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「ゴッホ展 響きあう魂へレーネとフィンセント」

 少し前に「ゴッホ展 響きあう魂 へレーネとフィンセント」を観てきました。
https://gogh-2021.jp

 最初は全く見に行く気はなかったのだけれど、noteのフォローしている方がいかれたとレポートをアップされていて、読むと居ても立ってもいられず、朝イチの回を予約して行ってきました。
https://note.com/layusee/n/nf9af0f713165

Le yuséeさん、良い機会を与えていただいて、ありがとうございました。本当に行って良かったです。

 ゴッホと聞くと、「日本人ってゴッホ好きね。」くらいでほぼ関心を向けていなかった。どちらかというと避けていた。糸杉などのゴッホのあの独特のぐるぐるした絵を見たときに、あのぐるぐるが動き出して、絵が立ち上がって来るような感覚がして、気分が悪くなったこともあったので、ここ数年はむしろ避けていた。
 多くの展覧会が、これがみんなの好きなゴッホですよね!みたいな、有名な作品ばかりが展示しているイメージがあって、なんだかもういいかな、と思っていた。

 この展覧会は、ゴッホが「画家になる!」と決めてから、亡くなるまでの経過を辿ったもので、とても興味深い。
 素描から始まって、(こう言い方は失礼かもしれないけれど、)どんどん絵が進化していき、独特の色遣いが加わり、画風のようなものができてくる経過が垣間見れてとても興味深いものでした。
 とにかく描いて学んで、また描くというその繰り返しなんだな、とつくづく思う。なんとなく天才画家というと、突然何か降りてきたかのように個性的で素晴らしい作品ができるような気がしてしまうけれど、そこは試行錯誤の連続なのだな、と。
 個人的にはなぜ突然画家になろうと思ったのか気になった。ゴッホは手紙がたくさん残っており、書籍化もされているのでまた読んでみたい。

 ゴッホに限らず、へレーネが収集した、ゴッホにも影響を与えた様々な画家の作品も展示されており、それもまた面白い。

 これだけ網羅的に収集できるのはやはりすごい、の一言に尽きる。その画業を網羅し、影響を与えた同時代の作品にまで収集を広げていくのは、その時代を理解する上でもとても意義があることだ。
 こういった文化を丸ごと後世へと残そうとしたへレーネの熱意には感動した。無論、莫大な資産あってのことで、文化にはパトロンが必要なのだと「民藝」に引き続き、つくづく思う。
 文化を守り継承する熱意にその資産を注ぎ込んだその理想と意志によって、素晴らしいものを今でも見る事ができるのは感謝しかない。今、様々なものを見る事ができるのは、そういった人たちの意志の賜物なのだな、と思う。
 価値観や美意識などは時代によって大きく変わっていく。それに淘汰される事なく残る作品がもちろんすごいのだが、それを残そうと見出した人たちの慧眼にもまた尊敬の念を抱いた。

 とても良い展覧会でしたが、解説の所々に「精神性の高い」と書いてあって、それが気になってしまった。「精神性」ってなんだろう。なんとなくニュアンスは伝わるのだけど、実際どういう意味(定義?)なのかと考えてしまった。
 案外そういう言葉ってあるなー、と全然違うことまで考えてしまった。

 朝イチの回を予約していきましたが、人数制限のおかげで比較的ゆっくり観れたので早起きして良かったなと思った。
 展覧会の最後にグッズ販売エリアがありますが、案外あれが好きだ。買わなくても必ず寄ってしまう。ゴッホ展はかなり充実したショップで、グッズのバリエーションも豊富。しかも結構かわいいものや、シュールなものまでデザインも幅広い。つい、エコバックとタオルハンカチを買ってしまった。

 本当は上野で他の展覧会もはしごするつもりだったけれど、余韻を大事にしたくて寄り道せずに、ちょっとぼんやりしながら帰った。
 いろいろと楽しめた展覧会でした。

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