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20170724 診察日記

ナース問診で見事に泣かされた患者は、
息つく間もなく、主治医の診察が控えていた。
泣かせ屋ナースのイナモトさん、
先に診察室へ入っていった。
患者がめそめそ泣いたいきさつを、主治医へ
報告に行ったんだなと思った。

◎病名:
 進行性乳がん(多発性骨転移・多発性肝転移)
◎治療歴:
 1)ホルモン(TAM→LET→EXE)+ZOL
  外科手術(右乳房全摘+腋窩リンパ節郭清)
 2)トモセラピー(骨転移放射線治療)
 3)アフィニトール
 4)ケモ PTX&bev→CAP+ホルモン(ANA+LPR)→VNR
 ※以上をゾメタと併用で
◎現在の治療:
 PTX&bev【再】
 ‥4クール目の治療ができるかどうか(骨髄抑制の関係で、2週おきの投与中)
◎おもな症状:
 骨髄抑制(免疫↓)、倦怠感、皮膚炎症

ほどなくして、電光掲示板に
どどーんと表示される患者の番号。
患者は化粧をなおし、作り笑いを浮かべながら
「こんにちはー」と診察室に入った。

開口一番、主治医が前回のミスを謝罪した。
イナモトさんの根回しが効いているね。
「いえいえ‥ケモの処方箋見た瞬間に
先生、間違えてるって思いました(笑)」
と、適当に薄めておいた。
この件で、主治医に何も言うことはない。
せいぜい反省してもらって、今後
気を付けてもらえればそれでよい。

先生「どうですか?何か変わったことはなかったですか?」
エリィ「そうですね‥変わりはなかったです。
最近は比較的よかった方だと思います」
(↑事前にナースへ伝えたので、細かいことは言わない)
先生「そうなんですね‥‥そうなんですか‥‥」

いやな予感。
すでにモニターには、採血の結果が映し出されている。
何度も経験しているから、すぐにピンとくるよ。
これは「好中球足りないバージョン」のリアクションだ。

エリィ「あれ?ダメでしたか?」
先生「うーーーーーん‥好中球が‥」
エリィ「え?また落第点ですか?」
先生「前回の500をさらに下回っていまして‥」
エリィ「(ガーン)えぇー!ワタシ、今日はまあまあ
自信があったんですけど」
(診察室一同 笑う)
先生「ねぇ‥これはちょっと困りましたねぇ」

モニターを覗き込んだ患者はぎょっとした。
好中球が300台だったのだ。
もしもし骨髄よ、骨髄さんよ!!
2週間もあったのに、あんた何やってたのさ‥
※骨髄さんは白血球(の中の好中球)をつくる
オシゴトをなさっているはずなので、ついディスってしまいました

先生「うーん。骨髄がねぇ‥‥」
エリィ「じゃあ今日は(ケモ)なしですか」
先生「はい。これではちょっと(治療は)無理ですね‥」
エリィ「あのぅ、こういう(白血球値がどん底の)場合、
次の外来まで安静にしたほうがいいんですか?
それとも普通に動いて大丈夫?」
先生「普通で。むしろ動いてもらったほうが‥」

こうして、4クール目のパクリタキセルは中止となった。
1週間で好中球は増えると信じて、来週リベンジの予約を
入れてもらう。

ケモ室に行く必要がなくなったことで
かえって気が楽になった。と、思うことにしよう。
ちょっと怖気づいていたので‥

↓今日の通信簿(肝臓の値は横ばいなのでヨシとする)

===診療明細===
再診料…73点
検査料‥337点(採血&採尿)
文書料‥100点(傷病手当申請分)
合計→510点(5,100円)
※患者は3割負担/高額医療限度額を超えているので支払いなし