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【短編推理小説】五十部警部の事件簿

事件解決11~15

事件その11の解決
頭目は柴田。修理工は幸田である。

事件その12の解決。
彼女がテーブルに上がって首を吊ったのなら、テーブルに彼女の指紋以外の痕がないのは変だ。70キロある体重ならハイヒールのかかとの痕くらいはテーブルに付いているはずだ。しかも、テーブルの上の花瓶の花卉は、その葉が床に落ちているのに散っていない。本来なら何回か足が当たって、葉と同様床に落ちていてもおかしくないはずだ。
事件その13の解決。
その夜リンが視た空を見る人影は、後ろから首を絞められている令嬢だったのだ。
闇に紛れて背後に屈むようにしていた犯人はリンからは見えなかった。
警部が見ていた白黒写真は左の痕が濃かった。
リンは左利きのようである。指紋を取る際に出したのは左手だった。
リンが屋敷の令嬢を後ろから絞めたのなら、正面の右の痕が濃くなるはずだ。
また、その喉に絞め痕以外が無いというのも変である。爪の伸びた手で絞めたのなら、被害者の喉にわずかでも擦過傷くらいは残るはずである。
五十部は屋敷の運転手を任意で同行し取り調べの結果、運転手は犯行を自白した。
事件その14の解決。
渋沢氏が寝台に横たわり拳銃の引き金を引いて即死していたなら、彼独りがいた部屋のベッドの前の本の下に血痕があるのはおかしくは無いだろうか。
窓のカーテンが動いたのは目の錯覚ではなく窓ガラスに小さな穴があったのである。
吹き込んだ風が揺らしたのだ。部屋のカギは外から閉められた後、その穴から室内へゴムかなにかの反動を利用して投げ込まれていたのだろう。
彼は寝台の手前でこめかみを撃たれ、その際に出た血が床についたのだ。
その直後、彼は寝台へ寝かされピストルを握らされたはずである。
後に使用人の一人がこの日を境に姿を晦ましていることが分かった。

事件その15の解決。
風が無いのなら信号旗ははためくだろうか?
 
 
 

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