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シャンパンは新年の味

ホテルの朝食のグレードをみるときに、基準にしているポイントがある。
オムレツを好みにあわせて作ってくれるとか、生絞りのフレッシュオレンジジュースが飲めるとか、そういういくつかの中に、シャンパンとはまでいわないまでもスパークリングワインが置いてあるかどうかというのがある。

みのもんたが「徹子の部屋」に出演して、朝食はビール2本だと言ったというのがニュースになっていて、それも素敵だと思った。
朝からビールを飲むみのもんた。
話がなんだかこってりしてしまった。

しかし朝から飲む酒は背徳的だけれど最高の贅沢だと思う。

自分がこれまで体験した最高の朝ごはんは、サンセバスチャンのバルで食べたこれ。

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いくつかのピンチョスをあてに、チャコリというバスク独特の微発砲のワインをくいっと飲む。
産まれたてのバンビのようにあどけない胃袋に、いきなりアルコールが入っていく。
首筋から背中にかけて、心地よい酔いがゆっくりと伝わっていき、いつしか陶然となる(©辻静雄)。
極上のモーニングコールだ。

リスボンのホテルに泊まったとき、朝食会場にスパークリングワインが置いてあった。
うれしい。
オレンジジュースよりもヨーグルトよりも一杯のスパークリングワインで一日が豊かになる。
朝から騒がしいくらいに陽気なスタッフが、スパークリングワインの栓を抜くたびに「ハッピーニューイヤー」と大声で笑いながら繰り返すのが、だんだん鬱陶しくなってきたりするのだが。
ともあれ、こちらではシャンパンは新年を祝うもの、ということだ。

パリでは、レストランでもビストロでもカフェでもシャンパンを飲んでいる人はほとんどいない。
シャンパンは特別なもの。
その店で飲める一番高いグラスワインと同じくらいかそれ以上の価格設定だ。
そりゃあ誰も飲まない。

だからシャンパンは家で飲むものなのだろう。
ロイターの記事によると、コロナ禍の自粛もあってかシャンパンの売り上げは過去最高になるとのこと。
https://www.reuters.com/markets/commodities/champagne-pop-sales-record-demand-flows-again-2021-12-20/

家飲みが増えたというのはどこの国も同じらしい。
記事では品切れ寸前とあるが、それは言い過ぎではないかと思う。
スーパーやデパートにはわんさかと置いてある。

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お金の話を少し。

世界の街の物価をみるときに参考にしているものの一つが、モエ・シャンドンの値段だ。

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ドバイの空港は48ドル。5,500円。
クラクフのスーパーは175PLN。4,900円。
サンセバスチャンのスーパーは32.95ユーロ。4,300円。
サンセバスチャンの三ツ星レストランであければ80ユーロ。10,000円。
ヘルシンキの空港は46.9ユーロ。
パリのデパートは33.9ユーロ。
街中のスーパーよりも、ギャラリーラファイエットやボン・マルシェなどのデパートのほうが安い。

ちなみに日本で一番安いと僕が思っているのはビックカメラ(ビック酒販)で、4,780円。
10年ほど前までは4,000円もしなかったのだけど、まあ色々とあるのでしょう。
日本のレストランであけるとすれば、安くて8,000円ほど、高級レストランだと13,000円くらいとられるだろうか。
いずれにしても、フランスからはるばる運んできて日本でこの価格で飲めるのだから、それなりにお得だと思う。
これは白ワインでも赤ワインでも同じこと。
本場フランスだから安いということはほとんどない。
フランスのほうが高いこともある。
酒税なども絡んでいるのかもしれないけど、日本のインポーターの営業努力が凄いのだとも思う。

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パリでシャンパンといえば、夜、一時間毎にエッフェル塔が輝くシャンパン・フラッシュ。
ピンボケした写真がむしろシャンパンっぽくていいかもしれない。

あっ、日本は新年ですかね。
こちらも、もうすぐです。

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