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一行小説集「カラス/蛇口/詰替」

 カラスの剥製を抱いた老人が、朝のゴミ捨て場のゴミ袋を漁っている。

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 額から蛇口が生えているお坊さんが、私の母の棺桶を覗き込んで、おもむろに栓をひねった。

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 失恋した夜に、涙の詰替がまだ家にあったかどうかを思い出しながら、夜道をへらへら笑って歩く。

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眠れない夜に

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