お金について考えることは私たちの未来と向き合うことだ

私の親世代(60代)以上の多くの人たちは、お金のことについて赤裸々話すことを恥ずかしかったり、みっともないことだと考えているように思う。

私の親は子どもに対してお金の話をしないことを美徳にしているようでさえあり、私もそれを取り立てて不思議だと思っていなかったし、普通だと思っていた。

しかしこの前、私の妹の家に遊びに行った時に、妹から意外なことを言われた。

それは「お兄ちゃん、私たちの親はどれくらい貯金があって、どんな保険に入ってるかそろそろちゃんと聞かないとね」ということであった。

私はこれにとても驚いた。妹ももちろん私と同じ親に育てられているのでお金の話について具体的にするようなタイプではなかった。

私が「そんな生々しい話、親に聞けないよ…」と言うと

妹は「自分たちの将来の問題なんだよ。ちゃんとしないと。親に長期の介護が必要になった時にお兄ちゃんはお金、全額出せる?私は無理だよ。私も今の生活があるから全部は無理。今のうちに親たちがお金をどれくらい持っていて、老後はどういうライフプランを思い描いているか聞いておかないと!」とのことであった。

確かにその通りであるとこのときはっとさせられた。
親の介護や私たちがそれをする未来について私は何も考えていなかった。

私の親は関東地方の会社を退職すると、私が住んでいる埼玉からかなり遠い実家に戻って家をリフォームして住んでいる。

私は長男であるが、仕事柄関東地方から離れることはできない。

親からは直接言われたことは全くないが、リフォームをした時にひょっとして私にその家を継いで欲しいのかなと思ったこともある。
やけに気合の入ったリフォームだったからで、子どもである私が将来住むことも考えているのかなと思った。

ただそのリフォーム費用がいくらかということも知らず、お金などのリアルな話を私たち家族はしてこないでいたので、親の老後をどうするか考えずにいることができたのである。

しかし、妹からお金のことをちゃんと明らかにしておかなければいけないと言われたら時に、お金のことを考えることは自分たちの未来に向き合うことだと思ったのである。

お金や資産や保険の種類を明らかにすることで、老後についてどのような選択肢があるか考えられるようになる。

どのようなことを私たち子どもが担い、どのような面なら各種サービスを使えるか整理することができる。

私は親がお金のことを赤裸々に話すのを嫌うことに甘えて、自分もお金の話を親にすることはなく、親が老いていくという未来に向き合わないようにしていたのだと気が付いた。

しかし未来から決して逃げることはできないが、来るべき未来に対して準備しておくことは大切なことだと思う。

きっと両親は私がお金の話をはじめたら嫌な顔をするだろう。
しかしそれをすることは私たちの大切な未来と向き合うことだと粘り強く話を続けたい。

それこそが私たち家族の未来を幸せにできる唯一の手段なのだから。

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