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自宅ちょいハレ消費。オードブルが飲食店を救うかも

都市部では週末の外出自粛要請に続き、3月30日小池都知事の記者発表にて、夜間の外出自粛要請、一部の業態の飲食店の利用自粛が東京都が求められました。これに続き、ほかの自治体からも同様の要請がではじめています。

欧米の一部地域での都市封鎖による飲食店の営業停止命令に伴いテイクアウト対応限定で辛うじて営業継続をするか、もしくは休業するかという、飲食業を営む企業や個人にとっては厳しい状況に置かれています。

国内でもすでに自発的に営業時間の短縮や営業自体の取りやめ(休業)を決めているお店様も出始めています。困窮を期すなか、自粛要請のみ、具体的な補償には触れず、煮え切らない政府や自治体の対応に苦虫を噛み潰すような気持を持たれている方も多いはずです。

都市封鎖となっても、ならなくとも、残念ながら新型コロナウイルス収束には多くの時間を要することは間違いないようです。そのような前提で、結論から申しますと、タイトルもちょっと大げさですが、一つの解として「オードブル」の販売が中小飲食店様にとって最適解となるのではないかと考えました。

やっぱり料理が好き。料理で喜んでもらいたい

もとからデリバリー専門やテイクアウト専門の業態ではなく、お客様に店内で料理を召し上がりいただくお店を経営されてきた飲食店、とりわけ重飲食の業態のお店様にとって、やはり自分たちが選んだ食材で作った料理、盛り付けた料理で目の前のお客様に喜んでもらいたいという気持ちが最初にありますよね。しかし残念ながら「3つの密への対策」や「ソーシャルディスタンス」という観点からも、店内飲食が今後しばらくは敬遠されることは、厳しいですが事実でしょう。

私たちはコロナ対応の差し迫った危機に対し、何とか乗り越えていかなければいけません。収束まで長期化することが半ば事実となった今、今一度中小の飲食店の立ち位置と一つの作戦を考えてみたいと思います。

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外出自粛、自宅勤務増で、自宅ちょいハレ消費が普及

STAY HOME, SOCIAL DISTANCING など諸外国の行動制限を見ればわかる通り、外での飲食は、残念ながら当面は機会が減ってゆくことは必然でしょう。でも人々は何かしらを食べ、飲むことには変わりがありませんし、暗くなりがちな日々ですが、小さな嬉しいことがあったりや記念日には美味しいもの食べたくなりますよね。

リモートワークや自宅勤務の中で、浸透しているのが人と直接会わずして、オンライン上でミーティングすること。これを利用して、友人や知人らと画面を通じお互いの顔を見ながら飲み会をするようなケースが増えているそうです。このような「オンライン飲み会」は今に始まったことではありませんが、今回の新型コロナの影響でこのような行動変容に拍車をかけていることは事実です。

また夫婦での生活やお子さんらも含めた家族においても、自宅勤務の増加や当面の休校などで生活形態が大きく変わってはいますが、忙しさは変わらず・・・、生活の手間も増えるいます。今までなら外食で息抜きをされていたわけですが、現在はその希望も叶わなくなりつつあります。

そのような状況下、自宅で外食のような美味しいものを食べたいというニーズが確実増えてくるでしょう。そのような市場を積極的に作っていくことが、中小の飲食店様の生き残りの一つの策のように思います。だから、お弁当や総菜よりもちょっと豪華なオードブルなんです。

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自宅でのひとりハレ時間、家族ハレ時間向けオードブル販売を始めよう

ということでようやく本題です。私もコロナ騒動初期には、飲食店が今すぐできることとしてお弁当などのテイクアウトや持帰りメニューの充実を上げていました。しかし状況が刻々と変化し、コロナ収束に要する時間が長期化する前提で改めて考えてみますと、今までもずっとお弁当やお惣菜のテイクアウトを本業で取り組んできた企業、店舗様と競合となり、またそれらの商品は一般的に単価も安くて、消耗戦につながり、やがては疲弊してくることが想像できます。

