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はじめてNFTを買った感想

超AI時代の生存戦略』(落合陽一氏・著)という本に、物事の継続性を生むのは「射倖心」だと書いてあった。
その射倖心を煽る要素は以下の3つだそうだ。

  • ギャンブル的な報酬

  • コレクション的な報酬

  • 心地よさの報酬

NFTはそのすべてを持ち合わせていた。

はじめてNFTを買った

もともと美術鑑賞が趣味である私だが、そこに「NFTアート」というワードが飛び込んできた。
小学生が描いた絵が、NFTアートとして何百万円という価格でやり取りされているらしい。
夢がある話ではないか。自分の子どもにも描かせてみようか、なんて思ったりした。

そこで、「何かしらNFTを買ってみる」という経験をしてみようとウォレットを作って口座を開設して暗号資産を用意するまではしてみた。
しかし、NFTアートと呼ばれるものは今まで自分が鑑賞の対象としてきた芸術とは性質が違うようで、いまいちその価値が見出せずにおり、いざ「欲しい!買ってみよう!」と思うものに出会えないまま月日が流れた。

そんなところにTwitterのタイムラインに流れてきたのがMETA KAWAIIだった。

META KAWAII

まず3D動画という点に魅力を感じた。
くるくる回転してみせる様がPOPで、いつかメタバースでアバターとして使えるようになったら…というイメージもしやすかった。
あとは単純にクオリティが高いと感じたし、ファッション性や見た目の可愛らしさが気に入った。

まずはDiscordに参加した。
日本発のプロジェクトなので日本語でコミュニケーションとれるのは安心した。
参加したのが販売前だったので、販売時のお祭り感を体験できたのは良かった。

META KAWAIIのリリース時の価格は以下の通り。

  • プレセール: 0.06ETH

  • パブリックセール: 0.08ETH

WL(ホワイトリスト)は持っていなかったのでパブリックセール狙いだったが、パブリックセール開始前にOpenseaで0.08ETH以下で二次流通しているものがあったのでそちらを購入した。

NFT購入時に戸惑ったこと

はじめてのNFT購入。
戸惑うこともたくさんあった。

暗号資産を口座からウォレットに移すのには時間がかかる

知らなかった…。
半日くらいかかるものなんだな。
セール日に間に合うかちょっと不安だった。

購入時にはガス代がかかる

いや、知ってはいたんだけど、具体的にいくらくらいかかるものかよくわからないので買えるか買えないかのギリギリしか送金していなかった。(だって暗号資産って高いんだもん。。)
「足りるか…?南無三!!!」と思いながらBuyボタンを押した。

偽物にはご用心

詐欺の話はよく聞いたので、ずっと「これは公式か?」というのが不安だった。買ってからも不安だった。

  • Openseaには公式ページやDiscordで案内されているリンクから飛ぶ

  • 告知のあった詐欺の手口には目を通しておく

くらいしか対策はしなかったが、最低限必要だとは思う。

あとは英語も不慣れだし、Opensea上での単語もよくわからないものが多かったので適時ググりながら進めた。

沼へ

こうしてなんとか初NFTを購入できた私。
今回NFTを買おうと思った一番の目的は「NFTを買うってどういうことかな」「NFTアートってどんなものなのかな」というのを知ることだったので、あくまで勉強代としてひとつだけと決めていた。

決して安価なものではない。そう、ひとつだけだ。

しかし私は無事沼へ。ふたつめを購入するに至ったのだった。

ギャンブル的な報酬

META KAWAIIのセールには「リビール」という処理があった。
買った時点ではどんな子が来るのかはわからず、告知された日時にデータを更新することで初めて絵柄が現れるというわけだ。
(こういう仕掛けのこともNFTを買おうと思うまで知らなかった。)

リビール前のMETA KAWAII

正直どれも可愛いからどんな結果になろうとあまり問題はなかったのだが、やはり「どんな子が来るかな」というわくわくする気持ちはあったし、リビールされたときのDiscordやTwitterでのお祭り感は楽しかった。

