つくって、つかって、楽しめる「Gel Plate」をDIY
小さな頃ホームセンターの看板に「日曜大工」という言葉をよく見かけたものです。今は代わって「DIY」という言葉が主流となったことで自作する範囲やカテゴリーが格段に広がりました。「日曜大工」だった時代は大工というだけあって、お父さんが犬小屋とか縁台とかいった「木材」をメインに自作したもの多かったのかなと思います。しかし、「DIY」は性別や材料などにとらわれない自由な発想で様々なものを作る楽しみを我々に与えてくれました。
とはいえ、どうしても加工性のよい「木材」に甘んじてDIYのネタを作りがちな僕はまさしく「材料にとらわれた日曜大工のお父さん」であることは否めません。というわけで今回はこれまで全く縁のなかった材料「グリセリン」という未知なるものを使って新たなDIYに挑戦していきます。
さて、今回DIYするのは「Gel Plate」なるものです。日本語でいうと「ジェルプレート」か「ゲルプレート」と言えばよいのでしょうか。このGel Plateですが、海外のアートショップなんかで売っていて、コンニャクの様なプルプルした厚めのシートのようなものです。この表面にアクリル絵の具を塗って柄を付けたりした後、まっさらな紙を上から被せると柄が写る「版画板」のような感じです。
しかし、版画板とちょっと違うのは「転写」ができるところ。「雑誌」や「カタログ」などの印刷物をアクリル絵の具を塗ったGel Plateに載せてこするとその絵面や文字などがGel Plate上に残ります。そこにまっさらな紙を載せてこすれば転写が完了。複数の絵面を重ねて複雑なデザインを作ることも可能です。
そこで百聞は一見にしかずということで、勝手に師匠と慕う2人のGel PlateアーティストMark YeatesさんとMarsa ValkさんのYoutubeをチェックしてみましょう。Gel Palteと自身のアートを組み合わせるMarkさんと絵面のレイヤードが巧みなMarsaさん、これらを見るとGel Plateの面白さと奥深さが分かるはずです。
この転写の仕組みとしては載せた印刷物に当然絵の具が付くわけですが、より白く「明るい部分」には絵の具が多く付き、逆に「暗い部分」には絵の具が付きづらい。これがGel Plate上の絵の具の残り方に影響します。「明るい部分」だったところは絵の具が少なくなり「暗い部分」は多く残る。この明暗の差が絵面となって転写されるのです。
このGel Plate、日本でもネットで¥4000~7000ぐらいで簡単に手に入ります。輸入品なのでちょっとお高いですが、DIYするものより耐久性があり繰り返し何度も使えるようです。ただ売っているものはサイズが決まっていて、一方DIYであれば大きなサイズでも自由に作れるということで、海外のアーティストはGel PlateをDIYしている方が多いようです。日本でも簡単に手に入る材料で作れるとわかったので、今回はGel PlateをDIYして転写プリントを楽しんでみます。
材料
「グリセリン」は化粧品を作るのに香りのついたものがあるようなのですが今回は香りのついていないものを使用します。トレーは内側に「窪み」や「ライン」などの柄が入っていないフラットなものを選んでください。
・グリセリン(植物性) 150cc
・粉ゼラチン 35g
・お湯 300cc
・トレー 203×154mm(作りたい大きさによる)
・アクリル絵の具(ペンキや水性絵の具はNG)
作り方
作り方は簡単で3つを混ぜるだけなのですが、ポイントは「ゼラチンがしっかり溶けていること」と「泡を立てないこと」この2点に気をつければ失敗することはないかと思います。
ゼラチンを溶かす
グリセリンを混ぜる
トレーに流し入れる
泡を除去
冷やす
トレーから外す
転写の作業
あとがき
今回、Gel Plate自体を作ることは難しくはなかったのですが、転写させやすい印刷物とそうでないものがあったり、載せる絵の具の量などで転写がうまくいったり、いかなかったりと出来上がりにかなりムラがありました。ここに関してはもう少し調査が必要なようです。師匠たちのようにうまく転写させるには一朝一夕にできるものではなさそうで、もっと精進が必要なようです。継続は力なりということで続けてやっていきたいと思っています。昨今DIYは作ることがゴールのような風潮があり、使いづらいとか飽きたとかでせっかく作ったものがゴミとなってしまうケースもよく目にします。使うことにもDIY的思考を働かせて継続的に使っていくことがいろいろ大切だとGel Plateの師匠達から学んだような気がします。それではまた次回。
こちらでも作り方が紹介されています。
撮影:藪内努 https://www.instagram.com/yaboo/
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?