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患者のくらし

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日々の生活のようすについて書いた記事です。だいたいがドジ話。
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#副作用

悲しみたがり

単身で暮らし、勤めを控えている患者にとって 誰かとコミュニケーションをとる機会は そうではない人と比べ、明らかに少ない。 コミュニケーションの筋肉があるとすれば、 退職した半年でずいぶん衰えを感じる。 今日、わりと派手な喧嘩をした。 正確に言うと喧嘩ではない。 (恥ずかしながら)ほぼ一方的に こちらが怒り、悲しみ、 最後はおめおめと泣き出していた。 つきあいが長いし、 喧嘩は初めてではないけれど..今回のは、 相手にとっては大事故だったはず。 さっきまで笑いながら進んで

開かずの扉

ある休日の夕方、患者は近所の警察署にいた。 ハゲ頭にニット帽をかぶり、 パーカーを羽織っていた。 さらにステテコ、スニーカー。 ノーメイクだし、 体調不良でひどいやつれようだった。 とんだハゲパジャマ女の登場に、 警察署の職員は明らかに困っていた。 エリィ「あの‥なんといいますか‥ オートロックの集合住宅なのに、 鍵を持たずに屋外へ出てしまいまして‥‥ それで、ロックのかかった家へ入れなくて とても困っておりまして‥‥」 警官「‥‥はぁ。しかし 我々にはどうしようもでき

だらしがないを、改めたい

患者が上京したのは、大阪の短期大学に 入学したのがきっかけだ。 田舎者にとって、大阪はとても刺激的な 街だった。 これまでの人生で、患者が最も 調子に乗っていた時期。 もしもこの時代へワープできるなら。 あの頃のじぶんに、言ってやりたいことが 山ほどある。 女子大生だった患者は、その日 駅のホームを歩いていた。 コンパか何かに出かけるところだったと思う。 穴をあけたばかりの耳にはピアス、 メイクはしていたけど、いまひとつ あか抜けない感じ。 外出時、女子大生はヘッドフォン

おいしい野菜が恋しくて

「食べ過ぎる」とか、「食べられない」とか、「普通にしてるのに太る(or痩せる)」とか。がんを患うと、なかなかそのあたりのコントロールって難しい。 患者はいま、休薬期間が予定より長くなって食欲が戻ってきた。食欲がないときは「食べたいときに食べたいものを」というナースの常套句をしっかり守り、炭水化物ばっかり食べてかなり偏っていた。いまこそ、食生活を整えておこうじゃないか。そこで、以前お世話になっていた「野菜のお取り寄せ」の復活を検討していた。 オイシックスとか、大地を守る会と

冷えてはいけない患者の、猛暑日のおたのしみ

「冷たい」という言語は、人によって違った表現になる。 患者は「ちべたい」と表すことが多い。 方言かなと思ってGoogle先生に訊いてみたら、 京都も大阪も「ひやこい」と指導された。 とにかく。 患者は冷えやすい体質に加え、 副作用の骨髄抑制により白血球が少なく、 すぐに腹をこわすのが日常だ。 ちべたいもの、ひやこいものは なるべく避ける生活をしている。 毎日、腹巻きは欠かせない。 腹巻きは冬より夏なんですよ、奥さん! なるべく白湯を飲むようにしているし なまものを食べると

熱中症にご用心

ミスチルのライブで、考えられないくらい汗をかいた翌日のこと。患者はとにかく安静にしていた。昨夜は蒸し暑い京セラドームで、踊り歌い叫んでいた。勢いで買ったツアータオルは汗でびっしょり。今日はもう、なんの力も湧いてこない。疲れた疲れた。 ゆっくりと8時くらいに起きてきて、午前中は家事をするなど機嫌よく過ごしていた。お昼ご飯を食べたくらいから、なんだか雲行きが怪しい。体がだるくておなかが緩い気がする。あと、手足が異様に熱をもっている。なんか顔もかカッカしてきた。そのうち、頭が痛く

調整がむずかしい

木曜日、入浴前に体重を量った。 これまでの患者人生、夏場は痩せないように気を付けていたつもり。患者の身長は151cm(脊椎の具合で流動的)なのだけど、うっかり36キロまで落ちた経験がある。ましてや今は抗がん剤治療中。副作用で食欲がなくなるから痩せやすいのだ。 ところが、先日の診察で諸事情により休薬することになった。たちまち食欲が戻るから不思議だ。日常生活が戻ってきた幸せをかみしめる。 抗がん剤の投与量は、体重によって計算されるため、ふだんから体重は気にしているつもり。ち