コロナ後のことも考えて、料理に自信がある飲食店様は、お皿ではありませんが、専用の容器に盛り付けて、自慢の料理を「オードブル」としてお客様に提案してみませんか。

オードブルとは、前菜。日本風に言えばお通し

オードブル(フランス語: Hors-d'œuvre Fr-hors d oeuvre-fr-Paris.ogg 発音[ヘルプ/ファイル] オルドゥーヴル)とは、フルコースでスープの前に出される最初の料理を意味する。直訳すれば「作品の外」であり、原義は番外料理・献立外料理の意味である。食欲をそそることが目的であるため、量が少なく、塩分や酸味がやや強めのことが多い。伝統的な西洋料理(コース料理)以外一般では前菜、アペタイザー(Appetizer)という。ただし、アペタイザーは前菜や食前酒など、主菜の前に提供されるサービス一切を指す言葉であり、英語圏においても、コース料理等の前菜は「オードブル」と呼ぶのが普通である。初期のフランス料理ではコースの最初ではなく、日本で言う「お通し」のような物であった。(wikipediaより)

一人宅飲みオードブル2000円~、2-3人6000円~

上記、ウィキペディアにもある通り、オードブルと言っても気負う必要はありません。日頃の培ってきたお通しのレパートリーを軸に、前菜を組み合わせていただければと思います。外で外食がしにくい中で、自宅でゆっくりとお酒を飲みながら美味しい前菜をつまみに・・・オンライン飲み会映えインスタ映えすることまちがいないでしょう。

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今までの一般的な業者のオードブルのイメージ(揚げ物やソーセージや果物的な!)は捨ててほしいです。

お店で提供する一皿のように、ひと手間加えて、思わずキレイ!と声が漏れてしまいそうな、普段お店で心がけているようなプレゼンテーションを意識してもらえるとお客様は思わず拡散したくなるでしょうね。ということでオードブル=前菜の盛合せと考えますと、ボリューム重視よりも品質や見栄えを優先したほうがよさそうです。

居酒屋さんなら、あんまりカッコつけることばかりじゃなくてやっぱりお店の定番メニューをベースにしても良いと思います。餃子が人気なら、餃子が入っててもいいですし、やっぱりポテサラも入っててほしいし(笑)、お好み焼きのお店なら、お好み焼きとおつまみになる鉄板焼きのネタが入った「一人ちょい宅のみセット」でも良いと思います!

そのような内容で、何か良いことがあった日の晩に、自分へのご褒美として、自宅で一人で飲むときにちょうどよい「一人宅飲みオードブルセット」が2,000円程度~、夫婦や家族でちょっとしたお祝い向けに、例えば2-3人前で6,000円くらいからの価格設定でメニューを構成してみてはいかがでしょうか。この価格帯、「お店で食べるよりはちょっと安く」且つ「ちょっとしたデパ地下や成城石井の総菜よりは少し高め」を意識しています。年に1-2回ではなく、月に1回は使ってもらえるようなイメージで、自店の定番メニューを軸に設計してみてください。

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どのように伝え、どう売るか

メニュー構成が出来たら、手書きのチラシをつくったり、サンプルで写真をとって、自店舗の各種SNSへのアップ、Googleマイビジネスへの投稿、LINEのコミュニティーへの告知、メールでのご案内、店頭での掲示、ローカルメディアへのプレスリリースなどコストをかけずにできることはなんでもしましょう。ある程度テンプレート化したメニューを中心に、大手やパッケージ化された他店ではできないような、アレルギー対応などの個別対応にも積極的に対応しても良い差別化になるでしょう。

名前はオードブルでも、デリでも、前菜でも、総菜でも良いと思います。お店のメニューとあうネーミングで、分かりやすければ良いですね。

できれば事前のご予約をお客様にはお願いしたいですが、当日でも30分前に電話もらえれば、とか店頭でも15分待っていただければ用意できますという程度に標準化できれば最高です。

ひとり向けの宅飲みセットは、ひょっとすると都市圏ではUber Eatsなどにハマるかもしれませんが、基本的な販売方法は、直販を目指してはいかがでしょうか。業者の手数料も不要ですし、お客様の細かな要望などの調整も可能で、お客様も安心されます。何より、お客様と直接コミュニケーションができることが、お客様との絆を深め、将来的なお店の資産となります。

デリバリーはしても良いし、しなくても良い

デリバリーにはこだわらなくて良いと思います。デリバリーができる人員や運搬能力があれば対応すればよいし、できないならその前提でお客様に取にきてもらえば良いと思います。とにかく、今すぐ投資せずにできることを、できるだけ早く始めることが大切ですね。

