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SaaS Conference Tokyo2018に参加して

みやながです。
noteデビューです。

先日SaaS Conference Tokyo 2018に参加したのでその時のことを話したいと思います。

# SaaS Conference Tokyoとは

SaaS Conference Tokyoは3年前(2016年)から始まった、 日本で活躍するSaaSスペシャリスト達と共に実践的かつインタラクティブなセッションを繰り広げるSaaS特化型カンファレンス です。
主催者はベンチャーキャピタリストの前田ヒロさんで、SaaS x スタートアップの多くの企業に投資されておられます。
(個人的には前田さんのブログをいつも楽しみにしています :D)

イベントは2016年に第一回が開催され、参加者100~200名くらいで始まったそうですが、今年は300~400名の参加者がいらしたようでSaaSの盛り上がりを感じました。

# 誰向きのどんなイベント?

私自身は初参加で例年どのような内容になっているのかわかりませんが、今年の開催内容だけでいうと、

- 主に各セッションで前田ヒロさんがモデレーターとなり、登壇者がソファに座って、Q&A方式でインタラクティブなセッションを行う方式
- スライドは少なく、たまにスライドを出して説明するようなイメージ。
- 1セッション40分程度なので聞きやすい。
- PMF(Product Market Fit)までの苦難や道のりについてのクエスチョンが多め。
- 登壇者の半数が代表ポジションだったので経営やプロダクト、組織などを俯瞰した中での知見共有が多い。
- ちなみに来年はセッション数を倍増してもっとディープなコンテンツを用意すると言っていました。
 - 個人的にはプロダクトに寄ったコンテンツが増えることを願いますw

私自身はプロダクトマネージャーとしてのポジションなので、PMFまでの知見吸収を目的に聞きに行っていました。

会場の様子

# 各セッション概要

7セッションが半日で実施されました。
ここからは自分が参加していたいくつかのセッションのサマリを書いていきます。

## 3年連続300%増のSaaS企業のHard Things

庵原 保文さん 株式会社ヤプリ 代表取締役社長

3年連続ARR300%増を達成しているヤプリ社。
アプリ運営プラットフォーム `Yappli`に関する話。

- 最初の2年は正直全く伸びずどの業界に刺さるかよくわかっていなかった。
- 人のつながりで色々な業界で売り込むもお金にならない業界に行ってしまったり四苦八苦した時期もあった
- オンラインセールスでの獲得に固執したが苦戦
 - エンタープライズ向けにシフトしてから転機を迎える
- エンタープライズにシフトしてファッション業界でのアプリニーズに対して刺さったことがすべての始まり
- ユーザは想定外の行動を取るのでとにかくユーザの行動を観察して探ることが重要だと思う
- 展示会を使ったオフラインマーケティングのPDCA
 - 最初は社員だけで1人1人頑張ってもらうスタイルだった
  - コンパニオンを雇ってインサイドセールス的役割を担ってもらって本気度の高いお客様に対して社員が説明するように切り替えた
   - より露出を増やすため展示ブースの内ではなく外に向けてディスプレイを向けるとより集客に成功した
- 展示会などイベントの費用対効果をどう考えるか
 - 全体で見たときのCACだけで今は判断しているので個別でリターンを考えていない
- エンタープライズであればオフラインでの接触が大事で基本的にどの業界でも通用すると思っている
- Customer Successについて
 - customer success dayなる社内イベントを行っている
  - 目的はカスタマーサクセスを全社文化にするため
  - SaaS事業を行う上ではどの事業もチャーンレートを意識することが重要

## 高速インサイドセールスの立ち上げと拡大
鈴木 淳一さん 株式会社セールスフォース・ドットコム インサイドセールス本部 ​ コマーシャル事業部/スタートアップ戦略部 事業部長
工藤 慧亮さん 株式会社SmartHR 営業企画

### SmartHR

- 工藤さんが入社した時は大量の新規リードがあるもののリード管理が個人に委ねらている状態で組織の改善が急務だった
 - インサイドセールス部門を立ち上げた。数値の整理→セールスフォースへの落とし込み
- セールスフォースのThe Modelを軸にmarketing, sales, CSが各部門がみたい情報をセールスフォース内で描けるようにデータ設計をし運用している
- インサイドセールスの立ち上げに適した人材は?
 - 立ち上げ期は組織やKPIの設計を行う必要があるので、経験豊富でセールスでもリーダクラスの人材を配置したほうが好ましい
 - 課題の可視化、数値化がとにかく重要
  - 細かく因数分解して早急に察知できる状態を作っておく
- インサイドと外勤営業のコミュニケーション
 - slackを通して成果を共有する
 - インサイドセールスからカスタマーサクセスが始まっていることを社内で意識づけている

- セールスフォースの良さ
 - the modelのように組織化されると各チームの数値や目標の共有が重要でその時に同じデータソースで同一タイミングでKPI確認できるところがよい

### セールスフォース・ドットコム

- セールスフォースのインサイドセールス育成について
 - inside sales universityという学校制度がある
  - 必須科目をクリアしない限り営業業務ができないという厳しいスキルチェックを行っている
  - 教えているのは電話するスキルではなく姿勢。お客様の声を徹底して聞いて、ビジネスを理解した上で最後に商品を提案するという姿勢を身につける。

## IPO後も高成長を続けるSaaSプロダクトと組織

佐久間 衡さん ユーザベースグループFORCAS代表取締役

- SaaSカンパニーほど他社SaaSをがんがん使おう
 - 成長すると開発リソースがボトルネックになることが往々にしてある
 - 開発リソースは自社プロダクト1点に集中する

- 80%のユースケースを最もシンプルなUIで表現 *個人的に感動しました
 - ユースケースを100%網羅するUIは複雑にならざるを得ない
  - マイナーケースを考慮すればするほどメジャーケースのUIに悪影響を与える
  - ユースケースを平等に扱わないことが大事
  - それでもマイナーケースを網羅するときはいっそ別画面にするなどしてメジャーケースに影響を与えない

- ユーザファーストではなくファーストユーザになる
 - 自分が一番使うユーザになることで意思決定を早くする
 - PMFまではとにかくスピードが重要

- PMFまで最短で到達するには
 - sales(リードタイム)、 オンボーディング、フィードバックサイクルが全て短いことが重要

- 開発の優先度付
 - ターゲットをバイネームで決めてそこにだけ特化して開発する
 - 最適化したらターゲットを変えてまた特化して開発
  - 小さな独占の連続

# 全体通して

## カスタマーサクセスの重要性
各社PMF達成までを振り返ると必ずカスタマーサクセスの重要性が話題に上がっていたような気がします。
カスタマーサクセスというワードも最近では多くの書籍が出るなど耳慣れた単語になりましたが数年前まではカスタマーサポートとの誤解があったりあまり重要性を理解してもらえないとかもあったのかもしれません。

## horizontal SaaS特有の困難
ヤプリ、セールスフォース、SmartHR、ユーザベースなどhorizontalの性質のプロダクトが多く、営業戦略や開発の優先順位付けをどうするかなどの特有な知見共有が中心だったように思います。

## PMFまでのプロダクト開発の話
リーンスタートアップやLearning LeanにもあるようにPMFまではとにかく学習→構築→計測 のサイクルをスピード感もってガンガン回す必要があります。その中でヤプリの庵原さんやユーザベースの佐久間さんの話でも意思決定を早くするためにシンプルな行動指針(1社に特化して開発、営業、オンボーディングすべてのリードタイムを短くする など)を持っているのが印象的でした。

長々書きましたが、以上です。


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