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8月の読書

 具体的に仕事復帰が決まったら、具合が悪くなって驚く。とりあえずテレワーク用の椅子を買ったり、仕事のスペースとプライベートをどう分けようか、とか、定時の時間の間、何かをするといった準備を突然フルで始めたのがダメだった気がする。
 それに加えて、骨折がようやく治って、筋トレを再開したので、それによる筋肉痛やら物理的な疲労も重なったのか、午前中に起き上がれて偉い、くらいの日が久しぶりに来た。
 気力でできてしまっても、やってはいけないのだということを、今まで散々やり散らかしてきたのに、またやってしまった。反復強迫がすぎる気がする。自分に対する期待度が実は高いのだろうか。自分のものではない基準にあわせようとしすぎて、それを繰り返しているのだろうか。
 そうこうしていたら、通信制の大学から前期の試験の結果が返ってきた。なんとか単位が取れた。後期も取るつもりではあるが、大丈夫かな、と一抹の不安。幸い今回テスト期間は休職中だったが、次はそうはいかないだろう。たった7科目だが。昔は、よくあんなにたくさんの科目とテストをこなしたものだと、若さってすごいなど。

 「嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書」はとても興味深く、面白い本だった。
https://www.msz.co.jp/book/detail/09004/

 読書体験は個人によって大きく違うという当たり前のことを再確認すると共に、一言で済まされる病気の名前や症状、傾向というものは実はかなりパーソナルなもので、便宜上括られているからといって同じではないということも再確認できる。
 あくまでも便宜上括られているものを一つのことに定義しがちではあるのだなと。名前をつけて括られることで人が見えなくなるという感じだろうか。
 豊かな読書経験を一緒に感じるとともに、これだけ自由な解釈と楽しみを与えてくれる作り手の心の寛大さに感謝しかない。
 この前に「みんな水の中」を読んでいたのだが、それとも通じるものがあり、エスノグラフィー研究会で筆者の方がおっしゃられていた当事者批評やこの「嗅ぐ読書・・」的なアプローチはとても興味が湧いている。
 しかし私は臨機応変で即時的な双方向コミュニケーションが難しい。そこに飛び込むのはかなりのハードルがある。読書会に参加したいな、と思うけれどそれすらも難しいものがあるので残念だ。

「精霊に捕まって倒れる」これはなんとなくピンと来たものがあって購入。かなり面白かった。早めに再読したい。
https://www.msz.co.jp/book/detail/09026/

 「病気」や「治療」の定義も違う中での物語。ここまで大きなものでなくとも個々人の中でも起こっている話でもある。「ケア」とは何かなど、とても示唆にとんだ本だ。
 モン族という一見特殊に見える環境や状況ではあるが実は普遍的なテーマだったりする気がする。とてもダイナミックで一つの物語としてもとても面白い。
 モン族が亡命を余儀なくされ、本来の生活を奪われ、今後言語も失われていくのではという行く末に思いを馳せずにはいられない。
 作中に「自分の行く末を見たくない」というような言葉が出てきて、希望のなさや絶望感をヒリヒリと感じたし、自分の中のどうしようもない塊にフィットする言葉を見つけたような気にもなって不思議な高揚感も感じてしまった。

 読書というのは不思議なもので思いもよらない時に、自分にフィットする言葉を見つけることがあったり、分からないままにしておいた、棚上げしていたものが繋がったりスッと理解できたりする瞬間がある。読書は、そういうのが面白い気がしている。

「メンタライゼーションを学ぼう 愛着障害をのりこえるための臨床アプローチ」を読んだ。
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8569.html

 メンタライゼーションという言葉を聞くのも初めて、という私でもスラスラと読める本でした。言葉の概念の説明は、わかりやすい例が取り上げられ、とても理解しやすい。歴史(そのものの歴史と日本の歴史)にも触れていて、背景などもよく分かる。

メンタライゼーション能力を獲得するということは、単にこころの状態に名前をつけられるようになる(感情の言葉化と心的自己の形成)というだけではありません。自分と親とは別個の人間であり(自他の識別)、そこには越えられない壁があること(世代間の境界感覚)を認識すること、欲求不満ーたとえば空腹ーを我慢できるようになること(自己調整)、希望をもつ能力ー例えば空腹は母親からの授乳によって必ず乗り越えられると信じることーなどさまざまな現象の複合達成なのです。

  これを読んだせいなのか、フロイトを今一度読みたくなったので、その前に「集中講義・精神分析 上」を再読。少し古い本ではあるが、いきなりフロイトにいくとまた途中で断念することになるので、助走的に入門書感覚で再読してみた。面白い。参考資料ページもあるので、どんどん広がる。

 フロイトはせめて英語で読めとか聞くのだけれど、流石にその勇気はない。英語は私の中でかなりの障壁として存在している。圧倒的に勉強時間の少なさゆえとは思うのだが、どうもこうも乗り越えられない。

とりあえず、その流れで今は「集中講義・精神分析 下」を読み進めている。http://www.iwasaki-ap.co.jp/book/b195875.html

あとは、よく行く本屋で年中推されている「庭とエスキース」を図書館で借りてきた。この筆者の新作も出ているので、このタイミングで。あまり前知識なく読むので楽しみだ。

 もう一冊図書館で回ってきたこれも「医師が死を語るとき 脳外科医マーシュの自省」
https://www.msz.co.jp/book/detail/08966/

全部読めるだろうか。個人的には全部読む必要はなくて、読めるとこまで読んで、また戻るものいいと思っているのだけれど、できれば最後まで読みたいな、と。

このnoteのURLを入れた時、サムネが出たり出なかったりするのはなんだろう。出版社の設定の問題だろうか。


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