【詩】芋けんぴに負けた日【なん歌】
芋けんぴに負けた日
手強い敵だ芋けんぴ
ひと噛みしたら歯まっぷたつ
満身創痍ぐらぐらで
歯医者へ向かう春曇り
満開の白うつすよう
花水木色満ちる雲
御守り代わり音にのる
かっこいい歌でかっこつける
大人だもんねこわくない
何食べました?芋けんぴ
カルテに残った敗戦記録
歯の半分とさようなら
表も裏もないんだって
初耳だったよ歯医者さん
麻酔じんわり帰り道
こっちを見ている白い犬
遊びたいけど遊べない
犬に寄り添う女の子
茶色く枯れた花びらを
両手いっぱいに掬ったなら
お母さん言うやめなさい
おかかみたいでおいしそう
そう思ったのは変かしら
たちまち雲が墨染に
電車汗掻き走ってきた
先頭車両揺られつつ
歯茎を舌でたしかめて
歯の表裏かんがえる
どこから見ても真正面
真っ向勝負で負けたなら
歯の健闘を讃えよう
麻酔切れたら夕ご飯
ふあんに耐えたご褒美に
おかかふりかけかけましょう