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おわりに(旅エッセイ 20/10/24〜)
フィンランド旅5日目。
次の日が帰国なので実質、今日が最終日。
朝、電車に乗ってカフェへ。
本場のシナモンロールとコーヒーの相性が抜群で思わず身体がとろけそうになる。
車旅を終えてからは基本的には友達と別行動をとっていた。
なんせずっと車の中で一緒だったので、お互い1人で行動したいよねと自然の流れでそうなった。
ゆっくりと1時間ほど過ごし、店を出て、少し歩きヘルシンキ中央図書館Oodiへ。
全面ガラス張りで外の景色を眺めることができる椅子に着座。
深呼吸をして自分に意識を向ける。
こうやって1人で考える時間が好きだ。
3年の社会人生活を経て、どうやら自分が会社や社会に対して抱く違和感を他の人より多く感じてしまう面倒くさい性格であることに気づき始めたのがこの頃だった。
なぜお酌をしないといけないのか、なぜ大人は暗い顔で満員電車に乗っているのか、なぜ「現実はそんなに甘くないよ」と言われるのか、なぜ空気を読むという言葉が生まれたのか。
そういった疑問を、日課の夜の散歩中に、ぐるぐるぐるぐる頭の中で巡らせ、自分に相談しながらずっと考えて、納得したり、時には諦めることで自分に折り合いをつけていた。
そして違和感の原因は、少なからず今の日本の社会の仕組みが影響していることを実体験や読書を通じて分かったが、それだけが全てではないと同時に思っていた。
現状は理解したが、その現状の中で自分がどう生きていけばいいのかををずっと考えていた。
だけど、ガラスの向こう側に広がる青空を見て思考を巡らせても、その時は答えを見つけることができず、旅は終わった。
あの日から1年以上経つ。
今回のマガジンを書いていた1ヶ月の間、旅を改めて振り返ることで、文化や歴史、国民性などフィンランドに関する色々なものに興味が湧いた。
自分なりに色々と調べていく中で、世界幸福度ランキングというものに目が止まった。
国連が毎年行うその調査はその名の通り各国の幸福度を示し、フィンランドは3年連続の世界一であることに対し、日本は2016年に50位台に後退してから順位を下げ続けている。
トップクララスの経済力を誇る一方で、幸福でなくなっているのだ。
詳しく見てみると日本は「寛容さ」の項目が他国と比べ異常に低いという理由でランキングの順位を落としていることが分かった。
寛容さとは自分と異なる意見・宗教を持っていたり、異なる民族の人々に対して一定の理解を示し、許容する態度のこと。
なるほど。同調圧力や承認欲求という言葉が溢れるこの国は確かに寛容さを感じる場面が少ないのかもしれない。
そのことが分かった時、あの頃ヘルシンキの図書館で考えた、社会に対する違和感やその社会での歩み方に対するヒントになるかもしれないと直感的に感じた。
それはこれからも続くであろう長い長いトンネルを走る上でようやく見えてきた光のようなものだった。
今回のマガジンはここまで。
旅が終わっていないことが分かったから。
今はフィンランドの思想やカルチャーに精通している人たちの情報をSNSで拝読させていただく毎日を過ごしています。
それが楽しくて楽しくて仕方がない。
あの日終わったと思ったフィンランド旅はずっと続いていたんだ。
それではまた、次のマガジンで。
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