見出し画像

一行小説集「忘れ物、指の数、ビー玉」

 公衆便所の個室に、首吊り縄の忘れ物があったので、何となく手にとり、ほどいていたら、突然、個室に鋭いノックの音が響く。

***

 自宅を出てすぐそこにある横断歩道にずっと落ちている手袋の指の数が、日に日に増えていく。

***

 精神安定剤の瓶の中身が全てビー玉になっていて、振り返ると、ドアの隙間から娘が私をじっと見つめている。

この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?