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『ちむどんどん』第114回 失敗してもいい、二人やりなおせるなら

 自分の気持ちに向き合う賢秀は、清恵を後ろからハグするのですが……。

ハグをすればいいわけじゃない

 今回はロマンチックラブコメ描写を皮肉ったような展開でした。バックハグしようが清恵には通じない。朝ドラにしては珍しいほど二人の対話に時間がかかる。
 じれったかった。流石にもういいだろうと言いたくもなった。清恵は頑固な女だった!

 でも、そのおかげで賢秀の罪悪感にも向き合えたわけよ。少年時代に、養豚を言い訳にして暢子を東京に送り出そうとしたことがひっかかっていた。今までずっとその詫びをしたかったのできなくて。そういう思いがあったと。それでああいう失敗続きであることはさておき、

 そんな思いの丈を吐き出せてよかった。

清恵を納得させるには

 清恵も、悪い男相手に結婚までしていたことが引っかかっている。自己嫌悪がある。それを許すと言われようと納得できない。

 しかも店からママが出てきて、客が「グッド・バイ・マイ・ラブ」と歌おうといってくる。これがただの曲名でなく、歌ったら別れになるという演出に。

 結局清恵は断って店へ戻り、賢秀も千葉へ戻り……。

寛大の気遣いよ

 清恵抜きでも養豚に賭けると言い切った賢秀と、言葉少なに納得する寛大。するとそこへ清恵が戻ってきます。そしてここで若い二人のことを察した寛大は、タオルだの風呂だのアレだの言いながら場を去ってゆきます。
 彼は妻がいないように思えます。死別か離別かわからないけど、大事に育ててきた一人娘です。それが曲がり道を抜けてここまできて、そりゃうれしいに決まっているんですよね。
 よかったよかった!

そして皮付き豚肉で味が決まる!

 そんな大恋愛を経て、ついに猪野さんの豚肉で作った沖縄そばは絶品でした! これでこそ。
 このへんの描写が『マッサン』より格段にあがったと思えます。ニッカウイスキーの味って、モデルの理詰めであることが大きいと思えまして。そこにはあんまりヒューマンドラマが入らないところではあるんですね。竹鶴氏の人情話は妻や社員待遇に出ているので、そこは切り分けたほうが良かったかもしれない。
 そこを今回はうまくカバーしています。

 地方への目線もいいと思う。「うんめえ!」と出てくる矢作は東北人ですかね。結婚も早いし、高卒で地方から出てきて成り上がりたかったんでしょうね。
 リリーを察したママも、あれだけの出番ながら背景が見える気がする。

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