中国語、台湾語の無気音と濁音の区別

 自分が何故、無気音と濁音の区別に拘るようになったかの原因を自分で探ってみた。そもそものきかっけは10代の頃、家庭の事情で韓国語を少し学ばなければならなくなり、参考書を読んだことが始まりだ。その参考書で無気音という物を知り、日本人は日本語の中で無意識に使っていることも知った。また、日本語は必ず語尾が母音で終わるが、韓国語は音が詰まる子音で終わることも多いことを知った。大人になり、台湾人と結婚したことで、台湾語の学習を始めたのだが、韓国語と共通して、有気音、無気音、濁音の区別をすること、音が詰まる子音で終わる発音があることに興味をひかれた。

 そして、次に中国語も学習しようかな?と思っていた頃に東京に定住していた上海人と知り合い、その人に中国語ローマ字表記=ピンインの読み方を習った。その上海人の先生にピンインのB,D,G,J,Zで始まる単語の発音は日本人は濁音で読むけど、これは濁音ではない!無気音だと口を酸っぱくして言われた。

 台湾に居を移し、最初の数年間は語学学校へ通い、本格的に中国語を学んだ。学校で知り合った日本人たちのほとんどが無気音を濁音で代用していた。僕はそれは非常に醜い中国語に聞こえると感じていたが、ちょうどその頃、日本育ちの台湾人や中国語がうまい韓国人たちの何人かと知り合った。日本育ちの台湾人や中国語がうまい韓国人たちは濁音混じりの中国語を話す日本人たちを笑っていた。それで、やはり、聞き分けられる人たちには醜い中国語に聞こえているんだと悟った。こういうことがベースにあるので、ずっと無気音と濁音の違いが気になるのである。

 僕はけっして耳のいい方ではない。でも、学習し始めた当初から、発音に関する情報を知ることができたし、注意を向けれる体験があった。大人になってから学ぶ外国語は耳だけに頼るのではなく、理屈というか情報も非常に重要だと思う。特に台湾語のように有気音、無気無声音、無気有声音(濁音)、入声音(音が詰まる子音)、特殊鼻音(頭音から鼻にかかる発音)の区別、複雑な声調変化が起きる言語は耳で聞きかじっただけでは覚えられないし、これらの発音上の特徴を知識として持っていないと、仮名表記やローマ字表記も書けない。雑誌やネット上の台湾情報の中での台湾語単語や料理名などの台湾語仮名表記がことごとく変な表記になっているのは、台湾語の知識のない日本人記者が台湾人の発音を聞きかじって、適当に仮名表記にしているからだ。

 また、台湾語の発音上の特徴を知ったことで、台湾語と共通した発音がある潮州語や客家語にも興味が持てて、ちょっとかじっていた時期もある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?