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馴れ初め 「無目的な思索の応答」
下書きがたくさんある。たくさんあるけど今日は、この間のお休みに思いついた、ちょっと楽しそうと思ったことをやってみようと思う。
別にすごく多読な人というわけではないし、書評的なことができるわけではないのだけど、わたしはなんか、本が好きだ。好きだ好きだと言っているので、優しいともだちが、「本を紹介して」と言ってくれる(嬉しい)。でも、山のように読んでいるわけではないので、ソムリエのように本を紹介することはできないから、なんとなく、ご期待に答えられない感があったのだ。
そこでひらめいた!
「こんなことを期待してこの本を手に取りました」という本の紹介の仕方をしてみようと思う。本をあまり読まないけど、何か面白い本があったら読んでみたい、という人に結構出会うのだが、そういう人たちがみんな迷っているのは「本の選び方」だったりするようだ。本屋さんとか本とかが大好きなので、そういう人にも楽しいと思ってもらえるのかどうかはわからないが、個人的な話として、「本との馴れ初め」を紹介していくことにする。
今日、馴れ初めをお話ししたいのは、
「往復書簡 無目的な思索の応答」又吉直樹・武田砂鉄 著(朝日出版社)
だ。あらすじは、Amazonみてね。
この本とは梅田の蔦屋書店で出会った。社会学の本を買おうか、ハードカバーの哲学書買おうか迷って、2時間くらいウロウロし、そろそろ思考も麻痺ってきたころに、ぐねぐねと派手な表紙が目に入った。で、手に取った理由が、
「無目的、素晴らしいではないか。」
その時わたしは(今もだけど)、無目的を渇望していた。(わけがわからない。無目的を得ることが目的みたいだな、どっちだよ。)社会というのは本当に偉い。毎日みんながなにかを目指して、成長をしようとしている。で、わたしは疲れた。中華料理屋でうだうだと話をしているのでは世界は良くならないというのか、決まった目的の為に効率よく動いていたら何か取りこぼしてしまうのではないか、止まりたい、止まりたい、見渡したい、てか、中華料理屋で喋りたい。あ、友達がいない。。
端的に言おう。わたしがこの本を取ったのは、又吉と武田砂鉄と、中華料理屋で喋りたかったからだ。共感も同意もなくていいから、なんか変じゃないか?という違和感とか、ちょっとだけ面白いんだけど、ひょっとしたらオチを見失うかもしれない話、とかをダラダラと話したかったからだ。(わたしは芸人でも関西人でもないので、オチからはフリーになれる存在なのだ。生きやすい。)チャーハンを食べ終わったら、我々の間にあるのは水だけでも十分、そういう時間の過ごし方が、この本とならばできる、そう(勝手に)直感した。
で、結果だが、わたしはちゃんと、読み終えた時、「そろそろ終電だし、帰るか」という気持ちになり、中華料理屋を出た。テーブルの上に残されているのは水のグラスだけだから、おばちゃんの閉店の片付けも少し楽だろう。じゃ、とか、また、とかいう短い挨拶をしてそれぞれの家路につく。ちゃんとわたし(たち)は、無目的なそれぞれの思索が自由に泳ぐ時間を過ごすことができた。充実した時だった。
この本とは、これからも中華料理屋の気分になった時に交わり続けると思う。蔵書に決定だ。おめでたい。ちなみに、中華料理屋と無目的が結びつく所以だが、多分大学の時にそれこそ「無目的な思索の応答」を夜な夜な中華料理屋で繰り広げていたからだと思う。でも、そういうことがなくても、中華料理屋ってなんとなく色々なルールやしがらみから解放されている感じがして、無目的になりたい気持ちの人にも優しい気がしませんか。ちなみに、山崎まさよしが歌っているような、中華料理屋が好きです。胃もたれしてない時に行きたい。
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話は逸れましたが、今日の本の馴れ初めはこれまでです。出会った時の幸せな気持ちを思い出すことができて、とてもいい時間でした。
本は、たくさん失敗して出会い方を会得するものだという人もいるだろうし、わたし自身、そんなん会得できるものなわけなかろう、という感じもします。ここに書いたのも、本の選び方のハウツーではないので、結局、本をどうやって選べばいいんだよ、という声も聞こえてきそうだけど、本屋さんをうろつく時間は、自分が今何を考えていて、何が欲しくて、それに答えてくれそうなものはどこにあるか、というのを探す、楽しい時間でね・・・ということが伝えられればいいな、と思っています。
まだまだたくさん、馴れ初めのご紹介をしたい本が積み重なっているので、続きは元気が余った夜か、早めに目覚めた朝にまた、ぽつぽつと。
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