100日後に国際協力をやめる日記(7)
量が質を産むという話
とにもかくにも無駄な事務作業が多い。本質的なことに時間を割くことができない、業務の質が低下している。よく聞いた話です。
業務の効率化を図ろう、はとてもよく分かりますが、一方で、なぜ効率化しなければいけないか、を置き去りに議論しているケースもあるのではないでしょうか。
なぜ、しょうもない仕事を効率化していかなければならないのか、という問いに対する本当の答えは、もっとしんどいことをするため、あるいはもっとしんどいところに時間と体力と集中力をかけるため、と言い換えることができると思います。つまり、今ある業務を圧縮し、効率化する目的は、もっと仕事をするため、ということができます。
矛盾しているように思われるかもしれませんが、非効率な対象に向かい合うために効率化できる部分はもっと削減しよう、というのが本来あるべき業務効率化ではないでしょうか。
そのように理解するためには、いくつかのポイントを理解する必要があると思います。
①今目の前でやっている仕事が、本来的に必要でない仕事であること、を理解すること。言い換えれば、組織の全体目標の中での位置付けにおいて、重要な位置を占めていないことを認識すること。
②合理的、効率的に行き着くには、非効率な道を通るしかないこと。
③質やセンスは量から生まれる、
④良い意味でも悪い意味でも石の上にも三年
ということ。
だとおもいます。
①今、目の前でやっている仕事に全力投球、美しいですが、本当に組織の役に立っているか。ただの自己満足で終わっていないか。無駄なクオリティ向上をしていないか。自己肯定したい気持ちはわかりますが、俯瞰して見ること、俯瞰した目線で個々の仕事とその連関を見ることは重要です。
②いきなり効率的になることはできません。それは対象としての非効率、理不尽、非合理性が存在して成り立ちます。また、非効率に試行錯誤する中から、思考し、試行すること、それが訓練となり、効率性への扉を開きます。だから、最初から一滴の汗も書かずに効率に辿り着くことはできないのです。
そして気をつけないといけないのは①と同様、汗をかいていることに満足しないこと。何のために汗をかいているのか、どこに向かうためにこの非効率を経験しているのか、その視点がないと、非効率の道を歩く中で武器を拾うことができません。
③ ②に似ているかもしれません。結局のところ、高いクオリティは量をやった人間から生まれてくるものです。生まれつきセンスがいい、という人もいるかもしれません。だけど僕たちができるのは、愚直に経験を積み重ねること、積み重ねた経験を無駄にしないことです。たくさんやること、たくさん見つけること、その双方を最大化させることがクオリティへの近道であり、一本道であり、王道であり、唯一つの道のように思います。
④3年やると多くのことにある程度慣れます。それは10000時間の法則とも関連していると思いますが、普通にしていると大体慣れるのに3年かかるそうです。ここで大事なのは、慣れを単なるこなす、にしてしまわない、という気持ちです。こなせるようになると、最初に感じた違和感を失いがちです。そうすると効率化、合理化、質への道が閉ざされてしまいます。慣れたとしても染まってしまわないこと、馴れ合ってしまわないこと、それを3年のなかで維持することが大事なのではないかと考えます。
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