一行小説集「羽音/骨/コンビニ/痺れ/星」
養蜂場の周りをぐるぐる回っていた叔父の羽音が、大きなため息とともに遠ざかっていく。
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遠い場所で野垂れ死にした兄の骨は、兄が愛していた鴉たちにより、少しずつ我が家へ運ばれてきたが、それらを組み合わせてみると、左手の薬指の骨だけ、無い。
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いつ来てもこのコンビニは、実験用マウスが売り切れている。
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満員電車の中で、足が痺れてきたので、足元を見ると、誰かの位牌を踏んでいる。
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夜空にぶら下げられた星捕り紙の青い匂いが、夏の町に満ちている。
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