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映画【TENET】


原題 Tenet
製作年 2020年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース
映画上映時間 150分
映倫区分G

【概要・あらすじ】

『ダークナイト』シリーズや『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督が描くサスペンスアクション。「TENET」というキーワードを与えられた主人公が、人類の常識である時間のルールから脱出し、第3次世界大戦を止めるべく奮闘する。ウクライナでテロ事件が勃発。出動した特殊部隊員の男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、捕らえられて拷問されながらも自ら服毒。しかし、毒はなぜか鎮静剤にすり替えられていた。その後、未来から「時間の逆行」と呼ばれる装置でやって来た敵と戦うミッションと、未来を変えるという謎のキーワード「TENET(テネット)」を与えられた彼は、第3次世界大戦開戦の阻止に立ち上がる。

【評価】(5段階評価)
総合評価★5
シナリオ★4.5
映像★∞
個人的好き具合★5.0

【感想・レビュー】
ー間違いなく革新的だ。ただ事実という事実がそれしかないー

この作品はあらすじを説明するのが非常に難しい。
なぜならまずストーリーを理解しなければならない点、構造を理解しなければならない点、更にネタバレを避けるためにはほぼほぼあまり語れないという感想殺しの面が大きい。

ただし、一度見た同士ではいくらでも語り合えるのではないかと思うほど奥深い内容となっている。

なのでネタバレには気を付けるが、何がネタバレになるかも怪しいので、是非1度見てから読んでほしい。


まず舞台はウクライナのオペラハウスから始まる。テロによるオペラハウス襲撃に対して特殊部隊が突入するのだが、本作の主人公は制圧以外に別の任務を持って潜入する。

まず、冒頭からタイトルまでの間が凄まじく格好いい。初見状況もわからないような状態ながら「何か」が始まる予感はビシビシ感じられた。
個人的にはこの映画は音楽がずば抜けて好きである。

音楽を思い出すだけで映画が見たくなるのだ。不思議。
腹の底まで響くような低音に興奮を抑えきれなかった。
冒頭から鳥肌ものの音楽にしびれた。

主人公はあるものを入手するためオペラハウスに潜入していたのだが、ギリギリのところで捕まってしまい拷問を受けてしまう。そして自ら服毒し自死を選ぶ。

で、タイトルである。

怒涛の展開のため、まさか同監督のメメントのように時系列戻ってく系かと思ったがどうやらそうではないらしい。(多分)

さて、実は自死用の毒だと思って飲んだカプセルが実は鎮静剤で「TENET」という言葉以外何もわからない任務に付くことになる。

と、あらすじで喋れるのはこのくらいである。

ここからは007のようなスパイ映画が繰り広げられる。

実はストーリーをある程度理解すると実はそこまで複雑な話では無い(ような気がする)。

が、この作品を難解足らしめるのはクリストファー・ノーラン監督お手の物「時間」である。

掻い摘んで話すと、私達が普段暮らしている時間の流れを順行世界だとすると時間の流れが逆に進む逆行世界がまず存在する。未来から過去に戻っていくのだ。

ここで大切なのが、タイムスリップ、タイムリープという現存した過去戻る系とは過去に戻り方がちょっと違う。

例えば1日前に戻る場合、タイムマシンに乗って一瞬で過去へとはいかない。時間が逆再生される世界の中1日過ごす事で1日戻っているという流れだ。

この逆再生が何より見る人を混乱させる。何故なら逆行世界視点で見たとき、物事は逆の動きをするのだが、順行世界で見たとき、逆行世界人も当たり前だが逆の動きをする。

要は周りが逆の動きをしている映像でも今が、順行世界の視点なのか逆行世界の視点なのかを理解する必要がある。

そして、物語が進めば進むほど細かく入れ替わったりいつ入れ替わったのかを考えなければならない。

映像の中でこれが行われると、もはや混乱だ。

初めて見た人が全てを理解などできるはずない内容になっている。

私は今のところ2回鑑賞したのだが1回目は正直、どんどん何が何だかわからなくなっている内に終わってしまった。そんな感じだった。

しかし、面白かったのだ。
全てを理解などしなくても面白い。

クリストファー・ノーラン監督は映画の特徴として、世界観をひとつひとつ説明するわけでは無く、映画を見ている内になんとなく設定がわかっていってなんとなく見る事ができるのだが、圧倒的エンターテイメントでよくはわからなくても楽しめてしまう。更にそのなんとなくを紐解くと更にこんなに奥深いものなのか!と驚くのが作品の特徴としてある。

その最たる作品がこの「TENET」のような気がする。

家に帰っても頭の中は「TENET」一色なのだ。

大筋以外があまりにも理解できず、パンフレットを読んで、まとめサイトを読み漁って、「TENET」を見た友人とあれはこうであそこはこうでと話し合って、少し納得した内容、もしかしてこうなんじゃないかという仮説が見つかればもはや2回目を見たくてたまらなくなる。

そして2回目を見たら、またあれってどういことなんだと気になる部分がでてくる。←イマココ

もはや止まらない。
この気になったところを紐解ければこの話は全然違う内容になるんではないかと想像してしまう。

そして、世界で自分だけが気づけた気がするに浸りたいのだ。

とまあ、こんな感じで私はハマっております。

もちろんちょっとよくわかんないで終わる人もいるかなとは思う。

でも間違いなく見た事のない映像、考えた事もない設定を味わうだけでも一見の価値は間違いなくある作品だ。

何よりわからないが故、凄く丁寧に映画を見ようと思えたし(特に2回目)見た同士であーでもないこーでもないと人と話すのがとても楽しい作品である。

革新的な映像と設定は間違いなく、ただ正解があるのであればまだその正解が何なのかわからない。物凄く単純なのか、複雑なのかもわからない。更に隠された何かがあるのかもしれない。

2回見てもこんなにワクワクさせられる作品は本当に久しぶりだ。

まだ見ていない人は是非ともこの世界観を映画館で見てほしい。そして混乱してほしい。(笑)
何かがひっかかった人は何回でも見てほしい。

そして色々喋り合いたい。

映画ってこういうのが楽しいよね。と思い出させてくれる逸品でした。 

是非一度ご覧下さい。

2020年TOP3には間違いなく入る面白さでした。

【公式HP】
https://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/index.html

【予告】

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