(META KAWAIIにはないのだが)レアリティのつくNFTもあるようだし、そこに一種ガチャのようなギャンブル性はあるのだと思う。

私がふたつめを買ったのはリビール後である。
二次流通としてOpenseaに売りに出されているものをチェックしているとまぁ欲しくなってくるわけだが、あまり価格が下がらない(2022年8月時点)。
そして「あ、これ可愛いな」といくつかチェックしていたものがどんどん売れていく。「今買っておかないと、次に欲しいと思ったときは高額になって手が出せなくなってしまうかもしれない」という焦燥感まで出てきた。

暴落するかもしれない。
でも高騰するかもしれない。

まさにギャンブル。
NFTは投機目的による売買も多い。
悩んで毎日Openseaを眺めるのはあまり健康的ではないと判断し、二つ目の購入に踏み切ったのであった。

コレクション的な報酬

これは言わずもがな。
META KAWAIIは全部で3000種。そして2つ持っているとスニーカーNFTがもらえる予定だというのだ。

もともとマステなどちいさく可愛らしいものを集めるのが好きな私である。
コレクション癖を刺激されるのは明白であった。

心地よさの報酬

NFTが「ギャンブル的な報酬」「コレクション的な報酬」を持ち合わせていることは、購入する前からある程度理解していた。
では心地よさはどうか。

前述もしているが、大きなプロジェクトにはDiscordでコミュニティ活動がなされているため、そこに所属する心地よさはあると思う。
この先このNFTを使ってどんなことができるようになるのかな、どんな展開がなされるのか見てみたいな、というロードマップへの期待と運営陣との交流などもひとつの要素だろう。

その他の要素として、自分でも予想外だったのは購入したNFTに対して「愛着が湧く」ということだった。
NFTと言ってもデータはデータだ。
私の知人は「コピーできるんだったらコピーでいい」と言っていたし、自分もそう思っていた。
それが、「Owned by you」と表記されるだけで驚くほどそのデータに対して庇護欲?所有欲?顕示欲?を感じるのであった。
つまりは「うちの子一番!」である。

実際、自分の持っているNFTに対して購入時よりも高い価格でオファーが来たこともあったのだが、「へへん、うちの子は売らないもんね」なんて思ったりした。(「でも売っておけば良かったかな」とかいうギャンブル性との狭間で。)

はじめてNFTを買った感想

NFTを買うってどういうことかな

初動はめっちゃたいへん。
わからないことだらけでググってばかり。
正直いまもよくわかっていないことばかり。

でも「自分のもの」というステイタスが想像以上に欲求を満たすのだということは、買ってみて初めて気づいたことだった。

データはデータだが、言ってしまえばお札も紙である。
これまで価値をつけることが難しかったものが評価対象になるというのは、たぶんいろんな可能性に満ちている。

投機的な楽しみ方もあるとは理解しているが、決して安価ではないので必ずお小遣いの範囲で。(クレカでNFTが買えるというサイトで日本円に換算されているのを見ると「うっ…」となる。)

NFTアートってどんなものなのかな

過去に「東京藝術大学お嬢様部」というアカウントにこんな質問をしたことがある。

NFTは今後のアート界にどんな影響をもたらすと思いますか?

それに対する藝大お嬢様部の回答はこうだった。

今の状況から判断すると、芸術とNFTアートは併存するにせよ、混じり合わない別分野で語られ、別の文脈で整理されることになると思います。

私自身、NFTを買った今も、既存の芸術とNFTアートでは違う文脈を歩むだろうという認識に相違ない。

しかし、まだ期待していることがある。

鑑賞の垣根を超えたアートへの参加体験だ。

このコロナ禍に関わらず、様々な理由で美術鑑賞したいのにできない、と苦しんでいる人は居るはずだ。少なくとも私はそうだ。

所有することで、作品の目の前に行けなくてもブロックチェーン上で何かしらのつながりを感じることができたら…。

NFTアートとは違った文脈で、NFTを表現の媒体としたアート(それはすでにダミアン・ハースト氏や藤幡正樹氏らが試みていることであるが)はこれからきっともっと生まれてくるだろう。

そんなアートを通して、所有するとはどういうことか、価値というのはどうやって決められるものなのか、アートとはなんなのか、引き続き問うていきたい。

最後に、ラファエル・ローゼンダール氏のことばで締めたいと思う。

私が望むのは、自分の作品がどこででも体験できるようになっていることです。
地下鉄で、レストランで、シャワーを浴びて歌いながら

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