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【#ずんだもんの東大文系合格マニュアル】vol.3 『上級現代文I』(桐原書店)は東大対策にどう使うべきか?


 
 ずんだもんなのだ。2017年文III現役合格で、卒業後の今は場末の塾で教鞭をとりつつフラフラしている身空なのだ。今回もよろしくお願いしますなのだ。

 四国めたんです。一浪で2022年文Ⅰ→法学部三年生です。先週久しぶりに駒場キャンパス行ったら、一号館裏のフードショップが跡形もなく消え去っててショックを受けました。本日もよろしくお願いします。

 噂では再オープンするらしいけど詳細未定らしいのだ。ボクもこのあいだサーオリで駒場行ったんだけど、救済措置?として11号館西側に自販機が三台新設されてたよ。フードショップ閉まってる時間帯で飲料を入手するのは生協か学館の自販機まで行かないとで地味に面倒だったから、今の駒場生はうらやましいのだ。

 ところで今回からは何をやるの?参考書関連というのだけは聞かされてるんだけど?

 そうだね。シリーズ企画として、僕が受験生時代に使っていた参考書を一冊ずつ紹介・レビューしていこうと思うよ。そのうえで、東大入試を突破するうえで、どういう点がやってよかったかとか、あるいはやらなくてもよかったかとか、その辺まで踏み込んで評価を下していくのだ。

 ええと、今回は現代文なのね。『得点奪取』とかかしら。

 それもあるけど、あの本に関しては書きたいことがたくさんあるから後日に回すのだ。あと事前に断っとくんだけど、ボクはそもそも現代文自体があんまり得意じゃなかったから、その点、参考になるかどうか怪しいのだ・・・

 そういえばずんだもん先輩は受験生時代は国語が苦手だったって言ってたわよね。確かセンター試験で大失敗したとか?

 そうなのだ。センターは143点でこれは完敗、二次試験も61点という微妙な成績なのだ。

 センター143はさすがに爆死感否めないけど、東大二次の文系国語で61点は、まぁ耐えではあるんじゃない?

 入学後の同クラにはセンター国語139点がいたよ。彼もそうだったけど、現役生だと国語が不安定で本番下振れはまぁまぁありがちなのだ。

 頑張って安定した国語力を身に付けるか、多少国語で失点するのを見越して他教科で補填できるようにしておくか、どういう戦略を取るか難しいところよね。

 そうだね。読者兄貴姉貴たちにはいずれの方針でいくかをしっかりと決めておいてもらいたいのだ。まぁでもボクみたいに7割はさすがにお話にならないから、文系なら下振れしても共通テスト150点くらいは確保できるようにしてもらいたいのだ。

 
『上級現代文I』の概説


 そろそろ本題に入りましょうか。って、さっきから右手にずっと持ってるのがもしかして今回の参考書なのかしら。

 そうなのだ。『上級現代文I』(桐原書店)なのだ。2024年1月に改訂新版が出てるけど、今回は受験生時代に使ってて今も手許にある旧版ベースで話を進めていくよ。まぁ基本の部分はあんまり変わらないから大丈夫だとは思うのだ。

 本筋とは関係ないけど、シンプルだけどカッコいい装丁よね。たしかIが黒で、IIは赤なのよね。

 そうなのだ。飾り気がなく、それでいて気品溢れるデザイン。ボクが知ってる参考書の装丁のなかで、一、二を争う美しさなのだ。

 私の友達で使ってる人はいたけど、私は解いたことないのよね。現代文の記述式の演習本とは聞いたけど、じっさいどういう感じなの?

 現代文の記述において、どのような要素が加点対象になるのかを、わかりやすく示した記述式の演習本なのだ。それぞれの要素について、このような書き方でもOKというのを複数示してくれているのもありがたいのだ。いい回答例、悪い回答例についてもちゃんと例示されているところもかなり好感が持てるのだ。

 つまり、現代文の記述に関して、添削などに頼らなくても、自己採点で自分の答案はどういう点を拾えていて、何が漏れているかというのを客観的に評価できるようになっているということね。なんか『得点奪取 現代文』(河合出版)にそっくりよね。

 そうだね、解説の質とか印象で分けると、『得点奪取』が硬めだとするなら、この『上級現代文I』は多少柔らかめといったところかな。どちらも河合塾系の参考書で、とくに大きな差はないから、基本的にはどちらか一冊を手に取ってもらえばいいと思うのだ。

 もし強いてどちらか一冊にするなら?

 『上級現代文I』だろうね。基本的な方針は同じだけど、なにより解説の丁寧さ、自己採点のしやすさはこちらが勝っているのだ。そういえば、この記事を書くにあたって、7年ぶりくらいに一問解いてみたのだ。小池昌代さんの『背・背なか・背後』というエッセイに関する問題で、なんとなく東大文系の第四問に近かったから選んだよ。

それで採点結果は?大学で文学を専攻したから受験生時代からは多少成長したのかしら?

受験生時代から較べる見違えるように点数が取れた(悪筆は改善せず)

 記述部分で28/32獲得できたのだ!受験生時代のボクからは考えられない点数だね。さすがに一つ目の論述の要素cは難しくて落としたのだ。でも解説を読んだらしっかり納得できたのだ。

 字汚すぎて草

 ・・・。まぁそれはそれとして、採点例がかなり充実していて、自力でもかなり正確に採点できるのはありがたい点だね。たとえば上の写真のボクの記述三問目の解答の冒頭、「無意識の領域」という表現は、本文中にはなくてボクが言い換えたものなんだけど、模範解答に示されている「背後=死角」という表現以外に、可とする例として「背後=閉ざされた領域・無意識の領域・異世界・こちら側と異なる世界」と、解説にはっきり書かれていることで採点できたのだ。

 確かに、現代文の記述を自己採点するとき、この表現は模範解答と違うけどどうなの?ってなることが結構あるわよね。だからいろいろな言い換えだったり、別の表現だったりが明示されているのは、参考書としてかなり優秀と言えるわね。

 その通りなのだ。現代文の記述における要素による加点方式を明確に示してくれること、可とする回答例として、具体的な別解を複数例示してくれていること、実際の解答例を挙げて、その採点を載せていることなど、その解説の手厚さはこの上ないのだ。もちろん現代文の記述に関して言えば最高レベルの難易度だけど、解説の親切さも最高レベル。文句なしの名著なのだ。

 ベタ褒めね。ということは東大受験においても、この本をしっかりやりこむことが大切になってきそうね。

 うーん、それはまた問題が違ってくるのだ。そこのところに関して、次の章で詳しく見ていくことにするのだ。

東大文系入試対策における『上級現代文I』の活用法

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