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久しぶりの映画

急にお休みすることにして、映画を観に行ってきた。

時間と場所のベストマッチがこの作品というのと、三島由紀夫の作品が好きというので観てきた。客層は平日昼というのもあってか、60代以上、そして男性多めだった。

討論というある種の即興的で瞬発力のいる中で、あれだけの議論がよくも交わされたものだ。やはりレベルが違う。。天才たちの宴か、これは。

全体を通して感じられるのは、三島の優しさだ。丁寧に学生たちの問いに答え、自ら語りかける。相手をリスペクトした態度で終始言葉を尽くす。言葉の力を信じていることがわかる。「話せばわかる」ではないけれど、言葉を尽くして、相手を屈服させるのではなく、勝ち負けでもなく、理解を求める姿勢は心を打つ。果たしていまは、言葉の力をどう使っているのか。言葉の力の何を信じて、私たちは言葉を紡いでいるのだろうか。

当時の東大全共闘の方々の総括的なものも興味深かった。ここはもっと時間をかけても良かったのでは、なんて思ったりした。

芥さんの世界は全編通して独特で、凄みがあった。いまの芥さんの着ているジャケットが良い(完全に余談)。

個人的には右も左もないけれど、暴力、他者との関係、事物、時間、解放区、三島にとっての天皇、深掘りしたいテーマがてんこ盛りで、なかなか頭が追いつかない。是非とも本が欲しい。双方のやりとりを文字おこしして再度出版してほしい(解説付きで)。パンフレットも欲しかったけど、本の方が欲しいので買わずにおいた。古本屋で1969年出版の新潮社ものは手に入りそうな感じではあるが、お高め。

ごく個人的な印象に残ったところは、昔の愛読書「テレーズ・デスケルウ」が出てきたことだ。この作品は好きで何度も読んでいたのに、この映画を観るまでなぜかすっかり忘れていた。もう本がどこへいったのかもわからない。また買い直して読んでみよう。

ちょっとうる覚えだけれど、平野啓一郎さんが三島由紀夫の本を今年?来年?に出すとか聞いた気がする。とても楽しみだ。この映画にも出られていたけど、平野さんの分析を読んでみたい。

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