見出し画像

100日後に国際協力をやめる日記(5)

やっぱり新卒優遇だったりする

終身雇用のメリットデメリット

年功序列、終身雇用の組織の場合、一度入ってしまえば、クビになることはなありません。その安定性は、組織全体にとってプラスとなるか、マイナスとなるか。
プラスとなって新しいことに挑戦できる、と捉えられるかもしれません。他方、挑戦するということは、組織がこれまでやってきていなかった、よしとしてこなかったことをやるわけですから、ネガティブに捉える人も多い可能性もあります。ある種、これまでの前例に相反するわけですから、新しい提案をする当人は、その挑戦の全責任を負うことになります。つまり、硬直した組織では、リスクは個人の責任、成果は組織の取り分となり、挑戦に対する評価がなされない傾向があります。

硬直化した組織での変化手法=新卒?

では、正しい挑戦、正しい個性を発揮するにはどうすればいいか。組織が評価する軸に基づいて、それに沿った革新性をアピールする必要があります。それは、学校の校則に則り、先生のご機嫌を取った上で、みんなに好かれて、その上で、指摘をしたり提案をしたり、ということです。全てを既定路線から外れていないという説明をした上で、心配を取り除き、説得してはじめて、「その人のいうことは聞いても良い」ということになります。けっして、「それが正しい」から従うのではなく、誰が言ったかの、「誰か」になるか、「誰か」を連れてくる必要があります。

これを、組織では「調整力」と呼んでいます。その提案の筋の良さを論理的に判断しているわけではないので、本来の調整力とは程遠いのですが、新卒採用が上層部に居座っていて、特段の専門性もなく、マネジメント能力も優れてはいないが、管理職、あるいは経営層になってしまった人たちにとっての判断基準は、「誰」にしかありません。

では、どうすれば「誰」になるか、「誰」を連れてこれるかというと、相対的に言って、組織に長くいた人です。つまり、顔見知りで、同じように理不尽な人事異動に耐え、滅私奉公してきた人たちの言葉を聞きたいのです。
それはだれか、新卒一括採用で入社した人たちです。

理想と現実、抗えない生理的拒絶

とはいえ、組織は、中途入社により、新陳代謝を活性化させたい。新しい視点を取り入れたい。
というのは理想ではあるのですが、そういった人のアドバイスは聞き入れられない、という生理的特性にはどうも抗えません。組織が中途の活躍を促したからと言って、個人の最終的な判断基準は上述の論理フローによって行われますから、本質的に新しいことはなされ得ません。

そして、結局、新卒採用人材が階級制度の上になってしまいます。また、この実質的な新卒採用人材優遇制度は基本的にさまざまな判断の場面において効いてきます。例えば、留学したい、という時に、同点で2人の人材がいたとします。一方は中途、一方は新卒採用です。中途人材は途中から入って新卒に追いついているわけですから、かなりポテンシャルがあるということになります。この場合、社内での競争ではどちらが受かりそうでしょうか。多くの場合、新卒採用人材が当確となります。

なぜか。新卒採用人材は、行きたくない部署配属での業務にも耐え、せっかくのポテンシャルを漸減させながら、この社内競争へ辿り着いたからです。内申点は非常に高いので、こちらを選ぶことが組織として、(短期的には)合理的な決定となります。
中途人材で、ぎりぎりで落ちた人にとって、落選の合理的な理由はありません。理由を聞いたとしても、「非常に優秀で、目的意識も明確です。」という答えが返ってきます。(ただ、自己犠牲期間が足りませんね)という本音は隠したままで。
そして、中途人材もその尖りは影を潜め、他の新卒人材と同様、組織に従順な人間の再生産に成功します。組織としては、これがもっとも合理的なやり方です。従順な人間だけで固めた組織。これが一番強靭なのかもしれません。
新卒採用人材にとっても、組織への忠誠を深める良い機会になりますし、躾けられた犬と同様、いい子にしていれば餌がある、ということを学びますから、ますます組織の論理への正当性に納得感が増すでしょう。

新卒ではいるか中途ではいるか

ここまで考えてみると、新卒入社、中途入社共に表面的な労働条件は同じではあるものの、言語化されていない範囲での優遇があるとおもいます。もちろん個人差等あるので、決めつけられませんが、全体論としては間違っていなさそうです。
では、どうするか。とても難しいとおもいます。いろんな考え方があると思います。

1. 奴隷で結構。安定第一。これからも組織にしがみついて一生行きますぜ。
2. あるところまで猫被り、いいところで、巣立とう。
3. やっぱ無理。やめよう。

留意したいのは、2番の選択肢は、諸刃の剣であるということ。反逆心を抱いたまま、その炎を絶やさずに、従属するというのは案外難しいです。その火に薪をくべるのは自分しかいない、孤独な戦いです。外は暴風雨です。油断すればすぐに灯火は消え、再度点火することはできません。

いただいたサポートはためて還元します!