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贈りたい、は愛だ。

その人からSNSで連絡があったとき、驚いた。とてもすてきなエッセイを書くなあとずっと思っていた人だったから。内容は、わたしの住む波佐見町へ来るのだけれど、もしよかったらおすすめの窯元などを教えてもらえたら、というものだった。

こんにちは、こんばんは。くりたまきです。
長崎県波佐見町という、400年焼きものをつくってきた土地で『Hasami Life』というWEBメディア兼ECサイトの運営に携わってます。

そんなわたしのところに来た、知り合いの知り合いからのメッセージ。波佐見は車がないと移動がちょっとめんどくさい。すこし考えて、わたしが案内しましょうかと提案した。はじめましてのやりとりからして、楽しかった。

はじめて直接会って、不思議な人だなあと思った。ワンピースとアクセサリーが似合う人。好奇心いっぱいで静かな瞳、正直にしか口にできないのだろうなと感じる言葉たち。なんだか歳上なのに庇護欲がくすぐられる、無防備さ。からだの内側の宇宙が広そうな人。

案内した窯元さんで、その人はうっとりと、一つひとつを手にとって、宝ものみたいに波佐見焼にふれていた。

波佐見焼が好きで、どうしても、仕事の合間にでも、波佐見町に寄りたかったのだという彼女。

「どうして、波佐見焼を好きになったんですか?」
「いつの間にか、気づいたら集めてる焼きものに波佐見焼が多かったんです」

そう話してくれたことがうれしくって。ああ、この人に、本当に波佐見焼が好きな人に『Hasami Life』で書いてもらいたい、と思った。

彼女の書くエッセイはすばらしいと知っていたし、波佐見焼に限らず手づくりのものを愛する人でもあるし、依頼しないという選択肢がなかった。

それからエッセイを書いてもらって、昨日記事が公開になった。最後の整える部分では、新しい企画を進めるなかで自分自身の力不足を痛感したけれど、すてきなかたちで今年最後の仕事を世に出せて、ほっとした。

みずみずしくて、きゅっと胸が締めつけられて、そしてあたたかい気持ちになるエッセイ。どうしても波佐見焼を贈りたいという、10年間のストーリーを経た想い。

ものを買うに至るまでには、大なり小なりストーリーがある。きっと多くの人にとって買いものって、そういうものなのだろう。

とりわけ、贈りものには、ぎゅっと凝縮されたストーリーが宿る。

焼きものは、かたちが残るもの。そして基本的には、使う道具として存在する。誰かとの時間に寄り添ってくれて、空間に華やぎをもたらしてくれる。

そんなことを、再確認した。一人ひとりの日常に、買いものに、ストーリーがある。そのことを忘れずに大切にしながら、これからも『Hasami Life』の運営に携わっていきたい。

焼きものを贈りたいって、愛だ。永遠よりは短いけれど、人の一生よりも遥かにながく、この世界に残る可能性の高いもの。気持ちを注ぎ込むためのうつわ。

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あなたの【あのひとに贈るなら】というストーリー、もしよかったら教えてください。焼きものでなくても。Twitterでも、noteでも、コメントでも、DMでも、『Hasami Life』のお問い合わせからでもいいです。

SNSに載せてくださるという方は #あのひとに贈るなら とハッシュタグつけてもらえたらうれしいです。もしよかったら、ぜひ。飛び跳ねてよろこびます、わたしが。


さいごまで読んでくださり、ありがとうございます! サポートしてくださったら、おいしいものを食べたり、すてきな道具をお迎えしたりして、それについてnoteを書いたりするかもしれません。