見出し画像

ピュアソウル

それは遥かな時を超えたお伽噺の真実

私達がまだひとつの命でひとつの母体に
二つの魂で存在していた頃の兄と妹の物語

御神子(みかんこ)としてこの国に
私達の魂が誕生したのは紀元前392年

そこには誰一人何ひとつとして
私達が私達であることを妨げるものはなく
ありのままの姿で自由に
生命を光へと誘うことが出来ていた

誰か人に神を置いたのか
誰が摂理を狂わせたのか

私達は男性原理と女性原理に引き裂かれ
幾世代もの時を超え輪廻を繰り返すこととなった

私の魂が次にこの国に生まれたのは
後々の世に卑弥呼と呼ばれることとなった女帝の
第一子として誕生した192年の12月18日
多くの魂を救い導く特殊な力を持つ
天照大神の姫巫女として
母亡き後悲嘆にくれる民をまとめ
天日再興の大義を果たす

国家は世界の一部
世界は地球の一部
そして地球は
この壮大なる宇宙の中に青く輝く
美しい生命ある星

生命ある宇宙と繋がる私達の魂は
果てしない輪廻を繰り返し
途切れることのない『今』を
見紛うことなく
確かな眼差しで見つめている
肉体は大地に還り
魂を天に還して
限りある命の循環に愛を求める
転生は800年毎に行われ
最期に地上に堕ちたのは今から800年前
その聡明で美しい姿から時の帝に見そめられ
多くの生きとし逝けるものの心と魂を
光へと導く術をもっていた

月の巫女と呼ばれ
多くの人を救っても
自らの愛が満たされることはなく
幼い頃に心を寄せていた人の病を知った時
自らの想いの真実が甦る
どれほど心を尽くしても
巫女の胎内に新しい命が宿ったと知られた時
貞操を疑った宮中の人々はその命が
あらゆる災いを巻き起こすものとして
まだ寒い雪の降り積もる山へと
臨月の巫女を追い払った

身勝手な人々の有り様に
精も魂も尽き果てて
雪山に倒れる巫女に
藍色の曼珠沙華が闇を仰ぐ
雪の精霊達に見守られ
巫女はその力を胎内の我が子に託し
果てしない転生の旅に終止符を打った

冷たい雪山の中で産声を上げた新しい命
ピュアソウルは純真なる母の祈り
天と繋がり大地と繋がる二つの魂

いつの日か
ありのままの私達で
心からの幸せと
愛することの真実に
巡り会うと信じて
















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?