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一行小説集「赤/月/墓地」

 床屋で髪を洗ってもらっている時、うつむいた顔の下を流れるお湯が赤いことに気づき、悲鳴を漏らすと、店主が「まだまだ赤くなるよ」と耳元に囁いてくる。

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 月を作る工場に勤めていた外国人労働者たちが、パトカーの中から夜空を見上げている。

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 電車に乗っている時、電車が墓地の横を通りすぎるたび、「墓地だね」と車内アナウンスが流れる。

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眠れない夜に

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