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先週から引き続きの読書 5/11−2

ラスト2章。

「ドイツ人からの手紙」。この章は収容所について書かれた「これが人間か」がドイツで出版され、ドイツ人からきた手紙を取り上げた章だ。とても辛辣で、厳しい。ここにあるものを語る立場に自分は無いように感じる。感じたことは、真の反省とは何か。その言葉は自己弁護では無いのか。無関心な観客であったことがもたらしたものはなんだったのか。罪を自覚するとはどういうことか。

なんとなくボールヴィの対象喪失の4段階を思い出す。「情緒危機、抗議・否認、断念、離脱」だ。この章にも書かれていたが、ドイツ人は、ドイツや祖国という概念を失った、と。それを自覚し、次の段階へ進むプロセスの混乱がこの章で展開されている気がする。

「結論」ラストの章だ。この歴史的な出来事の記憶が薄れ、どんどん遠くなっていくことへの危惧が語られる。そして、「迫害者」は誰だったのかが語られる。それは、ごく普通の人たちだと。サディストや悪魔などでは無い。普通の人たちを駆り立てたものが何だったのか、簡潔に最後に語られる。それはごく普通のことだったりするのだ。

考えることを辞めてはいけない。大きな悪が突然現れて支配するのでは無い。それが悪とは思えないほどささやかに生まれ、忍び寄り普通の人を蝕んでいくもののようだ。ナチス時代のドイツは、他人事ではないのだ。


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