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20170814 診察日記

診察前のナース問診で、患者はふと
気になっていたことを質問した。
「ワタシ睡眠障害で、強烈に寝坊することが
あるんですけど。
1日3回の内服薬、1回目が
11時とかになっちゃって。
毎日、ぜんぜん定時に飲めていないのですが‥
これってありでしょうか?」

今日は「食後の薬を、うまく服用できない患者
エリィ」からの質問に答えていただきます。

◎病名:
 進行性乳がん(多発性骨転移・多発性肝転移)
◎治療歴:
 1)ホルモン(TAM→LET→EXE)+ZOL
  外科手術(右乳房全摘+腋窩リンパ節郭清)
 2)トモセラピー(骨転移放射線治療)
 3)アフィニトール
 4)ケモ PTX&bev→CAP+ホルモン(ANA+LPR)→VNR
 ※以上をゾメタと併用で
◎現在の治療:
 PTX&bev【再】
 ‥4クール2回目の治療ができるかどうか
(骨髄抑制の為、隔週投与中)
◎おもな症状:
 骨髄抑制、倦怠感、皮膚炎症、
手足ほてり、睡眠障害、下痢、ものもらい

しょうもない質問‥‥というと語弊があるけれど、
細かーい話題は、
主治医ではなく看護師へ聞くことにしている。

ナース「肝臓のお薬ですね。
厳密に考えなくてもいいと
 思いますよ。1日3回飲めればいい‥
 くらいで調整してはいかがでしょうか。」

結論:
生活リズムにこだわりすぎず、間隔をあけつつ
1日の服用回数ノルマを果たせばよい。
(もちろん、この場合は服用前に何か食べる)

近頃の副作用は、おなかが壊れがちという
定番に加え、目にトラブルが出てきている。
数日前くらいから、「ものもらい」かな?という
「できもの」に気が付いた。
以前、がんセンターで処方してもらった目薬を
引っ張り出してきて使い始めたところ。
(わが家のじまん、薬局並みの
ラインナップ薬箱より)
これに関しては、様子を見て症状が治まらないなら、
一般の眼科を受診するように言われた。

さて。細かな困りごとはそのくらいとして。
今日の外来目的は、もちろん抗がん剤治療を
受けに来たわけで。

診察室に入って、いつものとおり
主治医の顔を覗き込む。
朝の採血結果が「オッケイ◎」なほうか
「あかん×」なほうかを予測しながら。

先生は「あかんほう」の顔をしていた。
そうか、オイラの「ものもらい」は、
ひょっとしてひょっとするわけね。

例のアレがナニしてダメなんでしょ。
※アレ=好中球
※ナニ=数が減少
※ダメ=抗がん剤治療を中止

主治医「がんばって薬を入れてもいいんだけど‥‥」

確かに。合格ラインは好中球500以上という
お約束だったはず。

主治医「腫瘍マーカーがねー‥‥」

エリィ(え?マーカー値もダメなの?)

主治医「けっこう下がってるんですよー
(ニマニマ)」

エリィ「あらそうですか。じゃあ、一応
(投薬した)反応があるわけですね」

主治医「そうなんです。つまり薬は効いているんです。
 だから今の治療を、できるだけ長く続ける
 ということが、大切だと思います。」

ふむふむ。57%まで減薬しているにも関わらず、
薬が効いてくれているというのは、ラッキーじゃ。

主治医「だから、今日無理に治療して
 また好中球を下げたら、ほら、下痢とか
 するじゃないですか。
 だったら、もう少し免疫をあげて
 なんなら薬の量をさらに減らしてでも、
 治療期間を延ばせるよう調整したほうがいいかと‥」

1ヵ月ごとに調べているマーカーは確かに下がっていた。
もちろん、異常のなかの異常値ではあるが。
例えばCA15-3を見ると
一時は900くらいあったのに、
300くらいまで落ちている。
マーカーというものは、あまりアテに
ならないとはいえ
上がり続けていた数値が下がってきているのは、
ちょっとくらい喜んでよいのかもしれない。

患者は「わかりましたー」と、よいお返事をし
もろもろ手続きを済ませ、とっとと病院を後にした。

抗がん剤治療がない=重い副作用が出ない=元気
という方程式が出たわけですよ。
あなたならどうする?

患者は、すぐさま淡路島にいる親戚へ電話をかけた。
「今晩、そっちへ行くからー♪」

そんなわけで、島の自然に癒されながら
人の家に押しかけ、来週の採血に
備えているところです。

好中球よ、増えたまえ。

再診料‥73点
医学管理等‥410点
検査料‥765点(採血&採尿)
投薬料‥69点(ロペラミド10日分)
外来費用合計→1317点(13,170円)
※患者は3割負担