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そういえば。

 福本伸行先生の代表作『カイジ』シリーズには、スピンオフが存在する。
 2024年3月時点では『中間管理録トネガワ』『1日外出録ハンチョウ』『上京生活録イチジョウ』の3シリーズが刊行されており、いずれも主人公・伊藤開司(カイジ)の前に立ちはだかった名悪役たちが主人公だ。

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 僕自身その3作のファンなのだが、読んでいてふと疑問に思ったことがある。
 それは「帝愛グループに勤務している人って、そのことを家族や友人などにどう言っているのだろう」ということだ。

 帝愛グループとは、『カイジ』シリーズに登場する大企業のことで、『トネガワ』の主人公・利根川幸雄はその最高幹部(一般企業で言えば"重役")だ。
 所謂「ギャンブル・デスゲームものに登場する大企業」という時点で察しがつく方もいると思うが、この帝愛グループ、かーなーりあくどい。闇金はもちろんのこと、返済不可能と判断された債務者に対してもデスゲームや強制労働、政府・警察への贈賄及び犯罪行為の隠蔽など、作中で描写・明言されているだけでも枚挙にいとまがない。さらに、社内の人間にとっても"安全圏"とは言いがたく、会長・兵藤和尊の機嫌ひとつで"制裁"の餌食になる恐怖と隣り合わせ。『トネガワ』で利根川先生が折に触れて言うように「漆黒」「ブラック中のブラック」な企業だ。

 さて、そんな帝愛も表向きには企業である以上、そこに勤務している社員はいるし、新戦力を採用するための諸活動もしているはず。帝愛の「企業としての側面」を描くことが多い『トネガワ』を見ると、毎年採用活動は行っているようだし、帝愛を志望する就活生は結構な人数にのぼりそうだ。加えて中途採用や派遣社員の採用にも抜け目がない。
 ただし、帝愛に採用されるためには「帝愛は漆黒」であることを把握せねばならないらしい(『トネガワ』 第15話「採用」では帝愛を「温情的な社風」「素晴らしい取り組み」と評した就活生が不採用となっている)。通常のブラック企業が「アットホームな社風」だの「若手の積極登用」だのなんとか誤魔化しているのに対して、開き直っているというか、ある意味誠実というか…。

 一方、大企業なだけあって給料や福利厚生といった待遇面はかなり良好な部類らしい。『トネガワ』 第34話「馬名」では利根川先生が(兵藤会長の気まぐれで)馬主になった(詳細は割愛するが、かなりの富裕層でないと馬主にはなれない)し、『ハンチョウ』 第33話「宮誕」では黒服の一人である宮本一が30歳にして(おそらく都心部にある)なかなか広いマンションに住んでいる。
 これだけの高給取りであれば、胸を張って「俺、帝愛に務めているんだぜ!」と言いたいところだが、先述した通り「帝愛は漆黒」であることは「調べればわかる」という程度には明るみに出ている。そうなると、「帝愛勤務」と言ったら家族や友人からは心配されてしまうのではないだろうか。かといって変にぼかすのも、(高い給料も相まって)それはそれでかえって怪しまれる。

 帝愛勤務の皆様、参考までにご教示願えないでしょうか?

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