布池 誠

パズルとか好きです。

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【短編推理小説】五十部警部の事件簿

事件解決まとめ。 事件その21の解決 射殺犯は秋山。 事件その22の解決。 加藤はずっと自社の事務所にいて、それから演奏会へと向かったはずである。 なぜ扉の鍵が掛かっているのを知っていたのだろうか? 事件解決その23 田野が犯人でないなら、往復は四度になるはずだ。 まず銃声を聞き現場へ向かう。そこで撃たれた植木氏を発見し救急箱を取りに小屋へ戻る。それから取って返し、植木氏に手当をするが虚しい。そこで警察に連絡すべく小屋へ戻る。 都合四回の往復で四組の足跡が残る事になる

    • 【短編推理小説】五十部警部の事件簿

      事件その25 四人の囚人がその夜に脱獄した。 四人はその過去からの関係を知られずに同じ雑居房に入れられたのだった。 その夜の嵐と落雷による停電に乗じて四人は隠していた鋭利な糸鋸を使って鉄格子の一部を切り取り、その隙間から手を伸ばし外から鍵穴を針金を使って開錠したのだった。 彼らのうちの一人はこうした仕事のプロであった。 逃走に際して彼らは看守から拳銃を奪っていた。 四人は以下の通りである。 鎌田太郎。飯田正雄。木戸孝光。友永幸吉。 連絡を受けた五十部警部らは必死に四人の行方

      • 【短編推理小説】五十部警部の事件簿

        事件その24 その晴れた日の朝、目白台アパートの三階に住む山田久子は、アパートの玄関ロビーで、一階に住む大家の娘で小学生の大木種子と鉢合わせになった。種子は母親に言われて愛犬のタロを散歩に連れて行くところであった。 タロはこの山田久子を嫌っており、この日も唸り声をあげて彼女に牙を剥いた。 種子はそんなタロをたしなめ会釈をして通り過ぎようとしたが、タロは山田久子へ向け飛び跳ねていた。 悲鳴を上げて尻もちをついた山田久子はそのまま玄関から走り出ていってしまった。 それから三十分

        • 【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件その23 郊外に広がる雑木林の小径を五十部警部と第一発見者の田野は躓きながら急いでいた。 もう日暮れが迫ってきていた。 道すがら田野は五十部に自らが発見者である事情を説明した。 「山仕事の為の掘っ建て小屋に、同じ雇員の植木と二人で泊まり込みの仕事をしていたんでさ。 昼前に仕事もあらかた片付いたので、植木は猟銃を持って山鳥を獲ってくるといって小屋を出たのです。 それからものの十分もしないうちに、銃声と悲鳴が聞こえたのです。 私は急いで音のした方へと向かいました。 400M

        【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その22 警官がそのドアを強引にこじ開けて大河内氏の書斎へと入った。 大河内氏は富裕な資産家として、また、篤実な慈善活動家としても知られていた。 警官と共に入った五十部警部の目に、彼は年代物らしいマホガニーの机に突っ伏しこと切れた姿で飛び込んできた。 机には凝った細密の浮彫文様の施された注ぎ壜があり、琥珀色の液体で満たされていた。 バランタインだろうか、甘く澄んだ網瓜のような芳香が漂っていた。 薩摩切子のグラスは空であった。半分ほどになったソーダー水の瓶は蓋がされていな

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件その21 私立探偵の山本八郎と木田耕三の二人が室町アパートの302号室へ踏み込もうとした時、銃声が響き四人の男がその部屋から飛び出してバラバラに夜霧の街へと消えた。 直後、山本八郎がばったりと倒れ、彼は自分を撃った男の名を言いかけて果たさなかった。 逃げた四人の男たちはさる資産家の家から強奪した金塊を持ってそのアパートに隠れ海外への逃亡の機会を窺っていたのであった。 資産家からの依頼をうけた二人、山本と木田はその資産家の心当たりにある人名をたどって、警察の捜査より早くこ

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件解決16-20 事件その16の解決。 トメ婆さんは耳が悪いはずだ。 居間の端にいて、玄関前の戸のところで話す警部と鑑識員の会話が聞き取れるだろうか? 奥の部屋にいて、彼が寝台のある部屋から出て来て、扉を閉めた音も聞いている。 トメ婆さんは明らかに嘘を吐いているのだ。 事件その17の解決。 田原権蔵が説明した通りなら、彼の位置やその後の経過から、遺体がどこに隠されたかを知りえないはずである。 事件その18の解決。 犯人は小岩夏子。 一緒に赤線宿を営んでいた

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その20 その日はあいにくの雨模様だったが、五十部警部は顔を出した翁倶楽部でビールを片手に、コンビーフのサンドウィッチをつまみながら、旧友の多賀美氏と語りあっていた。多賀美氏は考古学の専攻で戦前の満州において、様々の発掘作業を指揮監督しており、その頃の思い出を懐旧に胸をしぼりながらぽつぽつと語るのだった。 「往時茫々とはよくいったものさ。あの当時の事を思うとね。しかし、馬鹿げた話だよ。恩師だったXX先生が梅毒で脳にきていたなどとは、僕は夢にも思わなかった。だから、先生が

