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子どもが産まれ働き方を変えざるを得なくなったことで、隠れていた我慢が解消された。

知らず知らずにしていた我慢について、働き方を劇的に変化させることではじめて気がついたことについて書きたいと思う。

私は15年くらい前に正規の職についた。二十代も後半にさしかかっていたが、私の仕事は大卒新卒で正規になることはあまりなく、30歳をこえて正規採用になる人も少なくない。

だから私は二十代後半とはいえ、職場に入った時は新人の若手という立場で迎えられた。
私の職場の15年前は昭和っぽい雰囲気をまだまだ引きずっていた。

昭和っぽい雰囲気とは、先輩が帰るまでなんとなく帰りにくいこと、終業時間を過ぎても先輩が仕事の話を装った雑談を仕掛けてくること、先輩たちとの飲み会が週一回以上あること、休日にバレーボールや野球大会があることなどである。

さすがに職場の慰安旅行はなかったが、私が入る数年前まではあったようである。

当時の私はそれをさほどおかしく感じていなかったし、働くとはそういうことだと思っていた。
自分の父親も1日4時間以上の残業は普通であったし、休日出勤も当たり前にしていた。

だから仕事の終業時間や休日などはあくまでも目安であり、社会人とはそのようなことを気にせずに働くものだと思っていた。

だから先輩が帰るまで無駄にダラダラ仕事をすることや、終業時間後に先輩の自慢話のような雑談に付き合うことも、先輩への接待のような飲み会に参加することも、運動音痴なのにスポーツ大会に出なければいけないことも仕方のないこととして諦めていた。

ただ、ある時にこれは私にとってとても嫌なことで我慢をずっとしていたのだと気がついた。

そのある時とは、子どもが産まれた時である。
子どもが産まれてこれまでの働き方ができなくなった。

というのも妻も私と同じ仕事をしていて、職場での立場や年収もほぼ一緒である。
だから育児についても平等に分担しなければいけない。

話し合いの結果、妻は朝の育児や保育園の送りを担当して、私は保育園のお迎えと夜の育児を担当することになった。

保育園のお迎えのために私は始業時間が7時半、終業時間が16時という時差勤務をすることにした。
16時に出なければお迎えに間に合わないので、時間外勤務が不可能となった。

今まで仕方なくしていた先輩が帰るのを待つことや、雑談に付き合うことや、飲み会に参加することが物理的に不可能になった。
休日のスポーツ大会への参加などもってのほかである。

そのことで職場で不利益にならないかと当初は心配や不安もあった。

しかしそんなことなど全くの杞憂であった。
すぐに私は、子どもの育児のために朝は早いが16時に帰る人というように職場で認知されたのである。

仕事について、16時というゴールに向けて計画的に進めるようになったのでパフォーマンスも上がった。以前より結果を残すことができるようになり、周りからの評価もかなり上がった。周りの目を気にして無駄な残業をしていたのが滑稽に思われるくらいであった。

私は超朝方だということも分かってきた。
思い返してみると、昔からその傾向はあったがはっきり意識していなかった。

小さい頃から、よく両親や妹から朝起きてすぐに喋りまくるので朝からうるさいと迷惑がられた。私は寝起きが悪いという感覚が分からなくて、目を覚ますやいなや昼間のレベルまで覚醒する。

朝だから身体が働かないということもなく、起きてすぐにランニングしたり、朝からカレーやカツ丼やラーメンなどを食べたりすることも昔から平気であった。

その代わりに夜はものすごく苦手ですぐ眠くなる。飲み会でも寝てしまうことがよくあった。夕方以降になると仕事への集中力が落ちてうまくいかないことも多かった。

時差勤務をはじめてみると、こうした特性上7時半が始業というのも全く嫌ではなく、むしろ16時に帰らざるを得ないというのが私にとってはプラスに作用した。

そして仕事に向かう気持ちが大きく変わったことに気がついた。

時差勤務をはじめてから月曜日がつらいという感覚がなくなった。
以前は日曜日の夕方頃から、次の日の月曜日から仕事に行かなくてはならないと思うと憂鬱で仕方なかった。
俗に言うサザエさんシンドロームである。

月曜日は重たい気持ちを引きずりながらどうにか職場に向かった。

しかし時差勤務をはじめてから月曜日が嫌ではないのである。
もともと仕事内容についてはわりと好きなことをしている。

だから時差勤務をはじめてからは月曜日の通勤時間には今週はこんなことをしようとか、あそこを改善しようとか前向きに職場に向かえている。

以前はそうでなかったのは、私にとって無駄な残業が大きな我慢になっていたからだと気が付いた。

仕事自体は好きであるが、先輩に付き合っての残業は大きな我慢になっていて、それが月曜日は特に仕事に行きたくないと思う原因だったのである。

もちろん雑談や飲み会やスポーツ大会は職場のコミュニケーション手段であり、それによって士気が上がることにより仕事がうまくいくことがあることも理解している。
そのようなコミュニケーションを大切にしている人は現在でも多数存在する。そのような人がいることも尊重するし、それ自体を否定するわけではない。

ただ私にはそれは我慢であり、仕事へのやる気を阻害する要因であったのである。

子どもが産まれて気が付いたことはいろいろあるが、働き方についてここまで意識が変わるようになるとは考えもしなかった。

子どもが産まれてきてくれて良かったと思うことは多いが、隠れた我慢が解消されて楽しく働けるようになっているとは全く想像もしていなかった。

人生とは思わぬことが起こるものだと、興味深く感じた出来事である。

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