見出し画像

喫茶天国、名古屋の旅。

名古屋はなんといっても喫茶店の街だ。
その歴史は、「茶の湯」が庶民にまで普及した江戸時代にまで遡るらしい。

先日、喫茶店・カフェを巡る「喫茶観光」に繰り出したので、まとめてみる。

1軒目は、
コーヒーハウス かこ
名古屋で初めて自家焙煎を始めたお店、らしい。

そして喫茶100銘店にも選ばれた人気店。
開店前の7時から人が並び、時には20人待ち、なんてこともあるそうだ。

ひええ、、、。名古屋の方のモーニングにかける情熱すさまじいな、、、。
まあもしかしたら、名古屋に来たからには食べにゃ帰れぬ、、、といったわたしみたいな観光客が占めているのかもしれないけれど。

この「かこ」の名物の一品「シャンティールージュスペシャル」を注文。
一目見て、ああこれは映えるわ、と思った。

現に、そこにいるお客さんのほとんどがこれを注文していた気がする。

トーストにあんこ、クリーム、そして手作りのジャムがちょんと乗せられている一品。
その日は、「ルバーブジャム」「バニラバナナ」「アップルバナナ」とあともう一種類は「パインなんちゃら」だった気が。
日によって変わるらしい。

濃厚でありながら、後味が軽めの食べやすいクリームと、ほっとするおなじみのあんこ。

甘さの相性が抜群に良い。融合する和と洋。

映え、だけじゃない美味しさ、、、。

幸せな甘さと、こくのある珈琲も、いい塩梅だ。
ちなみに、カフェオレを注文したら、ホットコーヒーの方をおすすめされたので、素直に従った。

普段は珈琲をブラックでは、あまり飲まないわたしにも、まろやかで飲みやすい味だった。

マグカップ、じゃなくてこういうティーカップ、いや珈琲カップがいいんだよね。そして喫茶店安定のブラウンシュガー!!

さすが人気店で、こじんまりとした店内なんだけど、常にお客さんが何組か外で待ってて、次々に入れ替わっていく。
読みかけのエッセイを鞄に忍ばせてきたけれど、長居するのは申し訳ないので、食べ終わってすぐに店を出ることにした。

わたしは美味しい飲み物や食べ物を片手にぼんやり何かを考えたり、本を読んだり、日記を書いたりする時間を愛している。
雰囲気が良くて、もちろん飲み物や食べ物が美味しくて、でも人が少なくてゆっくりできる、、みたいな純喫茶はなかなかないものかなあ、と考えながら、一軒目を後にした。


2軒目。「月のうさぎ」

少し重い扉を開けると、重厚感のある家具が目に入る。
どこか古典的な花柄がしつらえられたカーテンや椅子。そして頭上には、控えめに煌めくシャンデリア。どこかお屋敷にお邪魔しているような気分になり、なんだか心が躍る。

そして、大正時代くらいがコンセプトなんだろうか、店員さんの矢絣の袴がとても雰囲気があって可愛い。

一件目で珈琲を頂いたのでここでは、ロイヤルミルクティーを。
運ばれてきたとき、うわあ、と思わず声があがるほどの可愛さ。もしや、と思ってお茶を注ぐ前のカップを、裏返し、ティーソーサーに合わせてみる。

か、可愛いすぎる。

・・・やっぱり。
予想通りの重なりに、一人にんまりとする。


彩り豊かな器にふさわしい、華やかな香りがわたしを満たす。
からりと氷が鳴る、きんと冷たいアイスティーも好きだけど、紅茶を最も深く味わうならばやっぱり香り立つホットに限る、というのがわたしの持論だ。

添えられた、焼きたてでほんのりと熱を持つクッキー。
店名とあいまったうさぎの形が、なんとも愛らしい。ちょっとしたお菓子はお茶タイムを何倍も豊かにする。
飲み物を頼むとちょっとしたお菓子がついてくる、この幸せ上乗せ文化、どうかもっと全国に広まってはくれないだろうか、と切に願う。

目に入る光景が素敵で、普段はあまりしないんだけど、ノートを取り出し、柄にもなく、ペンを滑らせる。
少しずつ写し取られてゆく光景は、写真を撮る数秒に比べると何倍もかかってしまうけれど、わたしが心ときめいたものたちを如実に写し取るらしい。