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その19 「どういう事なんです、一体?どうして妻があんな目に?」 実業家としてかなりの財産を築いたやり手である野川克彦が、病院の待合室に駆け込んできたのは、その妻の死亡したわずか三分後であった。 通報を受けた五十部警部がすでにそこに居た。 「失礼ですが、野川さん?」 五十部が尋ねた。 「ええ、妻はどこにいるんです?アンタ警察ですか?」 「はい。ほんの少し、形通りにお尋ねしたい事があります。」 「離婚を協議されていらっしゃるとか。しかし、この半年間の間、御一緒に暮らされて

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その18 駆け出しの役者である小塚ススムは、その夜、自宅のアパート鏡に向かってネクタイを直しながら、流行歌を口笛で吹いて上機嫌だった。 ポケットに玄関のカギをしまい、ふと鏡を見上げると、玄関の戸が開いて、女がこちらを睨んでいる。 鏡に映る男前の顔はすでに血の気を失っていた。 女は黒くピカピカと光る拳銃を彼に向けていたのである。 音が鳴り、彼は床に倒れた。 捜査は簡単に終わるかと思えたが、以外に難航していた。 小塚は表向き愛想はいいが、自分のことをほとんど関係者にも

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その17 「骸は薪ざっぽうの積んである下にありまさぁ、で、でも旦那、この件についちゃ、ワシはシロですぜ。」 連絡を受け車で現場に駆け付けた五十部警部と坂木刑事に向かい、 山仕事をしているという田原権蔵はどんぐり眼をキョロキョロと左右にさせて交互に文句を垂れた。 「まずは現場を視てみる事にしましょうか。」 駐在所からすぐの丘を徒歩で登り、そのまま雑木林へと入った。 しばらく歩いた道のわきにある茂みの奥へ分け入ると、そこに雨風をよけるための小さな小屋があった。 「ここじゃ、

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その16 夏季休暇も二日目に入ったある日、泊まっていた旅館青牛荘の主人との四方山話の中で、彼は旧知の高齢の元教授が近くに住んでいることを知った。 主人に道を聞いて、その翌朝彼はその元教授の住んでいる古びた家を訪ねた。 家に着いてみると返事がない。表口、裏口とも鍵が掛かっている。 留守なのかと思い引き返そうとしたところへ通いの家政婦である、トメという婆さんがちょうどやってきた。 「アンタ、家政婦ですか?」 五十部警部の質問に顔をしかめて通り過ぎようとする。 何度か声を大き

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件解決11~15 事件その11の解決 頭目は柴田。修理工は幸田である。 事件その12の解決。 彼女がテーブルに上がって首を吊ったのなら、テーブルに彼女の指紋以外の痕がないのは変だ。70キロある体重ならハイヒールのかかとの痕くらいはテーブルに付いているはずだ。しかも、テーブルの上の花瓶の花卉は、その葉が床に落ちているのに散っていない。本来なら何回か足が当たって、葉と同様床に落ちていてもおかしくないはずだ。 事件その13の解決。 その夜リンが視た空を見る人影は、後ろから首を

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その15 五十部警部は翁倶楽部の集まりで、くつろいだ様子だった。 「常識的な観察さえすれば、傍証の無いアリバイの偽装は極めて困難だよ。いい例を挙げよう。徳地事件だ。」 五十部警部は珈琲を一口啜って続けた。 「戸丸銀座の通りで僕は偶々徳地正太郎という男に出くわした。その前日、彼の友人二人が殺害されていて、他の署が彼を探していることを知っていた僕は彼にその事を告げ、簡単に事情を尋ねたんだ。  その日の午後四時から六時の間どこにいたのかとね。  彼はその日の午後二時にはヨット

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その14 五十部警部と坂木刑事が、異変を知らせる電話によって駆け付けた、その古びた洋館の一室で事件は起こっていた。 洋館は広い庭のある平屋の建物で、そこに有名な占い師でもあり、神秘学についての著述家でもある渋沢虎彦がひっそりと世間とは没交渉に住んでいたのだった。 彼は隠し持っていた拳銃で頭を撃ち抜いて寝台に倒れていたのである。 状況から即死と見てよかった。 入口のドアから入るとその正面にレースのカーテンが掛けられた小窓があり、その窓に面して横向きに置かれた寝台の枕は右の

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その13 残された犯行の跡は白い喉についた深い痣の痕だけであった。 なんという恐ろしい殺人か。 五十部警部はため息を吐いた。 被害者が仰向けに横たわった白黒の写真にくっきりと黒く写るその痣は左の痕がより鮮明だった。 被害者はこの屋敷の末っ子である質朴な若い娘であった。 調べても動機らしいものは浮かんでこない。 これは単なる病的な殺人嗜癖が行った流しの犯行かと思い始めていたところに、若い合田刑事が一人の男を署に連行してきた。 リンという屋敷のコックであった。 「屋敷の運転

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