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CGMの下部構造を読解

以前ClubHouseのnoteを書きましたが、最近はかなり盛り上がってきました。僕はstand.fmもやっていて、ふとCGM×音声ってどうなんだろうと考え始め、そもそもCGMってどうなの?ポイントって何?って事を考えるようになり、今回のタイトルに至りました。また、以前のインターン先でCGMメディアに携わっていた事もあり、今回は個人の経験と学びを中心に、綴っていきたいと思います。

(*毎回同様、あくまで個人の見解です。)

1.CGMとは

CGMというのは、「Consumer Generated Media」の略であり、ジャンルによって多様な形態があります。口コミやナレッジシェア、SNS、キュレーション等がイメージしやすい部分であると思います。

ちなみに以前のインターン先ではライフハック領域を軸にしたCGMメディアを運用させてもらっていました。

ここから分かる事としてCGMはジャンルによって大別されています。

大きく分けると①単価と②頻度の2軸4象限に分ける事ができ、特に①低×②高=金脈であり、同時にレッドオーシャンの領域であるとも考えられます。以前携わっていたメディアはこの領域に値するため、それを前提として運用のポイントや得られた示唆を整理していきます。

その前に、CGMのマネタイズに直結するビジネスモデルについて4つに分けたいと思います。

①ユーザー月額料金②ユーザー従量課金③店舗月額課金④広告掲載料

ビジネスモデルも念頭に置きながら進めていきます。

1.文化の醸成

CGMを運用する上でまず重要視しなければならないポイントは、コミュニティ内の文化を初期に醸成し、浸透度を高めていく事です。CGMのため、あくまで運営とユーザーは別個で考える事になるのですが、長期的に見た時にある程度のコントローラブルな要素がないと運用が行き詰まります。そのためにも文化の醸成は抑えるべきマストなポイントです。

そう考えると、初期の段階においてアーリー層への対応が肝になってきます。例えば、定期的にイベントを開催し(今ならClubHouseのユースケースも考えられます)、密なコミュニケーションに尽力したりするのは欠かせません。個人的には、その際のコミュニケーションの取り方、関係性の構築方法等をチームで形式知として蓄積させる必要があると考えています。

また、上記に加え、内製化によって「コンテンツの方向性」を定める努力も按分しながら進める必要があります。seoの観点において良質コンテンツの生成にも関わっていますが、運営側の提供するコンテンツは投稿者の大きな指標になります。これは、投稿ハードルにおいても重要ですし、文化の醸成においても1つの鍵です。(その際の、編集チームのオンボーデイングの体制や運用の仕組み化における効率性等は別途考えなければなりませんが。)

更に、自分たちの領域との相性を捉える手続きも欠かせません。クールなコンテンツが合うのか、それとも多少砕けたものも受容されるのかといった感じの領域との相性における検討は挟む必要があります。

文化の醸成という観点はかなり複雑ですけれども後々活きてくるポイントだと思いますので、意識してみる価値はあります。

2.深い視座でのUX改善

CGMに携わる際、大きく①投稿ユーザーと②視聴ユーザーに徹底して目を向けると思うのですが、その上で両ユーザーの動機をいかに深く、細かく分析できるか、そしてその工程をいかに速く回せるかは大切です。特にモチベーションとその内でのトリガーになりうるもの、そしてユーザーへのインセンティブといった観点はサービス内でのユーザー体験と大きく関わってきます。当然答えは一義的なものではないですし、変異するので、それを視野に入れたアプローチが必要となります。

そこで、モチベーションから入ると(主に投稿ユーザー)、変数が多いとはいえ、大きくは記録/金銭/制約/承認欲求あたりに整理されると思います。ユーザーにとって町々ではあるのですが、ある程度の傾向は掴めると思います。それができているか否かでは、投稿の導線設計(投稿ユーザーに対して)に影響をもたらします。更に、モチベーションの整理の次のステップとして「投稿」直前の内的トリガーは何かを自社内で明確に表現できるレベルまで具体化するのがポイントです。そうすると、どのようなインセンティブを設計する必要があるのかもある程度見えてくると思います。インセンティブの付与でいうと、「食べログvs楽天レシピ」が分かりやすいと思うのでcheckしてみて下さい。

一方で、視聴ユーザーのニーズの観点に関して目をむけてみると、大きく機能的価値/情緒的価値/社会的価値に分けられると思います。(経験上)

そう考えた時に、視聴ユーザーの上記の価値レベルを可視化させて、それを基に、優先順位の設定、企画をしていく必要があります。例えば、日常に役だつコンテンツを中心に発信する中で、機能的に有益なものばかりに固執するのではなく、ユーモアや面白さがあるものも作るために(ニーズがあれば)、自社制作のコンテンツを企画し、その発信を軸に投稿ユーザーを巻き込んでいくみたいな感じです。(また、社会的価値も与すると、誰かについ話したくなるようなコンテンツの選別をしたり...)