お行儀よく並ぶ様々な姿かたちの食器たち。華やかなティーカップたち。ふんわりとした太眉にオレンジを基調としたメイクが矢絣の袴に似合っている店員さん。

お腹も心も持たされ、1軒目とはまた違った、ゆったりとした心持ちで店を出る。そろそろ、飲み物だけじゃなくて、なにか食べるのも良いかもしれない。

扉のベルのうさぎ。

3軒目。
気になっていたお店「喫茶ニューポピー」へ。

字体デザイン、味がある、、。

懐かしい雰囲気を残しつつ、新しく風を取り入れてリニューアルしたらしい、お洒落な雰囲気の喫茶店。

ここで頼んだのは、このお店の名物である「珈琲カレー」と「大人のクリームソーダ」

珈琲とカレー?不思議な組み合わせ、珈琲で炊いたお米を使ったカレーライスだ。
ほんのりと色づくお米が新鮮。ほんのちょっぴり風味がついたお米にスパイスが効いて辛さと甘さが織り交ぜられたカレーによく合っている。
あっという間に、空になってしまった。

カレーは正義。

こちらのクリームソーダは、「大人の」と名付けられている通り、メロンソーダのようなはっきりした甘さではなく、さわやかな甘さですっきりと飲みやすい。

バニラが溶けて、次第にまろやかな味になってゆく過程を楽しめるのも、クリームソーダの醍醐味。

特別美味しいわけではないけど、あったらテンションが上がる、代表格、真っ赤なチェリー。果実、という自然のものでありながら、どこか人工的な味がする。

クリームソーダといえば、そういえば小学校に上がる前くらいの幼いとき、一度だけ今は亡き祖父と喫茶店に行ったことがある。

「何にする、クリームソーダか、クリームソーダにするやろ。」

そう尋ねたくせに、わたしが何も言わないうちに、注文されたクリームソーダ。

なぜ祖父と喫茶店に行くことになったのか、そこに他に誰がいたのか、何の会話をしたのかなど、クリームソーダを飲んだこと以外、一切記憶に残っていない。
しかし鮮やかなグリーンと乳白色の夢のような組み合わせは、今もなお色あせておらず、目にするだけでどこか郷愁にも似た想いを抱く。

寡黙だったけど、優しかったおじいちゃん。

クリームソーダを起点として、祖父に久しぶりに思いを馳せる。
いつもと違う環境に身を置くということは、時に何の扉を開くのか、予想がつかないな、なんて思いながら店を後にする。

4軒目は、「シャントン ルージュ」
こちらは喫茶店というより、カフェかな。
猫がコンセプトのようなカフェ。

そのときどきの作家さんの猫をテーマにした作品や商品が壁際にずらりと並んでいる。
なんと本物の猫も、、!といっても猫カフェではないので触れることは出来ないけれど。

その日出勤なさっている(日で変わる)猫は、思わず猫様、と呼びたくなるような毛並みのつややかな堂々たる美しい猫だった。

猫様に見おろされる図。



夜も遅くなってきたこともあり、カフェインの入っていないハーブティーを注文する。
ここでもついてくる、ちょっとした甘いモノ。

オリジナルブレンドのハーブティーを啜りつつ、置かれている本の中から一冊を引っ張り出して開く。

やっぱり、猫に関する本を、ということで手に取ったのは、石田ゆり子さんの「ハニオ日記」。
こちらは、愛する家族である猫や犬たちとの暮らしを動物たちの目線を交えながら日常を綴るフォトエッセイのような本だ。

石田ゆり子さんのエッセイは何冊か持っているけど、この本もお迎えしようかな、、、。


日常に寄り添う彼らの愛らしい写真を見ていると、ああ犬や猫と暮らしてみたいなあ。と憧れが募る。

ひたすら喫茶店を巡る、「観光喫茶」初めてやってみたが、大満足だった。

馴染みの「いつもの店」も素敵だけど、知らない土地を歩いてみて入る、初めての店だからこその愉しさも、なかなか良い。

そして名古屋、まだまだ行ってみたい喫茶店やカフェが溢れており、一泊二日じゃ時間が足りない。
また、ぜひ観光喫茶をしたいなあ、と名残惜しく思いつつ帰宅した。

#喫茶店 #カフェ #旅行  








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?