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【実践編】ミッション達成型おにごっこ~逃走中~

おにごっこにはさまざまなバリエーションがあり、各変数を調整することで無限にオリジナルおにごっこを作ることができる。そして、それらの変数の構造化は別稿でしてきた(『楽しいおにごっこのつくり方8選』を参照されたい)。

一方で、TV番組の企画でもあり、子どもたちの間でも非常に人気の高い「逃走中」というおにごっこゲームは、また違う要素が含まれる。そこで本稿では、一般的なおにごっこと「逃走中」の違いを整理し、私が実際に学級で行ったゲームのマネジメントについて紹介する。

1.【おにごっこ】×【かくれんぼ】×【ミッション】

「逃走中」といえば、ハンターとよばれるおにから制限時間内逃げ切ることを目指すおにごっこが原型となっているゲームである。また、TV番組の場合はショッピングモールや遊園地などの広大な敷地を会場とする場合が多く、逃げ切るために「隠れる」という手段が有効となるため、一種の「かくれんぼ」的な要素も強くなる。

しかし、このゲームの真のポイントは、「制限時間内に課されたミッションを遂行すること」であろう。逃げたり隠れたりしながらも、会場内のあるポイントを目指す必要があったり、特定の指示を遂行しなければならなかったりする。それに失敗すれば、ハンターの増員などおにごっことしての難易度が高くなってしまうため、プレイヤーはリスクを冒してでもミッションの達成にコミットしなければならない。

もちろん距離や時間などの制約を踏まえて、そのミッションへのコミットを見送る判断も許されているが、そのような状況判断が問われることで、ゲーム構造が「同時多発的な個人戦」から「チームで協力するゲーム」へと進化していくのである。したがってこの様相の変化こそ、このゲームのアイデンティティであり、それを生み出している「ミッションの存在」こそが、このゲームの神髄であるといえる。

2.ミッションのつくり方

ミッションの重要性がわかった上で、ではどんなミッションを設定すればよいのか。そこには3つのポイントがあるように思える。

①協力要素があるか

誰か1人のコミットだけで達成できてしまうのでは、せっかくのミッションがチーム戦へと発展していかない。「誰かと同時に」や「多数を集める」などの条件をつけることで、そのミッションにより多くのプレイヤーが関われるようにすることが大切である。

②地形を生かせるか

「逃走中」のようなミッション達成型おにごっこでは、どんな形の会場で行うかが大きく影響してくる。かくれんぼ要素もあるこのおにごっこの中で、ミッションの達成のために見晴らしの良い場所へ移動しなければならない状況をどれだけ作れるかがカギとなる。逆に身を隠しながら目的地へアプローチできるような地の利を生かした戦略の余地を残しておくのもよいかもしれない。いずれにせよ、実施会場の地形とミッションの関連性は必ず意識したい。

③時間制限を設けているか

”本家”であるTV番組の逃走中でも、ミッションには時間制限が設けられている。数秒~数分で終わる通常のおにごっこと違い、数十分という長い時間をかけて行われるこのゲームでは、「時間」という新たな変数の調整が可能となる。例えばゲームの序盤10分間限定のミッションを用意したり、終盤に新たなミッションを「後出し」してもよい。ゲームの実施時間が長い分、ミッションに時間制限を設けることで展開を大きく変えることができる。

3.実際の実践例

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