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今週の読書 8/22「だから、もう眠らせてほしい」

「だから、もう眠らせてほしい」を読んだ。

感想を書くのは苦手だ。

https://www.shobunsha.co.jp/?p=5809

家族のことがあったので、尊厳死と安楽死については知っていたつもりだ。ただ、医師サイドでどういうプロセスがあって、どう決定されるかは詳しくは知らなかった。

私は、この本に出てくる吉田ユカさんと同意見だ。

私は個人的にスイスの安楽死について興味があって調べていたし、いざという時はお願いしたいとすら思っていた。反面、家族の緩和ケアと、ホスピスでのことをそばで見ていて、緩和ケアから緩やかに鎮静し、死に向かう、というのも悪くない、と思っていた。ただ、家族のうち一人は、想定していたホスピスがいざとなると閉鎖されていて受け入れ先を探すのに少し時間がかかったり、結局移って1日で亡くなってしまった。うまくいく時と、いかない時がある。

格差としてこの本では語られていたけれど、本当にそうだと思う。それはコミュニケーションの格差だったり、病院の格差だったり、そばで見て感じたことと同じような気がした。うまく緩和ケアから苦しまずに死に至れるかどうかは、皆同じではない。吉田ユカさんの場合も、私の家族の一人もとてもうまくいったレアなケースではないかと正直思う。

それでもこれらのケースは、自分の生き方を全うできるという希望だと思う。こういう希望を持てるケースはきっとこれから増えていくと思う。とはいえ、全ての人がそれを受けられるとは限らない以上、安楽死が選択肢として存在するのは悪いことではないと思う。

全編通して私が思ったことは、安楽死を導入するのにいまの状態だと、医師や看護師の負担がとても大きいということだ。人と人なので、相性もある。患者も多い。医師も看護師も、もちろん感情がある。患者も医療従事者もお互いが納得ができる方法が何かあるといい。それが何かはわからないけれど。それが何か見えるまで、いまの緩和ケアから、鎮静、そして死に至る方法がベストな気がしている。このプロセスもいつ鎮静するかなど、医師や看護師の負担はかなりなものだ。

患者自身も自分の意思や死に方、というより、生き方を考える機会を意図的に設けたほうが良いと思う。病気になる前から。いざとなると考えが変わったとしても、一度この本でプロセスを知って、自分はどうしたいのかを考えたほうが良いと思うし、それを言語化して表現できるようにすることは重要だ。主に家族に向けてはきちんと伝えていくべきだと思う。できれば熟考してブレないところまで持っていけるといいな、と。

死に方は、生き方を反映する。死は避けられないだけに、目をそらさず考えたいと思う。

この本は結論を教えてくれるわけでなく、考えるキッカケを与えてくれる本だ。私たちはつい、急いで決断を下し、安心したくなる。簡単に答えを出したいと思ってしまう。西先生がYouTubeでオススメしていた「ネガティブケイパビリティ」の本とセットで、読むのが良いと思う。

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