布池 誠

パズルとか好きです。

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五十部警部の事件簿の解決編

事件解決 56-60 事件その56の解決。 被害者は沢 花江。 事件その57の解決。 五十部警部はオート三輪の荷台にあった血のしみに着目していた。 もし、小村のいう通り、最初から遺体だったとしたら、それほど大きな血の染みはできないはずだ。遺体の男は荷台に載せられてからも、生きていたからこそ、出血が広い染みとなって残ったのだ。 事件その58の解決。 使用人の男は部屋に駆け込んだと証言している。 なら、床には泥の足跡があるはずである。 彼は嘘をついている

    • 【短編推理小説】五十部警部の事件簿

      事件その60 坂木刑事は、近頃できた小さな貸別荘のベランダに籐椅子を出してうたた寝をしていた。 そこへ自動車の音がしてやって来たのは五十部警部だった。 「坂木君、せっかくお休みの処申し訳ない。僕もこの近くに散策に来ていたんだがね。この少し先のXX川で、一時間ほど前に遺体が上がったんだよ。一緒に来てくれないか。第一発見者から事情を訊きたいんだ」 「今朝から、風も無く蒸し暑くて困っていたんです。そこでまた事件ですか?事故なんでしょう?」 「さぁ、それはどうかな?」 五十部警部と

      • 【短編推理小説】五十部警部の事件簿

        事件その59 「どうして、アタシが彼の事件に関係しているの?」 早朝の駅は、地方から来た人たちで朝からごった返していた。 内乃利子をその雑踏の中に見つけた五十部警部は、彼女を改札の端へ引っ張って行き、佐藤種夫の行方を知らないか?と問い糺した処であった。 佐藤種夫は不良グループの頭目であり、 ヒロポンの密売人としての疑惑もあった。 彼らのグループは、収益の為に様々な犯罪にも手を染めており、 ヒロポンの密売人と恐喝や窃盗のグループとに 二分され、その両方を彼が統括していたのだ

        • 【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件その58 「こりゃ、ひどい雨だね」 五十部警部は嘆息しながら、どしゃぶりの雨の中を走らせてきた車から降りた。 XX森林公園の近くに在る、ある町の警察署に事件の調査も兼ねて 出張していた五十部警部は、殺人事件発生の報を聞き、署の刑事たちと同道して、〇〇町の外れにある、地方の資産家の邸宅へ出向いて来たのだった。 大きな門からは、かなり離れた所に、平屋建ての広い家の明かりが見えていた。 すでに夜となり時折、雷鳴が鳴る中を、庭の踏み石を伝って歩いたが、辺りは街灯もない郊

        五十部警部の事件簿の解決編

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件その57 警察の遺体安置所に、男が運び込まれたのは深夜の零時を回っていた。 霙交じりの雨が降る寒い夜であった。 その男の遺体は秩父の山村の路上に放置されていた。 第一発見者の小村三郎が、その遺体をオート三輪の荷台に載せ、中央署へ乗り付けたのだった。 男の背中には刺青があった。 腰のあたりに深い刺し傷があり、それが死因となったことは明白であった。 五十部警部はそのオート三輪の荷台に大きな血の染みがあるのを見てから、遺体の身元を示すモノが無いかと調べたが、ポケットから出てき

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          【推理パズル】五十部警部の事件簿

          事件その56 XX県にある猫穴用水池に女性の遺体が浮かんでいた。 江戸時代にできたその用水池はかなりの広さと深さがあり、 釣り人も多く訪れていたのが、 夜釣に来ていた者が明け方になって、 ようやく浮いている遺体に気が付くまで、 誰も怪しい物音や人影を見てはいなかった。 検死の結果、身長が153cm程で肺と胃に水は無く、 索状痕が首にくっきりとしていた為に、 他殺と断定された。 しかし、被害者の身元については確認が難航した。 ようやく、用水池から10キロほど離れた農園で

          【推理パズル】五十部警部の事件簿

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件解決51-55                                                                                                                                                                                                                                      

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件その55 中京団という窃盗を中心とする犯罪グループの首領だった、渥美五郎という男が惨殺され、荒川に浮かんでいた。 彼は内部に警察のスパイが紛れ込んでいるとの疑念を持ち、団員のうち数人を査問した上で殺害していた。 そのことに反発した団員たちの一派が反逆した結果との見方が強かった。 五十部警部は様々な協力者の提供する情報網を駆使し、中京団の構成員を割り出していた。 中京団は現在のところ以下の中核的団員で構成されている模様だ。 阿部比呂志、今泉麻衣子、太田太郎、石川真司、旅田