このように、視聴ユーザーのニーズを紐解いていくと同時に投稿ユーザーを基軸にした文化の醸成やモチベーションの話も絡んできます。つまりは、どの要素もバランスを意識して、常に広い視野を持って行動していく必要性は高まります。(行ったり来たりするので複雑ですが、案外単純で楽しいと思います。)

このような努力の按分が秀逸なUXの形成に繋がっていくと思います。

3.左脳×右脳

ここは案外重要な所で、CGMならではの要素もあると思っています。

このようなサービスをやっているとついKPIの数値のみを追いかけてしまう事があると思います。しかし、経験がある人も多いかもしれませんが、微妙にロジカルにはいかず、辻褄が合わないような部分が生じます。

そこが重要なポイントで、無理に合わせたり、無視するのは論外なのですが、そういう状況に直面した時こそ、当事者としての感性を全面に出し、必要と思う体験や機能を思い切って実験する事が重要であると考えられます。当事者としての視点に立つためにはそれ相応の磨き込みが求められますが、常日頃からそのような姿勢を保つのを前提に、右脳に従った施策を打つのは得策だと思います。

CGMは冒頭でも説明したように、ユーザによって生成される特徴を有するので、当然ながら多様性のあるコンテンツが建設的に集積されていきます。故にKPIの磨き込み一辺倒では、整合性がとれません。しかし、案外ここで行き詰まる話も聞くので、取り組み上での前提として整理しておく事がオススメです。その上で、上記で書いたように実験思考(自分が必要と思うorユーザーが必要と思う機能や体験を実験的に取り入れる)を伴う姿勢を社内で浸透させ、行動指針レベルでの取り組みに繋げると成功における不確定性は低くなると思います。

4.あらゆる中立性

ここで言う中立性というのは、「①対ユーザー」と「②対コミュニティ」を指しています。

①に関しては、ユーザーの投稿や要望に関しては、平等に対応する等、一律のガイドラインを整えるのは必要不可欠です。ユーザー投稿型によるコミュニティの崩壊は浸透以上に速いので、注意深い視点を忘れない意識を担当者全員に仕組み的に教示する必要があります。

また逆に、ここへの対応をガイドラインとして整備しない事によるユーザーの損失もかなり大きいので、そうならないために穴を頑丈に閉じる作業が求められると思います。審査時に上記のような取り組みを徹底させましょう。

次に②に関しては、①と被る点も見られると思いますが、基本的にはより慎重さが必要になります。自社のコミュニティ性においてのコンテンツのラインを定める作業が必要です。というのもデマンド側の要望のみに目を向けてしまい細かな規制への理解、一部のユーザーへの不快感、ある程度のリスク性を蔑ろにしてしまう事例が多いからです。と言いつつも予測できない環境要因による失敗等、回避仕切れずに起きてしまう事もあるので、そのような場合は、新たなルールとして都度更新していく等の事が重要となります。また、コミュニティ毀損になりうるユーザーの行動に対しても当然ながら厳しく対応するのが良いでしょう。

①、②双方において、一気通貫した運営側の対応が求められるので、上記のポイントは念頭に置いておき、更に初期から中期での運営側の柔軟性は一定の成功において欠かせないので、少しだけでも意識してみて下さい。

以上の4つがCGMを運用する上で特に意識すると良いと思った個人の見解です。

また、自身がCGMのメディアに携わる中で大切にしていた事があります。それは、ユーザーやクライアント(一部企業とのタイアップ)等、全てのステークホルダーから「愛されるようなメディア」にする事です。個人的には、CGMの本質をついていると思っており、そのための方法論に近い事を上に綴ったと思っています。多様なユーザーに愛されるメディア、関わったクライアントが再度協業したいと思ってくれるようなメディア、常にそれを全ての根底に置いていました。CGMの中には実際運営側のエゴを押し付ける事で、ユーザーに不快感を与えてしまっている所もあります。しかし、中期的に鮮明化されるズレは軌道修正ができません。そうならないためにも、基盤としての理想像の意味合いで、「愛されるメディア」を大切にしていました。

更に、ここからもわかるようにデマンド側への実装が実は大きなポイントになります。テクノロジーを初めとしたサプライヤー側のアクティビティは、どうしてもサプライヤー側の視点に偏りがちです。しかし、事実としてあるのは、デマンド側の理想と現実のギャップであり、そこに正面から向き合えない事には如何に優れたものであると社会実装に至りません。僕が「愛されるメディア」を執念深く言うのも結局はここに通ずるからなのです。デマンド側が持つギャップもそもそもは、上記にも書いたように理想と現実のギャップです。つまりは、理想がない事にはそのギャップすらも明確にできず、それを解決するためのソリューションも生まれません。(逆にそれで生まれているのであれば、サプライ側視点での自己満足の実装です。→当然×)言うは易く行うは難しなので、そう簡単にはいきませんが、念頭に置くだけでも多少アクションに変化は生まれると思っています。

完全に自身の見解を述べてしまいましたが、真理だと思っています。

このようにCGMの実相は多様で複雑です。だからこそ、ある程度の体系化された知識を持つ必要があると個人的には思っています。(本や記事)そしてその上で、他者の実践経験から得られるノウハウを参考にし、実践するといった試行錯誤がCGMの正鵠を得られるのではないでしょうか。

長く書いてきましたが、あくまで自身の経験をまとめてみただけで、何が正しいかは模索中です。にも関わらず最後まで読んで下さり、ありがとうございます。身近なサービスのケースを考えながら読んでみて下さい。

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