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『おかえりモネ』第69回 土地を離れられない心は

 ウェザーエキスパーツへやってきた耕治は朝岡にびっくり! いつもテレビで見てる人たべ! そうドキドキしている耕治です。朝岡は故障した竜巻発生装置を運んでおり、耕治はそれを手伝おうとします。

父です、娘がお世話になってます!

 永浦の父だとおずおずと切り出す耕治に、オフィスへ案内しようとする朝岡。それは娘も嫌がると遠慮する耕治です。
「あのぉ」
 そうおずおずと切り出す耕治。壊れた装置を修理しようとします。永浦さんのおじいさんは漁師ですね、そう朝岡が聞くと自分は銀行員だと耕治は言いつつ、ガキの頃からつきあわされたと機械いじりをします。こういうのは得意なんだって。
 ここで朝岡は、海から離れて暮らすことはどういうことなのかとふっと尋ねます。朝岡もなかなか濃い性格なので、重たいことを初対面でも訪ねてしまうのですね。菅波やモネにもそういう傾向があります。
 耕治が朝岡の出身地を聞くと、父が転勤族でないそうです。耕治はいろんな場所を知っているとフォロー。営業をする銀行員ですのでトークスキルが高いんだな。でも土地への思い入れは呪縛でもあると。耕治だって仙台へ向かったのに亀島にいます。

答えの出ない問いかけ

 朝岡は答えの出ない問いかけをしているのです。8年前、土石流に襲われたとき、石音町の人々に向かって、避難せず自宅の二階にいるよう呼びかけてしまった。外に出ると危険であるし、あそこまでなるとは思わなかった。その結果、集落ごと土石流に飲まれてしまった。二週間後、現地を見て回ったのだと。
 自分のせいにしちゃいけないと耕治が励ますと、そんな青臭いことは考えていないと否定する朝岡。
 ただ、何度も繰り返します。ようやく戻ったところで、また、災害が起こる。
「私は薄情なので……」
 朝岡はそう前置きし、留まることはないと思ってしまう。離れればいい。土地へのノスタルジーなんて、命には代えられない。でも、命を引き合いに出して大事なものを捨てろなんて、部外者の暴力でしかない。
 そこまで朝岡は到達しています。朝岡が薄情というのは誇張でもなく、最善をふまえて感傷を捨て去ることはできるのでしょう。それでトラブルもあって、色々改善してきた。菅波と同じタイプでしょう。そこは人生経験の差ですね。
 朝岡も気遣いが苦手というか、初対面かつ部下の父親にむちゃくちゃ重たいトークをしてしまっているので、人間関係の不器用さは残っています。

子どもたちの未来は明るい

「いやあ、まいったなぁ、はははは!」
 耕治は笑い飛ばします。都会に出ようとして出られない彼はこの答えを聞くにはうってつけかも。船から降りられない新次のことも知っているし。
 自然は思い通りにならないし、離れろとは俺も思う。薄情なのはあんただけじゃないよ、そう慰めていると。でも親父を見ていると、土地だけじゃない気がする。人なのかな? わかんないけど……そう言い出す。
 海だけでも土地だけでもない。人の情けがしみついていると。それも怖いことではある。
 耕治だって経済だ、音楽だ! そう仙台へ向かったのに戻ってきている。だからこそ娘が東京で楽しそうに生き生きしているところを見るとうれしい。自由に、生きて欲しい。あ、ここでもう一人娘がいると未知のことも言います。
 娘たちは希望だ。いや、娘だけじゃない。子どもたちに言ってやりたい! 何が起こるかわからない世の中だけど、お前たちの未来は明るい。悪いだけじゃない。信じていいと言い続けてやる。

 そこまで言って、語りすぎたと照れる耕治。装置は修理されていました。竜巻が出て驚く耕治です。でも結局すぐダメになって、中途半端な銀行員だと自虐的にいうわけですが。
「いえ、ありがとうございました」
 朝岡はそう深かと頭を下げるのでした。
 ちなみにモネは安西社長と物陰でこのやりとりをじっと聞いていてセリフがない。そういうこともありなんだ! 朝ドラのお約束は立ち聞きですが、それをまるっとやっております。
 モネは主役だけれども、描きたいのは彼女だけでもないのでしょう。

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