一行小説集「蝿、隊列、苺」
ある夏の日、私の家のエアコンの室外機の上に、整然と蝿の死骸が並べられていて、どうやらこれを使って誰かが誰かに算数を教えたらしいことがわかる。
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「?」の形に隊列を組んで西の地平線の向こうへ消えていった鳥の群れが、数日後、「!」の形に隊列を組んで、戻ってくる。
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一人きりで迎えた誕生日に、コンビニでケーキを買い、死んだ兄を真似して苺を先に食べようとしたら、いつの間にか目の前に兄の幽霊がいて、私を見てゆっくり首を横に振る。
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