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件その54 坂木刑事は床に転がっていたワインの壜のコルクを抜き、少し匂いを嗅いでから、それを監察医に渡した。 五十部警部は床に倒れていた40頃とも見える太った女性が、すでに死亡しているのを確認し、監察医を呼んでくるようにと指示をした後、遺体の側にあったハンドバックの雑多な中身---香水の壜、ハンカチ、財布、何かの小冊子、幾つかの飴の包み、等を検めた。 女性は口紅をやや濃い目に塗っていたが、リップスティックはハンドバックの中にはなかった。 その部屋は大河内マンションと呼称さ

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件その53 事件が起こったのは、梅雨に入って間もなくの大雨の日であった。 その日、女子高校生だった久我佳子が学校から帰宅せず、警察に届け出がされたのがきっかけだった。 間もなく、刺殺された久我佳子の遺体が通学路から離れた運河に浮かんでいるのが発見された。 直ちに捜査本部が置かれ、五十部警部らは付近の聞き込みに奔走した。 その結果、以下の事が分かってきた。 佳子が通っている学校近くの運河の橋の下に、夜中に集まっている若い男女のグループがあった。 1.そのメンバーは、疋田四

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その52 「事務所の壁の一角がちょうど奥へと引っ込んでいて、そこにお茶を汲む為の小さなキッチンと事務所に三台あるうちの一つの電話機が設置してあったのです」 商事会社を営む山崎氏は、駆け付けた今泉刑事に状況を説明した。 寒風吹きすさぶ三月の深夜、署に掛かってきた無言の電話を逆探知して、それが室町第二ビルからだと判明したので、今泉刑事と坂木刑事が自動車で駆け付けたのだった。 山崎氏の営む山宝商事は融資もその事業の一つであり、事務所はビルの七階の半分を占める広さであった。 「

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その51 「ああ、後、10分、ほんの10分、私が早く小屋に着いていれば…」 足立武はそういって嘆いた。 ××湖畔にある別荘で妻が首を吊っているとの一報を受け、警察が現場を保全している所へ、五十部警部は偶々通り掛かった。 休日の散策を楽しんでいる最中だった。 身分を明かし、彼はその別荘の主人で広告業を営む社長である足立氏に前後の事情を訊ねた。 「その日はかねてからの約束通り、新築した別荘へ泊って、湖畔を散策していたのです。妻は快活で楽しそうでしたが、ふと、なんだか風邪にな

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件解決46-50 事件解決その46。 楽屋は細長く鏡はドアの真正面にあった。 神田が鏡に向かって白粉を塗っていたのなら、ドアから入ってくる小栗の姿は自身の姿に隠されて見えないはずでは?と五十部警部は気づいたのだ。 小栗が腹巻からピストルを出したのを見たというのは嘘だったのだ。 何かで争いになり衝動的にピストルを撃ったのは、神田の方だと後の捜査でわかった。 ピストルの指紋を誤魔化すため咄嗟にピストルに白粉を塗り、床にも撒いた事も分かった。 小栗は神田が陰で美人局をやってい

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その50 ヒロポンの密売団は数多くあったが、ある残忍な殺人の結果、その内の一つが浮かび上がって来た。 高木新吉という密売の元締め格の一人が、非道い撲殺体となって、〇川の河口付近に浮かんでいた事件があった。 その捜査線上に四人組の密売団が浮かび上がって来たが、そのうちの一人が、何かの裏切りを犯した点を、この高木に指摘されたが、逆襲して彼を殺害したという証言が得られたのである。 五十部警部はその後の捜査で、この一団について以下の情報を得た。 冬木太郎と殺害犯の娘は同じ小

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

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          事件その49 「いや、大変な捕り物になったが、四傑団を名乗る愚連隊を一網打尽にしましたよ」 中央署に赴任してきた新入りの佐藤三郎刑事が嬉しそうな手柄顔でいった。 五十部警部もそのことは嬉しく、彼の肩をポンと叩き、「いや、御苦労さん。近年に無い会心の捕り物だったね」と笑った。 その前の週の土曜日の晩、佐藤刑事はそれらしく変装して、一味が経営しているバーへの潜入に成功していた。 かなり広い店で、端の方にカクテルを飲めるスタンドバーが備えてあったので、オレンジシェードを注文し、そ

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          【短編推理小説】五十部警部の事件簿

          事件その48 五十部警部はそのラクダの毛で織った暖かそうなオーバーの膨れた内ポケットを探ってみた。 ステック状のハッカ飴の束が新聞紙に包まれていた。 ある廃ビルにたむろする不良少年団を、窃盗の容疑で摘発した現場で、家出少年たちが寝ている一室へ踏み込んだ時に事件は発覚した。 ラクダの毛のオーバーを被って寝ていた少年を起こそうとしたところ、少年はすでに息をしていなかったのだ。 五十部警部は驚いて、その隣で古ぼけた緑色のオーバーを被って鼾をかいて寝ていた少年を叩き起こし事情を訊い

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