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『虎に翼』第24回 人権蹂躙はありやなしや?

 直言は罪状認否にのぞみます。果たしてその答えは?
「被告人は起訴事実について罪を認めますか?」
 「ごめんな、トラ」
 ここでそう傍聴席の寅子に声をかけると、桂場が罪を認めることかと問いかけます。そうではなく、今まで迷惑をかけた娘への謝罪でした。
「私は全て否認します」
 ざわめく法廷。日和田は一度罪を認めたはずだと返します。しかし直言は、自白を強要されたと言います。日和田は怒りながら扇子を叩きつけます。その扇子をやめるようにと直言は返すのでした。

無罪を告げた直言は


 真実を告げた直言。公判が終わり帰宅し、ほっとした顔をしています。ここで直道は、父さんがこの決断をするとわかっていたと言い出します。こういうヤツを「事後諸葛亮」っていうんですよ。敗戦後、「俺にはわかっていた、日本は負けることが」と言い出しそうですね。ついでに「俺にはマッカーサーが偉大だとわかっていたよ」と言い出し、寅子と揉めて欲しい。このドラマ初回冒頭のような開明的政策を勧める一方で、色々な謀略も行っていたことはふれられませんので。別枠番組でも見ましょう。
 花江はこれで一安心というものの、寅子と優三はそうではないと言います。自白教養となると検察側の面子もある。これからも長引くのだと。
「すまない」
 そう頭を下げる直言。はるは謝って欲しいわけじゃないと言います。
 直言のあと、あとの被告も覆し、裁判は進んでいきます。

 直言が無罪を認めたのは、寅子の奮闘あってのこと。寅子の理詰め調査と猪突猛進ぶりはちゃんと事態を動かしています。女には上目遣いで目を潤ませる以外にもたくさん武器はあるもんだ。

今は戦争前?

 本編に入る前に補足でも。すでに指摘されておりますが、水沼は平沼騏一郎ということですね。
 そしてこの展開を、戦争に入る前とみなすことについて。確かに日本では真珠湾攻撃から戦争が始まるような描き方が多いものですが、日中戦争はとっくに始まっておりますし、十五年戦争という呼称もあります。劇中が戦時かどうかという判断は難しいけれども、戦争になっていないと言えるかどうかは考えたいところです。
 これも指摘されていますが、本作には二・二六事件が出てきておりません。
 寅子は上層階級出身でもあり、かつ舞台は日本本土です。戦争の気配が届きにくいところにいるということでもあるのでしょう。

自白の壁に人権で切り込む

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