもちろんながら、他人の免疫でがん細胞を攻撃することが目的の治療であり、活動しない自分の免疫を他人の免疫に置き換えることが最大の目的の治療と言える。
『他人の免疫に自分の体を乗っ取ってもらう』というカタチが一番イメージしやすいかと思う。
恐ろしいのは他人の免疫は私の体が『異物』なのでがん細胞以外も攻撃する可能性が高い。
結果として命を落とすのはその免疫の攻撃による重要な臓器不全と、移植のために免疫を意図的に下げた時に感染した重篤な感染症によるものが多い。
【ハプロ移植】
同種移植の理想としては、HLA型の完全一致とされている。免疫の暴走による臓器等への攻撃のリスクが減ることが、大きな要因である。
GVHDに関しては完全一致移植をしても起こりうることであるようだが、Twitter上ではハプロ移植による後遺症に苦しんでいる人が多い様に感じている。
・皮膚疾患
・味覚障害
・臓器障害
・消化管障害
この辺りを抑えるために免疫抑制剤等の投与も行われるが、同時にそれは感染症リスクを上げることにもつながる。
・免疫が自分を攻撃するリスク
・免疫を下げることによる感染症リスク
この2つはおそらく今後の治療で避けられないと思われるし、GVHDに苦しむ人と自分を重ねると少し苦しくなる。
完全一致と半合致の移植では完全一致の方にメリットが振り切れているように感じていたが、いくつかの文献の中にはこの様な記載もあった。
※内容は簡単に意訳しています。
ハプロ移植の場合、免疫細胞が異物として認識する可能性が高い。そのため重要な臓器を攻撃するリスクもある一方で、がん細胞(特に自家移植等で除去できなかった強い細胞)についても異物として除去する可能性も高まる。
その攻撃多寡は、免疫抑制剤の強弱によってコントロールすることも可能であるため、一概に完全一致移植の方が優れているとは言い切れない。
完全一致移植であれば、体になじむ可能性が高い一方で本来の目的(他人の免疫にがん細胞を攻撃してもらう)を果たせない。
一方でハプロ移植であればGVHDのリスクは上がる一方で、本来の目的(他人の免疫にがん細胞を攻撃してもらう)に関しては効果的でかつコントロールも出来る。
そういった内容と解釈している。
現在医学の進化の賜物(過去には完全一致移植以外は難しかった)と捉えるのか、あくまで『可能性』といった程度の慰めなのかは分からないが、今の私にとってはプラスに捉えるしかない。
事実をどう捉えるかは、自分次第だからだ。
▼ 今後の見通しと今
弟の半合致報告を受けて数ヶ月。骨髄バンク経由でドナー選定がされてきたが、結果は芳しくなかった様である。
・HLAの高合致者が少ない
・移植依頼も拒否される
直接的な説明ではなかったが、間接的に上記は感じた部分である。HLA型についてはやむを得ないかもしれないが、移植拒否の背景を調べると
・仕事が忙しい
・体調が良くない
・バンクにはただ登録しただけ
といった様々な理由がある様だ。
もちろん善意の登録なので登録者が増えることは喜ばしいのであるが、移植の実態が改善してこなければ結果として命を繋ぐことが出来ないことを改めて実感する。
![](https://assets.st-note.com/img/1680989019636-sjwLgqyDKn.png?width=800)
骨髄バンクでのドナー選定は現在も進行(数名に依頼中)しているとのことであるが、現在の抗がん剤治療の効果とタイミングを考えた時にハプロ移植がベターであると判断された模様である。
断言できないのは
・弟の体調等移植できない可能性が残る
・私の体調や感染症の可能性
・完全一致者の骨髄バンク登録
といった不確定要素が残るからである。
その辺りの不確実要素を取り除いたとして、実際に現在の抗がん剤治療を続けるにもリミットがある。
抗がん剤治療も当たり前のようにしているが強い治療であるので長くは続けられないし、がん細胞が現在の抗がん剤に耐性を持つことも当然あり得る。
・抗がん剤がある程度効果がある状態
・ドナーが存在する
・同種移植を受ける体力がある
そういった様々な状況を鑑みて、現在ハプロ移植の話が進んできている。
具体的な移植の日程はまだ確定ではないが、もう1クールの抗がん剤投与の後に5月中旬に転院をして移植となる見込みである。
この辺りが確定していけば、経過報告としてまたNoteを更新したい。
▼ さいごに
未来はどうなるか分からないが、先ずは移植に向けて話が進んだことに感謝をしている。
移植が出来ないで命を落とした人や、金銭的な面から移植を断念せざるを得ない人などが実際存在する中で、自分は移植が出来る可能性がある。
もちろん寛解して欲しいが、そうならない未来もあり得る。後遺症や感染症に苦しむ可能性もある。
ただ、可能性を追って生きられるという事実は残っているので、あとはそれに向けて自分の出来ることをしていきたいと思っている。
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