コロナで生まれた小さいお店こその強み

大手外食の店舗では、従業員が私生活において新型コロナウイルスに感染し店舗を一時的に休業するケースが増えています。今後はさらにその可能性が高まってくるでしょう。私たち中小規模の飲食店も、自分や従業員の方が感染する可能性はもはや当然のようになってきています。しかし、大手飲食店のように働く人数がパートタイムも含めて、例えば30人いる店舗様よりは、従業員が5人の店舗様のほうが、従業員が感染するリスクは当然低くなります。これは一つの強みとも考えられますので、今後も従業員の方々としっかりとコミュニケーションをとって感染リスクをできる限り低減してゆくことが大切です。今後感染することが一般的となり、万が一感染してしまっても、従業員が多いお店様よりも短期間での営業再開も可能となるでしょう。そう、転んでもまたすぐに起き上がれるのも中小のお店の強さなんではないでしょうか。

自分のお店だけでなく、地域に小さなお店が沢山あったほうがこのような社会的危機に面したときにはインフラとして機能します。大きなお店が数店舗あっても、倒れたら受け皿がなくなりますから。

オードブルの販売について、今まで通り食中毒防止に向けた取り組みは必須ですよね。これから暑くなり食品も傷みやすくなります。6月から導入されるHACCP対応なども含めて、しっかりとした対策で臨んでいただきたいと思います。

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まとめ、中小飲食店が、オードブル販売をはじめたほうがいい理由

マーケティング用語にある「プロダクトアウト」が多分、飲食店様にとっては既存メニューのテイクアウトなんだと思います。今回は少し市場のニーズを意識して「マーケットイン」的な思考をしました。

外出自粛などで外食をされるお客様は今後さらに頻度が減ってくることが予測できます。そのような中、お弁当や総菜などの持帰り、テイクアウトに対応するのも一つの方法ですが、すでに競合が多いことや単価が安く長期的に事業として続けていけるのか課題となります。

そして、ご存知の通り、お弁当って単価のわりに品数も多いし、結構大変ですよね!(笑)これ切実な事実です。

また新型コロナウイルスの感染リスクを考えますとお客様の自宅へ出向いての高級系出張料理なども機会が減ってくるのではないでしょうか。ケータリングはケータリングで、人が集まる機会の減少、そして調理、盛り付け、配達までを一手に行う必要があり、今すぐにできるお店様とそうでないお店様があるかと思います。

調理済みメニューの通販はまた別の意味で敷居があがります。保健所からの許可(総菜製造)やなければ真空パックや冷凍庫などへの設備投資、EC販売サイトの用意、何よりもお客様対応や出荷の手間が案外大変です。

ということで、お弁当より高単価、個人や家庭をターゲットにすることでリピート機会が見込め、直接競合が比較的少ないということ、自店の今までのメニューやノウハウを活かしながらも自店の今の商圏てすぐにできてニーズの可能性があることとして、オードブルの販売がおススメします。

例えばですが、日に一人宅飲みセット2000円×10組、2-3人前6000円のセットが5組入れば、その売上だけで、5万は確保できます。これを例えば自分とスタッフ1名程度でまかなえれば、(もちろん家賃などにもよりますが)お店を閉めずに当面は営業を継続することが出来るのではないでしょうか。

都市封鎖などが起こった場合でも、ミニマムな営業継続を選択される飲食店様は、営業の一つの選択肢として考えておいていただけると嬉しいです。

ちなみに、オードブル販売は「持帰り・テイクアウト」商品となりますので、軽減税率適用で消費税は8%となります。ご注意ください。

お店のお客様へのお願い

この記事を読んで、通っている贔屓にしているお店に食べに飲みに行きたいけど、コロナが気になって行きにくいという方。そのお店のオーナーさん、店長さんらに、「一人宅のみ前菜セット作ってよ、2000円くらいで」とか「今度の結婚記念日なんだけど、二人で6000円くらいのオードブルお願いできる?」というような形で、気軽に相談してもらいたいです。

飲食店はお客様に要望されれば応えてくれるでしょうし、こようなニーズがあることに気が付いてくださります。あなたの大好きなお店に、少しご協力ください。

※文中の写真がちっともオードブルぽく無くてすみません!

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