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G7の途上国囲い込み。次世代エネルギー転換示唆。しかし世界は多極化か。

昨日のG7でバイデンがグローバルイニシアチブの為に6000億ドルを拠出したいと発表しました。イニシアチブの対象は、低中所得国とのことです。独裁国家との競争で、グローバルサウスなる国々を勝たせなければならなず、そのための資金となるようです。

合意が得られた場合、拠出はG7から出すことになるのだと思いますが、現在のG7にそんな余裕があるのだろうかと、率直に疑問に思います。独裁国家とは、ロシアを指すのでしょうか。そうではなく、ブリンケンがG7サミットの主な焦点が中国になると発言しているので、むしろ中国を念頭にしているようです。

今月はじめに、カトマンズの米大使館に掲げられていたウクライナの旗が無くなっていることをこの目で確認し、先日もnoteで記事にしましたが、ブリンケンがG7の焦点をウクライナではなく、中国としているところを見ても、やはり米国は実際のところ、ウクライナに対する関心を急速に失っているように見えます。

G7(又はバイデン)は、途上国に対するインフラ構想を実現させ、中国と対抗したいと考えており、イタリアのドラギ首相も、途上国のガスインフラ投資が必要だと言っています。グローバルサウスとは、アルゼンチン、インド、インドネシア、セネガル、南アフリカなどの国々を指すようです。ドイツのショルツ首相は、これらの国々を本日のサミットに招待していますが、インド、セネガル、南アフリカは、国連決議でロシアを非難していません。

欧米の、ウクライナ戦争に対する動きの結果として、中国とインドが漁夫の利を得て、グローバルサウスを含む開発途上国や中所得国は、基本的には欧米というよりはロシアに傾いているのが本当ではないでしょうか。

ネパールは最近、米国との軍事協定と見られている協定(SPP協定)にNOを突きつけています。途上国が昨今のロシアのウクライナ侵攻を見て、この国はいざと言う時にわたしたちを助けてくれないんだということで米国不信に陥っているとしても、何ら不思議ではありません。もしそうならば、世界は既に二極統治か多極統治となっているのかもしれません。

他方でワールドバンクが、経済的に困窮するネパールに代替燃料の促進を促し、持続可能な発展をネパールに保証させること(GRID)を条件に融資をちらつかせています。こちらが、欧米主導のインフラ整備構想の流れを汲んでいるように映ります。

米陸軍太平洋軍司令官であるチャールズ・フリン将軍は最近、インドやネパールを行ったり来たりして忙しそうにしているところを中国メディアに指摘されています。中国メディアは、米国は自国利益の為にしか動いているだけなので、都合が悪くなれば米国はインドをも裏切るのだろうよという趣旨の報道をしています。また、インドの財務大臣は最近、米欧(又はイギリス)は自分たちの都合だけで大騒ぎしたり、逆にそうでなかったりするのをそろそろやめるべきだ。もっと大人になるべきだというような趣旨の発言をしています。

先進国による途上国の囲い込みが始まったのではないでしょうか。先進国だけではないのかもしれません。いずれにしろ、開発途上国への投資促進に関する記者会見で、イタリアのドラギ首相が、将来的にはそうしたインフラを水素使用に転換することが可能であるはずだと述べており、危機に乗じた次世代エネルギー転換の始まりを示唆する流れかもしれません。

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