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クランク長の決め方

クランク長は身長や股下長で決めません。立位体前屈、下肢伸展挙上、股関節屈曲の柔軟性をもとにアスリートと話し合いながら決めます。

フィッターはアセスメントからおよその目安を導き出して提案します。今回は155mmが適切という判断でしたが、アスリートは普段170mmを使っているのでそのほうがよいという反応。バイクサイズはXS相当です。

くわしく話し合うと、ペダリングスキルが高く知識もあり、身体感覚も高い。さらに後背部と体幹部の筋肉も発達しているので170がこのアスリートには適切と判断しました。

いちばん大切にしているのはアスリートの感覚です。
感覚が鋭い人にはそれに合ったやりかたがあります。

このアスリートの特徴は、クランク長のメリットを生かすために、股関節の可動角度の限られた部分、短い時間(角度)で大きな力をかけて踏んでいるのです。伸展優位の最大化と言ってもいいのかな。




クランクが長いためにペダル軌道(周長)は大きくなり、股関節の可動域も大きくなるのですが、このアスリートの場合は体幹部の大きな筋肉でフォロースルーを支えています。

全周で踏み続けてるわけではなく、3時付近で一瞬大きな力を出したらそれ以外は力を抜いています。動画見ると足首角度の変化がそれを表してますね。職人芸というか名人芸の領域。

さらに後背部の筋肉群が大きいので、ペダルピックアップ(クランク3時付近)で集中して大きな力を出すための要素が揃っているのです。

なので長いクランクでも深い前傾を維持でき、結果、トルク高め、ケイデンス低め、エアロ良好、スピード高めを維持できるのです。

そして、今回のフィットの教訓は「フィットに予断は禁物」ということ。

最終的にはアスリートひとり一人に合ったポジションづくりが第一義ということ。フィッターの思い込み、過剰な提案、経験則を排除して一回一回のフィットに臨むこと。

Gさん、気づきをありがとうございました!


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