隠される本音
中学生の頃、先輩だか友達だかに言われて、未だに覚えている言葉がある(正確には思い出したのかな?)
わたしの家には、クラビノーバという名前の電子ピアノがあった。今調べると固有名詞っぽいのだが、家でもピアノ教室でもクラビノーバと言っていた当時の私は、クラビノーバが一種楽器の名前だと思っていた。
何かの話の流れで、『家にクラビノーバがある』そう、先輩に伝えた。
--何それ?
「電子ピアノみたいなものです!」
--じゃあ電子ピアノって言えばいいのに。
じゃあ電子ピアノって言えばいいのに。冷たく放たれた、この言葉を思い出すと、何か悲しく泣きたくなってくる。
当時の私もおそらく同じ気持ちだっただろう。
別に自慢したいわけでもなく、ただそれが名前と思い伝えただけなのに、と思う。
今の私はそんな思いに加えて、あぁあれが人の本音なのだろうと思う。
大人になるにつれて、人は本音を隠すようになる。
私の何気なく放った言葉で、相手は心の中でどんな本音を持っているのだろうか。
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