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教育

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私のこれまでの教育の歩み
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#小学校の先生

なんで、人は生きるの?

突然、一年生の子供にそう聞かれて、私はあんぐり口を開けた 。その状況は、かつて同僚が置かれた状況に似ていた 。それは、道徳の公開授業での出来事だった 。同僚が「それでは、これから道徳の授業を始めます。」と言った時、教育委員会の指導者がその教室に入ってきた。 まだ、発問もしていないのに、即座に一人の子が手をあげた。 「先生!道徳って、何ですか?」その予想だにしなかった1年生の質問に、その同僚は狼狽し、その答えに窮した 。私は、その話を同情をもって聞いた。こうした概念を1年生の

返事をしないクミちゃん

小学1年生を何回も担任した中で返事をしない子どもが一人いた。 後藤久美子さん似のクミちゃんだ。朝の会では呼名しながら健康観察するのが慣わしだ。その呼名に彼女は返事をしない。朝から叱るのは得策ではないと考え、そのまま様子を見ることにした。 ところがいつまでも経っても返事をしない。そこで荒療治に打って出ることにした。彼女の席をベランダに出したのだ。 「クミちゃんは今日はお休みなんだ。」 さぁ、これからが大変‼️ 彼女は泣きわめいて「お家に帰る」の一点張り。なだめすかして

教育実習に臨むあなたへ

さて、それでは本題に入ることにします。お手紙の中に教育実習に関するおたずねがありましたが、僕は昔からマイノリティなので、僕の言うことを信じるのは危険かもしれません。でも、判断するのはあなた自身だから、そうした心配はせずに私見を述べることにします。 教育実習と聞いて、先ず、自分の教育実習のことを思い出しました。僕には、君のようにアドバイスの求めに応じて答えてくれるような身近な先生はいなかったので、何のノウハウもなく、ただ、がむしゃらにやるだけの3週間でした。指導して下さったの

一週間が勝負よ!

新任の私が、1年の学年主任に最初に言われた言葉です。 「1週間が勝負よ!」 1週間で型にはめろとのお達しです。これを聞いて、「嗚呼、こりゃ駄目だ。」 とため息が出ました。新任に1年生を担任させる人事も如何なものかと思いましたが、これが現実です。しかも私の体調は最悪で、教員生活の船出は最悪なものとなってしまいました。 体調不良の原因は卒業間際のアルバイトで無理をしてしまった為でした。病院に行きましたが、精神安定剤を処方されるだけで、良くなる兆候は一切なく、医師を恨みさえしま

何故、がんばれ!と言うの?

「なんで人は生きるの?」 突然、1年生にそう聞かれて、私はあんぐり口を開けた。やっと気を取り直した私は、 「それは、幸せになるためだよ。」とだけ答えた。 私のこの学校での8年間は幸せであった。誰かに勝ったわけではない。成功を収めたわけでもない。ただ、精一杯頑張っただけである。 校内マラソン大会の時、どんじりを走った5年生の子が、担任の私にこう言った。 「どうして、みんなは、私に『がんばれ、がんばれ』と言うのだろう?頑張っていないように見えるのかしら?」 人は「過程が大

学級経営における人間関係づくり

学習効果を上げるには、子ども達の情緒の安定が大前提です。それには、学級経営の中の集団づくりと人間関係づくりが欠かせません。こうした人間関係を築く方法はいろいろありますが、ここでは、トマト・ゴードンの提唱する「親業訓練」を紹介します。下記の報告文は、安全教育の研修会で話された内容を簡便にまとめたものです。 ア 行動の四角形私たちは 、 みんな1人ずつ心の窓を持っており、 この窓を通して、 相手の言動を見たり聞いたりして、 嫌だと感じたり、 別に気にならなかったり、 いいなと感

主体性を言う前に

教師は、子どもの反応を予想し、楽しい授業を夢見るが、しばしば子供の反応に裏切られ散々な目にあうことがある。感動する場面について言えば、教師が感動するだろう、と予想していたところで子供が感動しない、ということはよくあることである。 もし、それで子供を責めることがあったなら、それは、本末転倒と言わざるを得ない 。なぜなら、人は自分が良いと思うもの、価値があると認めるもの、にしか感動しないからであり、その価値観は成就感を味わうという前提なしには得られないからである。 そうした本末

朝ドラ 字の教え方

「こうや、この一本が、千代、あんたやな!」 この台詞は、至極のセリフ。脚本家は誰? 八津弘幸さん。千代役の毎田暖乃(子役)さんの迫真の演技に朝ドラで泣かされました。周りの役者さん達も息を飲んだんとちゃうん? 千代の台詞がすごかった!千代は、前日のお使いを時間通りに果たすことができず、「岡安」の女将シズにクビを言い渡され、帰る場所のない千代でしたがそのことは誰にも言わず、次の朝、一人出て行きます。その後、そのことを知ったシズの母ハナ達が千代を見つけて、千代を「岡安」に連れ